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お役立ち情報コラム

今月の特集 (2020年8月)


65歳以上必見! シニアのための 農作業安全
高齢者の農作業事故が増えています。 なぜ事故は起こるのか、 どんな事故が多いのかなど、 現状を知ることで 事故防止に役立てましょう。

1 今や65歳以上が農業の主役!?

 2018年のデータによれば農業就労者は約175万人(男54%、女46%)でした。そのうち65歳以上の高齢者が約120万人となっています。農村の高齢化率は2015年の31.2%から2040年には38.9%になると予測されています。
 新規就農者は2017年に約5万6000人、65歳以上が約1万5000人となっており、定年帰農、また新規就農の方がかなり多いことが分かります。ただし、新規就農者よりも多くの離農者がいることも確かで就農者全体が減少傾向にあります。雇用就農も含む新規就農者のうち非農家出身者が3分の2を占めています。これらの新規就農者が、農業機械の操作などについてどれだけ技術研修を受けているかは把握されていません。

2 死亡事故の8割以上が高齢者!

 2017年の農作業死亡事故件数は304件でそのうち高齢者が84%を占め、就農割合よりもはるかに高く、また、図に示すように、高齢者の死亡事故率の割合が継続的に高くなっています。10万人当たりの件数では高齢者死亡事故率の21.2人に対し、65歳未満は7.9人と、高齢者の死亡事故を減少させることが急務です。各種の調査結果を分析すると高齢者以外では死亡事故は少ないが負傷事故が多い。高齢者では負傷事故は少ないが死亡事故が多いことが分かっています。また、女性の場合は熱中症で亡くなる例が近年増えており、これが女性農業者の死亡事故率上昇の一因となっています。
 この原因として、高齢化に伴う心身諸機能の低下を自覚せずに作業していることが挙げられます。視力・聴力の低下、関節回動度の低下、周囲の状況変化の把握が不十分になること、俊敏性の低下、新規導入した機械やシステムに対する訓練等の軽視、連絡合図方法の不徹底などです。
 農業は今後、スマート農業の展開などコンピューターが組み込まれた農業機械が多くなり、農機の操作も従来とはまったく変わってしまいます。
 これらの新時代の機械に十分な対応ができない方あるいは狭小な中山間地域での作業を行う方は、作業能率などが向上しないかもしれませんが、従来の使い慣れたシステムでの営農を考えると良いでしょう。
 自分の心身諸機能の低下程度を体力測定や認知機能検査などで確認し、安全第一で農作業に取り組むことが大切です。このことはご本人だけに任せるのではなく、ご家族、近隣の方や普及員、営農指導員などの適切なアドバイスが必要です。

3 高齢者自身の事後処理も大切

 農作業死亡事故件数は10万人当たり16.7件と他産業に比べて高く、これを建設業の同6.5人、全産業の同1.5人にいかに早く近づけるかが大きな課題となっており、そのため行政や企業、研究機関が規制・改良・事故分析・安全指導などに取り組んでいます。
 しかし個別経営が多いわが国の農業では、労働基準法や労働安全衛生法に抵触していても強い指導が行き届きにくいのが現状です。今後、法人化が進めば安全衛生管理は向上するでしょうが、効果が目に見えてくるには時間がかかりそうです。
 どんなに注意していても時には失敗するのが人間です。ヒヤリハット体験があれば仲間にその体験と、ヒヤリで済んだことを説明し、情報を共有しましょう。それが地域での事故防止につながります。事故が起きたらまず原因調査です。その調査は「再発防止」のために行うのですから、直接原因だけでなく間接原因も詳しく調べましょう。
 残念ながら事故をゼロにはできません。けがの場合には止血や添え木を当てるなどファーストエイド(急なけがに対しての最初の治療行動)を行います。意識がないような場合にはAED(自動体外式除細動器)を使って心肺蘇生を行い、救急隊に引き継ぎましょう。第一発見者が適切な処置をしたかどうかが救命の分かれ目になります。応急手当てについては、お近くの消防署か日本赤十字社で講習を受けられます。

 高齢者自身による 農作業安全の取り組み
1シーズンに一度は 取扱説明書を読む
取扱説明書やカタログに 記載されていない使い方はしない
点検整備を定期的に行い、 自分でできないときは 整備業者に依頼する
休憩時間を 必ず設定し実行する。「あと少しだから 続けよう」はやめる
1人作業時は「どこで、 何の作業をするか」を 家族に知らせるとともに ホワイトボードなどに 書き込んでおく
自分の技術力や 体力を過信しない






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