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お役立ち情報コラム

今月の特集 (2018年4月)      


毎日をもっと健康に! 身近な薬草親しもう


漢方には「薬食同源」という言葉があります。薬(生薬)を飲むことと食事することは、同じように大切という意味です。
身近にある薬草を見直し、毎日の暮らしに取り入れて健康に役立ててみませんか。薬草の専門家・薬草案内人の貝津好孝さんにお話を聞きました。薬草の採集は、植物について知識の豊富な人の教えを受けながら行いましょう。薬草に似ていても、それが有害な植物の場合もあるからです。

日本人薬草  
 子どもの頃、右下腹部が痛みだし、お医者さんに診てもらったら、「慢性盲腸ですから、次に痛くなったら手術です」と言われました。祖母が薬草(ノブドウの実)を酢に漬けた汁と小麦粉を練って貼ってくれた記憶が今も鮮やかに残っています。それ以来、痛みは消え、62歳になった今も盲腸は健在です。現在もノブドウの酢漬けは、打撲や捻挫の湿布薬として大活躍しています。その頃は、どこの家庭でもドクダミや、ゲンノショウコ、センブリなどの薬草を軒下に干していたものです。今、若い世代には薬草というよりハーブの方がなじみ深いかもしれません。ただし、ハーブは一般的にヨーロッパの薬草を指しています。もっと日本の薬草にも親しんでもらえるといいですね。

薬草さまざまな利用
 薬草はさまざまな場面で利用できます。ショウガやシソも立派な薬草で、ノロウイルスなど感染性胃腸炎の予防に役立ちます。ショウガを1cmほどすりおろし、梅漬けのシソ(葉)と一緒に熱湯を注ぎ、冷やして少しずつ飲むと下痢や吐き気を止めてくれます。料理にも積極的に取り入れるとよいでしょう。肌のトラブルにはハトムギ種子やドクダミ全草、髪にはネズミモチ実、養毛剤としてはセンブリ全草など症状により使い分けます。同じ薬草でも葉と根では薬効が違う場合があります。部位を確認して使用しましょう。

【活用方法】
 
 煎じて飲む。
  乾燥させた薬草を煎じるのが基本。乾燥すると成分が出やすくなり、保存も利く。600mLの水から弱火で40~50分煎じて飲む。どれくらいの量を使うかは症状と薬草の種類により違うが、約5~20g。
 
 振り出して飲む。
  センブリやキハダは、0・5~1gにお湯を注いでしばらくしてから飲むと良い。

 皮膚に付ける、貼る。
  やけどや皮膚の荒れに、アロエの生葉の皮を剥いで貼ると良い。

 
薬酒にする。
 
イカリソウ酒は足腰を温め、力も付けてくれる。薬酒は薬効だけでなく、香りや色を楽しむ効果も期待できる。

 浴剤にする。
 体を温めたり(ヨモギ)、痛みを和らげてくれたり(クロモジ)、ストレス解消に役立つ(ミカンの皮、シソの葉)薬草がある。乾燥品30~50g。

 いってお茶代わりに飲む。
 ケツメイシ、ササの葉などをフライパンでいって急須でいれて飲むと香ばしくて飲みやすく、胃腸に良い。

 ~お風呂で薬草~
 目的を明確に、薬草をお風呂で活用してみましょう。冷え症にはヨモギ葉、イカリソウ全草など体を温める薬草を、痛みにはクロモジ枝、マツブサつるなど神経痛にお薦めの薬草を。皮膚疾患にはドクダミ全草、スベリヒユ全草、スイカズラ茎葉など皮膚の熱を取る薬草。リラックス効果を期待するならユズの実、ミカンの皮、シソの葉など。分量は乾燥した薬草なら30~50g、果物を入れるときは3~5個程度で。


春から夏にかけて身近に見られる薬草をご紹介しましょう。…自然観察の楽しさも味わえます。

 フキ(キク科。漢方では蜂闘菜(ほうとうさい)。)

 山野に生える多年草。フキやフキのとうは山菜の定番。薬用にするのは根茎だが茎や花にも効果はある。根茎は夏~秋に根を採集し刻んで天日乾燥する。熱を持った喉の腫れや痛みに良い。
【1日5gを煎じ、1日3回に分けて飲む。フキ料理やフキのとうとして食べても良い。天ぷらや炒め物がおいしい。】

 ヨモギ(キク科。別名モチグサ。漢方では艾葉(がいよう)、もぐさの原料になる。)

 道端に生える多年草。葉は天ぷらや草餅、草団子、みそ汁の具にして食べられる。薬用部位は葉で6~7月に採集し天日乾燥する。漢方では体を温め、血液を増やし、止血・止痛の効能が期待できるとされ、婦人科疾患にも使われる。
【 1日3~5gを煎じ(煎じ方は右ページ参照。以下同じ)、1日3回に分けて飲む。暑がり、ほてり症の人には、合わないことが多い。】

 タラノキ(ウコギ科。方言タランボ。山野に生える落葉低木。 )

 山菜の王様と呼ばれる。春先、若い芽を天ぷら、おひたし、あえ物などで食べる。根の皮を使うが取るのはなかなか大変である。樹皮も薬用になるので、今は、幹全体を刻んで薬用にされる。春から夏に採集して刻んで天日乾燥する。もともと足腰や胃腸を温める薬草で、腰から下の冷えや腰痛、胃が冷えるタイプの胃潰瘍に使われる。最近の研究では血糖降下作用があり、糖尿病に応用されている。
【1日5~10gを煎じ、1日3回に分けて飲む。】

 ドクダミ( ドクダミ科。漢方では十薬、魚腥草(ぎょせいそう)。)

 山野のやや日陰で湿った所に生える多年草。葉は天ぷらにして食べられ、独特な匂いがあるが美味である。5~7月の開花期に地上部(全草)を採集し天日乾燥する。大腸や鼻、皮膚の熱を取るといわれ、便臭が強い便秘、黄色い粘性の鼻汁が出る慢性蓄膿症、グジュグジュした赤いニキビやおでき、湿疹に処方される。
【1日5~20gを煎じ、1日3回に分けて飲む。冷え性タイプの人には合わないことがある。妊婦は飲まないこと。】

 タンポポ(キク科。漢方では蒲公英(ほこうえい)。)

 若い葉はサラダ、花は天ぷらや酢の物、根はきんぴらや天ぷらにして食べられる。野原や畑のあぜ、道端に生える多年草。開花前に根を採集して刻んで天日乾燥する。熱を取りながら母乳の出を良くするといわれる。また、牛蒡子(ゴボウの種)と共に乳腺炎の特効薬として知られ、2種を混合してよく使われる。
【 1日5~10gを煎じ、1日3回に分けて飲む。タンポポは種類が多いがいずれも効果がある。妊婦は飲まないこと。】

 カキドオシ(シソ科。別名カントリソウ。漢方では連銭草(れんせんそう)。)

 野原や畑のあぜ、道端に生える多年草。葉、茎を天ぷらにして食べられる。日本のハーブといわれミントの香りがする。薬酒は香り良く、愛好家たちに人気。4~5月の開花期に全草を採集し刻んで天日乾燥する。昔から小児の疳(かん)の虫に良いといわれ、カントリソウの別名がある。血糖値の調整や結石を溶かす効果が期待でき、胆石や腎臓結石、糖尿病などにも処方される。
【 1日5~10gを煎じ、1日3回に分けて飲む。妊婦は飲まないこと。】

 ゲンノショウコ(フウロソウ科。方言イシャイラズ、ネコアシ(葉形がネコの足に似ている)。漢方では玄草(げんそう)などとして流通している。)

 中国の老鸛草(ろうかんそう)の仲間。山野に生える多年草。東日本では白花、西日本では赤花が多い。夏の花期に全草を採集し天日乾燥する。便秘と下痢、相反する症状に効く。昔から量を多く濃く煎じた物は、下痢の特効薬として使われてきた。また量を減らし、薄く煎じて便秘にも使われる。
【 1日10~20gを煎じ、1日3回に分けて飲む。 】

 コブシ、ハクモクレン(モクレン科。漢方では和辛夷(わしんい)。)

 初春、開花前の花のつぼみを採集し刻んで天日乾燥する。風邪や蓄膿症の鼻詰まりに良いとされ、特に花粉症の鼻詰まりにはお薦め。
【 1日1~3gを煎じ、1日3回に分けて飲む。独特な香りがあり、匂いをかいだだけでも鼻の通りが良くなる。場合によっては1日1gにお湯を注いで振り出しにして、鼻の詰まったときに飲んでも良い。多量に飲むと目まいや目の充血を起こすことがあるので注意。】


薬草案内人 貝津好孝さん (かいつ よしたか)
薬剤師、鍼灸師。漢方専門の港屋漢方堂薬局経営(福島県)。薬草、山菜、きのこの調査や冬虫夏草の分類と分布の調査を趣味とし、山野を歩く。福島薬草研究会代表。著書に『日本の薬草』(小学館刊)他、多くの書籍や雑誌に執筆し、取材にも協力。
■港屋漢方堂薬局(福島県伊達市梁川町青葉町52   TEL:024-577-0251)