お役立ち情報コラム

生活に役立つ情報や営農情報をお届けします

2022年3月

家族の健康 高齢者の自動車運転

 わが国では、75歳以上の人の3割以上が運転免許証を保有し、特に農業従事者では、自家用車やトラクターなどの運転をする高齢者も多いと思われます。しかし、自動車運転に必要な能力は加齢により変化します。運転の技能は個人差が大きく、また、加齢による変化にも個人差があります。さらに、加齢による変化は通常は徐々に出現するため、本人は自覚しにくいことがあります。
 自動車は、便利な乗り物ですが、使い方によっては人の命を奪う「走る凶器」にもなります。ですから、運転の可否の判断を本人の希望だけに任せるのは心配されます。
 運転は、目的地までの経路を考え、周囲の様子を目や耳からの情報で察知し、さまざまな判断をします。走行中は前方を見ながら、バックミラーで後方の状況を確認、同時に速度などの計器類を見ます。状況に合わせアクセルやブレーキを踏みながらハンドル操作をします。こうした運転に必要な瞬時の判断と複合的な動作が、高齢者は苦手です。
 視力低下や視野の狭窄、聴力低下、記憶力低下、判断力の低下、筋力低下、四肢の感覚が鈍くなるなど、さまざまな能力が加齢によって低下します。高齢になると心臓病、高血圧や血糖値異常などの病気を有する人も増えます。そのため、頭がボーっとする、目まいがする、イライラする、眠くなるなどが運転中に出現すれば、交通違反や事故の危険も増すわけです。
 高齢者の運転は、悪天候の日や体調不良の日は避け、慣れた道だけを走り、車選びも格好良さより、運転しやすさと安全性で選んでください。そして、運転時に危険を感じるようになったり、同乗した家族や仲間から「運転は危ない」と忠告されたら、早めに運転免許を返上する勇気も大切です。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米と日本人 お花見弁当

 驚くかもしれませんが、弁当は中国の浙江省杭州辺りがルーツです。「便当」と書きます。食べ物を容器に入れて持ち運びができ、当座に便利の意味です。
 この「便当」の文化が室町時代に京都に伝わり、辨当、さらに弁当と書き改められたのです。便は便所や便痢(下痢)に通じ、食物としてふさわしくなかったからです。
 花見弁当が盛んになるのは、絢爛たる文化を迎えた安土桃山時代です。京都の町衆(商人)たちは、とっくりや杯、取り皿、幾種類もの酒肴をコンパクトに組み込んだ重箱を提げ、花見へと繰り出したのです。なんと即席のいけす水泉を作り、コイやフナ、アユなどを泳がせて、刺し身や焼き物にして興を盛り上げました。締めくくりは焼きおにぎり。これにツクシや菜の花のあえ物が付きました。
 貨幣経済が発達する江戸元禄時代に入ると庶民にまで花見弁当が広がり、桜の名所へと人々はめいめい手作りの弁当を提げ、妖艶な色香を漂わせる花の下で、花より団子、飲食を楽しみました。
 江戸や上方だけではなく、地方の農村にもこの花見弁当が広がり、明日への英気を養うと同時に今年の豊作を願ったのです。
 桜のサは稲の神様、クラはその居場所。花の咲き具合で吉凶を占ったのです。
 戦後の食料の乏しい時代でも、漫画『サザエさん』の磯野家は家族そろって満開の桜の木の下でささやかながら、和やかな宴を開いています。今もなお、庶民の楽しみ。花見弁当は親族、友人、社会の絆を強く結んでいるのです。
 なぜに日本で弁当文化が発達したのでしょう。その秘密は日本の米にあるのです。冷めてもおいしいからです。おかずもその通り。近年の米はさらに進化して、調理法に合った米が開発されています。世界に向かって自信を持って輸出ができる時代を迎えました。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー 小さい傘の花を見守って

 春は強風の季節です。3月、4月の平均風速が一年の中で最も強くなるという地域が少なくありません。冬の間、居座った寒気が弱まり暖気が入るようになると、寒気と暖気のぶつかり合いで低気圧が発達しやすくなるためです。冬型の気圧配置が緩み低気圧が近づくと、低気圧通過前は南風、通過後は北風が吹きます。低気圧の発達の程度によっては暴風が吹き荒れ、春の嵐となることもあります。
 4月は新生活が始まる季節です。特に初めて小学校に通う新1年生は、小さい体で大きなランドセルを背負い、ランドセルが歩いているかのように見えることもあります。雨が降り、ランドセルを背負った子どもたちの小さい傘の花が咲くときには、強風で小さい体があおられ転んでしまわないか心配です。特に車の交通量が多い道などでは、周りの大人が気を付けてあげましょう。

●日本生態系協会

季節の室礼  花まつり

 春といえばお花見。梅や桜などの花々が順に見頃を迎えます。桜のお花見は、その年の豊作を願って田の神様が宿る桜を愛(め)でたのが始まり、といわれています。
 仏教の行事「花まつり」は、お釈迦様の誕生日である4月8日に行われます。
 この日お寺では、花で飾られた花御堂に、誕生した姿の釈迦像が置かれます。お釈迦様は生まれてすぐに東西南北へ各7歩進み、右手で天を、左手で地を指し「天上天下唯我独尊」(生きとし生けるものは皆、尊い命を持つ)と言ったそうです。まるで映画『サタデーナイトフィーバー』のような姿のその誕生仏に、ひしゃくで甘茶を掛けてお祝いします。甘茶を掛けるのは、誕生のときに9頭の竜が天から香湯を降らせ、産湯を使わしたことに由来します。
 花まつりでいただいた甘茶を家族で飲むと、無病息災でいられるといわれています。この時期、生花店にも桜が出回ります。もしお花見に行けなくても、桜をお部屋いっぱいに飾りましょう。
 かわいらしいお地蔵様の香立てなどを飾ると花まつりの雰囲気が出ます。花まつりでまかれる「散華」を散らしてもいいですね。ハスの花びらを模した物で、お寺によって美しい絵や禅語が書かれ、コレクターも多いそうですよ。

和文化講師●滝井ひかる


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