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家庭菜園・家庭園芸 2023年7月

私の食育日記  年齢とともに変化する好き嫌い

 9歳の息子は近頃好き嫌いが減り、苦手だった生野菜も、少し辛い物なども食べることが増えました。喜びもつかの間、今度は何でも食べていた6歳の娘が、好き嫌いが多くなりました。このように好き嫌いは、個人差だけでなく、年齢によっても変化するようです。
 好き嫌いの始まりは生後間もなく、といっても生まれてすぐは甘いと苦いを感じ、本能で苦い物を吐き出します。その後、生後6カ月にかけて味覚が敏感になり、離乳食を始める時期となります。味覚を感じる味蕾(みらい)は、乳児期が一番多く、年を重ねるごとに減少し、30代では約3分の1になります。大人にとっては味気ない離乳食の薄味も、乳児にとっては十分なことが分かります。敏感な味覚ゆえ、同じホウレンソウでも食べる日と嫌がる日があるなど、むらが出ます。この頃は好き嫌いよりも、いろいろな食材に出合う経験が最も大切です。  その後幼児期になると、食の好みができ、好きな物ばかりを大量に食べたがる傾向が出てきます。しかし、まだ自分の体に必要な量を判断できず、食べ過ぎておなかを壊してしまうこともあるので注意が必要です。この頃、大人より味蕾の多い子どもたちが、苦い、渋いなどを敏感に感じて好き嫌いが増えるのは当然です。一方で、幼児期は体だけでなく、心の成長も大きい時期です。食べたい物だけ食べればよいことに慣れてしまうと、その意識が続いてしまいます。この時期にこそ、食への感謝の気持ちと嫌いでも食べてみるという思いを大切にしたいです。そうすれば、小学生、中学年の頃から食べられる物が増えていきます。
 大切なのは、好き嫌いが増える時期にさまざまな味に挑戦し、他の物で同じような栄養が取れるようにすることと、今の好き嫌いは一生ものではないことを忘れずに、時々は食卓に出し続けることだと思います。皆さんにも小さい頃は嫌いだったのに今は大好き、そんな食材があるのではないでしょうか。

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


野菜もの知り百科 ゴマ(ゴマ科ゴマ属)

 健康食品の広告を目にしない日はありません。ゴマのサプリメントの通販も多いですが、原材料のゴマは残念ながら99・9%が輸入品です。日本の農家が昭和中期までゴマを選別するために使っていた手箕(てみ)や、天日干しをした茣蓙(ござ)は文化遺産になってしまいました。
 ゴマの原産地はアフリカのサバンナ地帯で、ナイル川流域では紀元前3000年にはすでに栽培され、クレオパトラも愛用したといわれています。漢字では「胡麻」と書くように、日本へはシルクロードの胡国、中国を経由して伝わりました。
 飛鳥時代に仏教が伝来し、肉食が禁忌とされてからはゴマが肉に代わる高タンパク食品として用いられるようになりました。ゴマあえやゴマ豆腐、ゴマ油を使った天ぷらなどの精進料理は、仏教圏以外の国々でもヘルシーな食事として注目されています。
 日本では種子の外皮の色によって、白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマに分類されますが、世界には形や大きさなどが違うさまざまな品種が約3000種あります。白ゴマは世界各地、黒ゴマは主にアジア、金ゴマはトルコなどで栽培されています。
 ゴマは強い抗酸化作用を持つゴマリグナンを約1%含み、セサミンはその構成成分の一つで、有害な活性酸素の働きを抑え、老化防止に役立つと考えられています。ゴマの表皮は堅く、そのままでは栄養成分を取ることは難しいので、すり鉢ですって皮をつぶします。
 晩春に種まきしたゴマは短期間で1mほどになり、夏になると白や淡いピンクの釣り鐘形の花を咲かせます。秋になって実が熟してくると、自然に裂け、種がはじけ出てきます。
 江戸時代に「胡麻胴乱」という菓子があり、その中が空洞だったのが「ごまかし」の語源になったといわれています。健康食品の中には怪しいものもあるので、広告にごまかされないように注意してください。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 ナバナ 春に先駆けて季節を味わう

 ナバナは童謡でも歌われる春の花。種子から菜種油を採取し、つぼみと若い茎葉を食べる野菜です。味に癖がないので、サラダやあえ物、おひたしなどでいただきます。晩夏から初秋に種まきし、年内から早春に収穫します。

[品種]
和種と洋種の2種類があり、和種は葉色が黄緑で花茎とつぼみと葉を利用し、洋種は葉色が濃く、主に花茎と葉を食べます。和種には、早生品種に「秋華」(タキイ種苗)、「早陽一号」(サカタのタネ)、「CR京の春」(丸種)、中晩生品種に「花飾り」(サカタのタネ)、「CR華の舞」(丸種)などがあります。洋種には、「三重なばな」や「のらぼう菜」などがあります。
[畑の準備]
種まき、または植え付け2週間前に、1平方m当たり苦土石灰100gをまき、深く土を耕しておきます。1週間前に畝幅60~70cm、幅20cmくらい、深さ15cmくらいの溝を掘り、この溝1m当たり元肥として化成肥料(NPK各成分10%)100g程度と堆肥2kgを施して土を戻し、くわでまき床が平らになるようならします(図1)。
[種まき]
じかまきでは、まき溝全体に2、3cmくらいの間隔に種まきします(図2)。覆土後に十分灌水(かんすい)し、べたがけ資材で覆って発芽や幼苗を保護します。なお、苗作りをする場合、9cmポリポットに5、6粒まき、2回に分けて間引きして本葉5、6枚の苗に仕上げ、株間20cm間隔で畑に植えます。
[間引きと追肥、土寄せ]
じかまきでは、1回目は本葉2、3枚時に株間5、6cm、2回目は本葉5、6枚時に株間10cmくらいに間引き、さらに本葉10枚時に株間を20cmくらいにします(図3)。最後の間引き後、畝の長さ1m当たり化成肥料30g程度をまき、軽く耕し、土寄せをしておきます。その後、1カ月に1回の割合で同様に追肥をします(図4)。
[病害虫の防除]
生育初期は防虫ネットで被覆し、その後アブラムシには粘着くん液剤など、アオムシ、コナガにはアファーム乳剤、トアロー水和剤CTなどを使って防除します。
[収穫]
とう立ち後、和種ではつぼみが膨らんできたら、開花前に先端15~20cmを収穫します。洋種では本葉15枚くらいで上部を摘心し、脇芽を伸ばし、先端を20~25cmで収穫します。いずれも、各節から多数の脇芽を同様の長さで収穫します(図5)。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎




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