お役立ち情報コラム

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2021年6月

家族の健康 食中毒に気を付けて

 食中毒は細菌やウイルスなどが原因になり一年中起こりますが、特に夏は要注意です。
 細菌による食中毒を予防するには、まず、細菌を「食品に付けないこと」、そして「増やさないこと」、さらに「やっつけること」が大切です。食中毒の原因になるウイルスは人から人に伝わって感染するだけで、食品中では増えません。ですから「ウイルスを食品に付けない、広げない」が予防になります。
 食品管理に気を付け病原菌が付きやすい肉や魚などは生で食べない、室温で放置したり冷蔵庫でも長期の保存をして細菌が増えた不潔な肉や魚は食べないようにします。調理用具や調理する人の手は清潔にし、みんなが食事やおやつの前には、よく手を洗うことも忘れないように。
 隅々まで丁寧に手を洗うことが必要です。まず、手を水でぬらしせっけんを使い、手のひらや指の腹、次に手の甲と指の背側、指先と爪の周囲、指の間、特に親指の付け根は洗い残しやすいのでしっかり洗い、流水で20秒間くらい流します。その方法で2度洗いをして、仕上げに乾いた手をアルコール消毒するのが理想です。ただし、ノロウイルスなどはアルコール消毒だけでは死滅しないので危険です。
 土には食中毒の病原菌も存在していますから農作業やごみ処理の後には、丁寧に手を洗いましょう。手が荒れていると、皮膚の傷んだ部位は不潔になりやすいので、日頃から手のスキンケアも行いましょう。農作業、紙や段ボールを扱う作業は手が荒れやすいので、ハンドクリームでのケアをしておきます。
 便には食中毒の原因になるウイルスや細菌も存在し得るため、トイレの後には念入りに手を洗います。また、水洗トイレで流すときに、水流の勢いで便中のウイルスや細菌が空気中に舞い上がるので便座のふたを閉めることも食中毒予防には大切です。タオルを共有することも感染を広げてしまうのでやめましょう。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 食事と飲酒の適量について

 夏の到来とともに飲酒量が増えることも多くなりがちですが、健康を崩すことなくお酒を楽しみたいものですね。気になる飲酒の適量について、栄養面から解説しましょう。
 厚生労働省は「健康日本21」の中で、「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度である」と示しています。また、このガイドラインでは、「女性や高齢者、飲酒後にフラッシング反応を起こすようなアルコール代謝能力の低い人は、これより飲酒量を少なくすべきである」などと推奨しています。
 純アルコール20gとは、「ビール中瓶1本(500ml)」「日本酒1合(180ml)」「酎ハイ(7%)缶1本(350ml)」「ワイングラス2杯弱(200ml)」「ウイスキーダブル1杯(60ml)」「焼酎(25度)グラス2分の1杯(100ml)」などに相当しますが、年齢をはじめ、体格や体質、体調などによっても量を調節することが重要です。
 飲酒時に意識したいのがアルコール類と食事の関係です。ビール500mlは約200kcal、日本酒1合は約180kcal、グラスワイン2杯は約150kcal、焼酎(25度)グラス2分の1杯(100ml)やウイスキーダブル1杯(60ml)は約150kcalとなり、食事内容に合わせて量の調整も必要です。ご飯茶わん1杯は約250kcalですので、夕食を700kcal程度にするならば、ご飯はお茶わん1杯まで、揚げ物や油物などカロリーの高いおかずではなく、あえ物や酢の物、焼き物など、和食系のヘルシーな料理でカロリーを控えることがお勧めです。
 逆に揚げ物やカロリーの高い食事のときは飲酒量を控えるなど、バランスを考慮し、飲み過ぎ食べ過ぎをしないように注意しましょう。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  身近な所に里山を

 皆さんはビオトープという言葉を知っていますか?
 これはドイツ語で「生き物が暮らす場所」を意味します。森や草原、川や海、干潟など、生き物が暮らしたり利用したりする場所のことです。この言葉は、土地利用と自然の共存を考えるときに、生き物の視点で考えることが大切なことを教えてくれます。
 里山が少なくなりつつある現在、その大切さを知る人たちが学校の中で里山の自然をお手本にビオトープを造っています。例えば、かつて里山の風景が広がっていた埼玉県のある小学校では、学校の隣の雑木林を森のビオトープとして利用するだけでなく、校内の空き地をバッタの暮らす原っぱにしたり、コンクリート池を地域の水草や野生のメダカがすめる池に変えたり、生き物がすめるかどうかを考えた取り組みをしています。清掃前のプールにいたヤゴを救出し、ビオトープに放ったところ、水草に上り、脱皮してトンボになる姿を子どもたちは目にしました。
 この地域にかつてオオムラサキというチョウがいたことを知った子どもたちがいました。このチョウは、幼虫のときはエノキという木の葉を食べて成長し里山の雑木林の樹液を食料とします。そこで子どもたちは市内の全学校に手紙を出してエノキが生えているかどうかを聞いて、地域にエノキがどれくらい生えているかを調べ、オオムラサキが戻ってくるための方法や小さな自然のつながりの大切さを知りました。学校から地域全体に目を向け、里山の自然を取り戻していこうという子どもたちの発想がすごいですね。
 ビオトープの保全や整備は、その地域に暮らしていた生き物を呼び込むことができ、身近な所に自然体験の場を造れるのです。私たちの協会では2年に1度、「全国学校・園庭ビオトープコンクール」を開催して学校や園庭のビオトープを紹介しています。まずは皆さんの周りのビオトープを探してみてくださいね。

●日本生態系協会

季節の室礼  七夕

 7月7日は七夕です。
 七の夕と書いて「たなばた」と読むのは、棚機津女(たなばたつめ)という乙女たちが、7月7日の夕方に水辺に棚を建てて、神の衣を機織りしていたことが由来です。
 さらに皆さんがよく知っている七夕伝説と、裁縫・書道・音楽の上達を願う乞巧奠(きっこうでん)という行事が、中国から日本へ伝わり七夕の行事になりました。
 新暦では梅雨真っただ中の七夕ですが、雨が降ってもカササギが羽を広げて連なり天の川に橋を架けてくれるので、2人は会えるという言い伝えもあります。このカササギが白鳥座のことで、織り姫のこと座と、彦星のわし座を結んだのが夏の大三角形です。
 七夕は笹の節句とも呼ばれますが、笹飾りは江戸時代からの風習です。笹竹は成長が早いため短冊の願いが早く天に届きますように、との思いが込められています。
 さらに昔は短冊ではなく、サトイモの葉に集まった露で墨をすり、カジの葉に歌や願い事を書くという風習もあったそうです。
 笹には、天の川にちなんで大漁網・糸を表す吹き流し・ちょうちんを飾ると風情があります。ぜひ家族で短冊に願い事も書いてください。短冊や笹飾りは、陰陽五行説に基づいて、5色で彩るのがいいでしょう。
 書道を習っている人は、上達を願いお気に入りの筆やすずりを飾りましょう。裁縫が趣味の人は、糸巻き・束ねた糸・蚕の繭を飾るのもいいですね。音楽、特に和楽器を習っている人はお道具やミニチュアを飾ると絵になります。
 この時期は「麦秋」とも呼ばれる麦の収穫の季節。七夕の行事食でもあるそうめんをいただきましょう。機織りの糸や天の川を連想させます。切り口が星形のオクラを添えるのもいいですね。そうめんの原型といわれているねじりかりんとうや、星のようなコンペイトーも子どもたちに喜ばれるでしょう。

和文化講師●滝井ひかる


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