お役立ち情報コラム

生活に役立つ情報や営農情報をお届けします

2022年11月

家族の健康 冬の「皮膚掻痒症」に要注意

 冬は空気の乾燥により、屋外での農作業中は皮膚が乾燥しがちです。特に高齢になると水分や皮脂の分泌が少なくなるため、乾燥による皮膚掻痒症が増えます。
 肌の表面は皮脂膜により乾燥から守られ、さらにその下の角質層には、角質細胞間脂質と水分を保持する天然保湿因子が整っています。しかし、乾燥や加齢によって脂質や水分が失われると、皮膚を保護する機能が弱くなり、ほんの小さな外力でも刺激となってかゆみを引き起こします。
 皮膚が乾燥していると、本来は深部に位置しているかゆみを感じる神経が角質層まで伸びてくるので、わずかな刺激でもかゆみを感じるようになるのです。
 乾燥によるかゆみの予防や対策として、屋外での農作業が終わったら、家の中では加湿器を使用して、湿度50%程度を目指し、室内の乾燥を防ぎましょう。
 かゆみがあると入浴時に体をゴシゴシ洗いたくなりますが、強くこすると皮膚を守る皮脂膜が落ちてしまいます。熱過ぎる湯、ボディーソープの大量使用、ナイロン製のたわしやタオルで洗うことなども、同様に皮脂膜が落ちてしまうのでやめましょう。入浴後は保湿剤を塗って乾燥を防ぎます。また、下着はかゆみを引き起こしやすい化学繊維より、木綿やシルクといった肌に優しい素材を選ぶと良いです。
 激しいかゆみで苦痛が生じたり、市販の保湿剤を塗っても治らない場合は、皮膚科を受診してください。すでに治療中の病気のある人は、その病気がかゆみの原因になっていたり、薬の副作用で皮膚の異常が生じたりすることもあるので、主治医にも相談してください。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米と日本人 雑煮

 雑煮の起源については諸説ありますが、文献記録に出てくるのは室町時代。京都の足利将軍家などの高級武家における婚儀の夫婦固の杯を交わすときの酒こうとして用いられました。当時の『小笠原流礼法伝書』によると鏡餅の分身である丸小餅に開運縁起物の海山の幸を組んだ、みその澄まし汁(垂味噌)の煮物です。雑は大ざっぱの意味ではなく、種々という意味です。
 丸小餅は円満を意味するとともに固く両家と夫婦を結び、かつ望みをかなえるに通じます。
 この雑煮がおいしかったので、その後、貴族などに受け入れられ、来客のもてなしに利用されるようになり、烹雑と呼び変えられました。15世紀末、正月元旦になると金閣寺において雑羹と称して祝いの酒こうとして用いられました(『鹿苑日録』1488年)。具は「餅、豆腐、里芋、なずな、昆布」で、味付けはみそ。
 この金閣寺の雑煮が江戸時代中期の京都の人々に受け継がれ、甘い白みそ仕立ての雑煮になりました。ここから近畿一円へと広がっていくのです。一方、江戸は幕府の威信を示すニューモードの角餅と澄まし汁(垂味噌からしょうゆ仕立て)になり、後進地の東日本の各藩は江戸風一色に染まりました。例外もあり。片や西日本の各藩は京風と江戸風を折衷して丸餅と澄まし汁になりました。
 正月の雑煮が全国で庶民化するのは江戸時代末期から明治にかけてで、現在の型が出来上がるのは明治40年代です。鶏や牛、豚、エビなどが入るのはこの頃からです。それでも昭和の戦前までは大都市を除く地方の農山漁村では江戸時代同様に身の回り(四里四方)の産物を用いた食生活でしたから、各地の雑煮のだしや具に違いが出たのです。500種類はあるといわれる雑煮こそ、まさに文化財的食べ物といえるのです。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー 雪の情報

 12月7日は二十四節気の大雪です。北日本や山間部では大雪の季節が始まる時期です。東日本や西日本の都市部でも初雪が降る時期になります。平年では、福岡で12月18日、大阪12月26日、名古屋12月22日、東京は1月3日となっています(※)。
 初雪というと、雪がハラハラと舞い、冬の始まりを実感するような風情ある光景をイメージする人も多いでしょう。でも、時には初雪が積雪となり、大雪になってしまうこともあります。大雪で災害が予想される場合には、大雪注意報や大雪警報が発表されます。災害が起きるほどは降らなくても、生活に影響が出そうな場合は、「雪に関する情報」が各気象台から発表されます。雪に慣れていない都市部では、数cm積もるだけでも、交通に影響が出たり、転倒事故が多発したりします。これからの季節は雪の情報に注意が必要です。
※気象庁:1991~2020年平均値

●日本生態系協会

季節の室礼  クリスマス

 街はすっかりクリスマスデコレーションに彩られていますね。
 季節の風物詩として、ぜひ室礼にも取り入れたいクリスマスカラー。クリスマスの装飾に使われる常緑樹は、エバーグリーンともいわれ「永遠の命」を表しています。モミの木は、葉が十字に見えることから、またヒイラギも神聖な木として、クリスマスに飾られます。赤は「キリストの血」を表していて、サンタクロースの赤い服は、教会の祭服が元になっている、という説があります。白はホワイトクリスマスの雪……ではなくて「純潔」を表します。
 クリスマスツリーの上に輝く星飾りは「ベツレヘムの星」です。これはキリスト誕生の際に輝いた星、といわれています。ポインセチアがクリスマスに飾られるようになったのも、一説には葉の形がこの星に似ているから、とのこと。
 オーナメントの赤い玉は、知恵の実を意味するリンゴを表している、といわれています。
 この時期の室礼は、雪に見立てた綿の上にミニリンゴを飾るのはいかがでしょう。聖歌の楽譜を飾るのもすてきですね。100円ショップで売っている赤い塗り物のますに吸水スポンジを入れて、金や銀のろうそくを立てます。その周囲をモミの木やヒイラギで飾りましょう。メリークリスマス!

和文化講師●滝井ひかる



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