お役立ち情報コラム

生活に役立つ情報や営農情報をお届けします

2022年5月

家族の健康 コロナうつ

 新型コロナウイルスの感染拡大で生活が変わりました。農業従事者には「仕事は今までと変わらない」と言う人と、「農作物の売れ行きが悪化した」など、影響を受けた人もいるでしょう。仕事以外では、自粛生活でストレスがたまったり、子どもの休校などで家族の生活が変化して負担が増えたり、精神的な負担になることもありました。
 新型コロナに感染する心配は、むしろ感染者が少ない地域で強く「この地区の感染者第1号になってしまったら……」と不安を抱く人も多いでしょう。さらに最近では、農作物の種類によっては「価格低下で収入激減、夜も眠れない」とか「今後が不安でまったくやる気が出ない」など、落ち込む原因もいろいろでしょう。このような新型コロナウイルスの感染拡大に関わるメンタル不調を、俗に「コロナうつ」と呼ぶこともあるようです。
 コロナうつの対策として、まず大事なのが新型コロナ関連の情報を見過ぎないこと。1日2回までと決めておきます。他の問題が不安の要素になっているなら、その要素への対策を考えます。経済的なことなら、各自の立場や状況に合った支援策の相談窓口に連絡してみましょう。
 ストレスがたまるなら、屋外でウオーキングやサイクリング、写真を撮る、写生をしてみるなど、手軽に試し、楽しみましょう。屋内なら、動画サイトを見ながら好きなジャンルの音楽に合わせてのダンス、家族でフィットネス系のテレビゲーム、料理の新しいレシピへの挑戦、書道や手芸などを集中して行ってみるなど、新生活でのストレス発散法を見つけましょう。
 メンタル不調も自力で改善できないときは、医療機関の受診をお勧めします。眠れない、疲れが取れないなど体の疲れも伴う内科的な不調なら「心療内科」、メンタル面の不調だけなら「精神科」の受診が適しています。

健康科学アドバイザー 福田千晶

水飯から湯漬け、お茶漬けへ

 東南アジアのタイで、食欲が減退すると飯に水を掛けて食べると聞いて驚きました。メコン川の流れを見ると、水当たりが心配になりました。
 日本ではすでに平安時代に水飯を食べているから、水飯の歴史なら日本の方が、タイより古いと思います。「今は昔」で始まる『今昔物語集』で、三条朝成という大兵の公家さんが痩せるためにどうしたら良いかと医者に相談したところ、温かい飯に冷水を掛けて食べる水飯が良いと勧められ、それではとアユのなれずしとウリの漬物を菜にして食べたら、うまくて何杯もお代わりをしました。それを見た医者はこれは痩せるどころかかえって太ってしまうと言ってさじを投げました。同じく平安時代には湯漬けもありました。これは清少納言が書いた『枕草子』に出てきます。冷や飯に熱湯を掛けるだけ。
 安土桃山時代、いわゆる戦国時代になると抹茶の文化が盛んになります。その抹茶を飯に振り掛け、湯を注いで食べる茶漬けが出てきます。
 やがて中国大陸の福建省からインゲンマメでおなじみの隠元禅師が元禄時代以前に日本にやって来て、その後、山城国宇治に萬福寺を建立し、茶葉をいった煎茶を始めます。ここにいた永谷宗円がこの煎茶を売り歩き、全国に広め、日常の暮らしに欠かせない飲料になりました。
 この煎茶の湯を飯にぶっ掛けたのが茶漬けです。元禄時代の初めごろ、名古屋城の畳奉行をしていた武家・朝日又左衛門の日記に初めて出てきます。そのことにより、京坂やお江戸の庶民の夕食はとうとうお茶漬けサラサラになりました。
 今も食欲のないときは漬物を友にしたお茶漬けは食べ良いし、一杯やった後の口直しにももってこい。時には「永谷園」のお世話になることも。そりゃ当たり前、煎茶を売り出したのは永谷宗円だもの。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー 雨音は癒やしの調べ

 感染症対策をしたレジャーとして、野外キャンプが注目されています。おいしい空気を吸い自然の音を聞いていると癒やされますよね。自然の中の音は、メトロノームのような規則的なリズムではありません。だからといってめちゃくちゃなリズムでもありません。その中間の絶妙なリズムの音が私たちを癒やしてくれます。
 雨の音もその一つです。雨の音だけが入ったCDもあるくらいです。
 水琴窟というのがあります。地中にかめを埋めて洞窟を作り、水が落ちたときの音を楽しむ趣向です。また、傘を差して歩いているとき、傘に当たる雨音もよく聞いていると心地良く感じられることもあります。雨の音を楽しむために良い音がするように作られた傘もあるということです。
 雨の音を楽しむことができれば、およそ1カ月半続くうっとうしい梅雨の時期も楽しく乗り越えられそうです。

●日本生態系協会

季節の室礼  入梅

 暦の上では毎年6月10日ごろ、入梅となり、実際に梅の実も熟し始めますが、気象庁が発表する「梅雨入り」とは少しズレがあるようです。
 この時期は、傘を新調したくなりますね。最近は、ビニール傘をリサイクルしてバッグにしたり、着物をリメークして和傘にしたりすることが注目されているようです。
 日本列島を北上するようにホタルの幻想的な姿を見ることもできます。水がきれいな場所で見られるホタル。一時は環境汚染で減少しましたが、保全活動も行われ再び見られるようになってきました。ヘイケボタルやゲンジボタルといった種があり、実際『源氏物語』にもホタルの求愛の明かりが描かれています。
 そして、雨にぬれたアジサイも美しい見頃を迎えます。みずみずしいアジサイをガラスの器いっぱいに生けるとすてきですね。竹の台にひしゃくを置いて、あじさい寺の手水舎のような演出はいかがでしょう。アジサイはしっかりと水上げをしましょう。花にお水が行くように余分な葉を落としたら、茎を斜めに切ります。茎の中の白いワタのような繊維をかき出し切り口を焼くと、水がよく上がりますよ。
 竹細工やガラス細工のホタルを添えて、水の季節ならではの室礼を楽しみましょう。

和文化講師●滝井ひかる



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