お役立ち情報コラム

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ライフ 2023年5月

お米をおいしく楽しもう お米の魅力を正しく伝えたい

 お米はテレビ番組の特集で取り上げられることがあります。私の経営する精米店の場所は東京・原宿で、テレビ局や制作会社が比較的近いこともあり、出演のお声がけをいただくことがあります。ただ、テレビで取り上げられるお米の内容は、私たち米業界の人間が伝えたいことと若干の齟齬(そご)があるため、出演のたびにそのギャップに頭を悩ませています。  番組的に求められるのは「分かりやすさ」です。  例えば「炊飯方法」。よく「簡単においしく炊飯できるこつを教えてほしい」という要望があります。しかし炊飯は調理です。手間を惜しまないことがおいしいご飯への近道です。それを省略して得られるおいしさとは、果たしてそのお米が持っている本来の味なのか、いつも悩んでいます。  例えば「お米の味」。その味を見える化する手法に「食味マップ」があります。横軸に食感(硬め、軟らかめなど)、縦軸に味(甘い、あっさり・さっぱりなど)を取り、四つの領域を設け、そこにお米を品種別にマッピングします。知名度のあるお米では「硬め・さっぱり」の領域に当てはまる品種は少ないのですが、それだとバランスが悪いため、マイナーなお米を取って付けたようにそこに当てはめる場合があります。  分かりやすさを求めるが故に、見せ方、取り上げ方が極端になり、裏腹に細かい話、例外的な話が省略されることもあるのです。  ただ、こういった体験をすると、消費者目線で見たときにお米に何が求められているのか分かります。お米の味は淡白で、見た目も地味です。そんな素材に視聴者から関心を持ってもらうにはどのようにすべきか。そこでテレビの制作側の皆さんは悩んでいるのです。本来、精米店をはじめとした米業界の人が悩むべき課題でもあるのです。  このような「番組制作の視点」を意識してみると、また新しい角度からお米の魅力を発掘できるかもしれませんね。

五ツ星お米マイスター●小池理雄

なくそう食品ロス 家庭で食品ロスを減らすこつ

 6月は環境月間。食品ロスを減らすことは、家庭で今日からすぐできる、環境に関する取り組みの一つです。では、私たちは何から始めたらいいのでしょう?  家庭の食品ロス削減は買い物前が勝負!です。  米国のミネソタ大学で、おなかがすいているときと、そうでないときとで、買い物金額を比べる実験をしました。空腹時では、そうでないときに比べると、最大で64%も買い物金額が増えてしまう、という結果が出ました。1000円で済むはずが、1640円になってしまう、というイメージです。確かに、おなかがすいていると何でもおいしそうに見えてしまい、つい買い過ぎてしまったり、レジ横にあるお菓子を籠に入れてしまったりしますよね。  これを防ぐためには、食事を済ませてから買い物に行くことが大切です。仕事帰りなどで難しいようでしたら、あめをなめてから行く、何か飲んでから行くなどすると良いのではないでしょうか。  2020年の春、コロナ禍の初期の頃、英国やアイルランド、イタリア、オーストラリアなどで家庭の食品ロスが減るという調査結果が得られました。買い物がしづらくなり、買い物前に家の食品在庫をしっかり確認し、買い物リストを作るようになったためです。イタリアではスーパーに入店できる人数に制限がかかり、まだ寒い3月、間隔を空けて店舗の外で行列に並ぶ必要がありました。入店後は手袋をはめて買い物しなければなりませんでした。  日本でも、「買い物は3日に1回にしましょう」「できるだけ1人で行きましょう」と某知事が呼びかける場面がありました。60代の女性会社員は新聞の投書で「買い物前に家の在庫を確認して買い物リストを作り、野菜を使い切るようにしたら食費が30%も安くなった」と書いていました。  皆さんも買い物前の一工夫で、家庭の食品ロス削減に取り組んでみてくださいね。

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

おいしく食べて美しく 梅雨太り対策

 ジメジメした湿度の高い日が続く梅雨の時期に、突然体重が増えることはありませんか? 梅雨の時期に体重が増えることを「梅雨太り」といいます。原因は、気圧や湿度の関係で、体内に水分がたまりやすくなり、むくむからです。今回は、体内にたまった余分な水分を排出し、梅雨太りを解消する三つの方法をご紹介します。 【1】カリウムを取る  野菜、果物などに含まれるカリウムには、体内の余分な塩分を排出させる働きがあるため、むくみ解消効果が期待できます。旬の食材のジャガイモ、キュウリには、カリウムが豊富に含まれているため、食事に取り入れると良いでしょう。汁物にジャガイモを入れたり、サラダにキュウリを入れると手軽にカリウムが取れます。 【2】減塩する  塩分を取り過ぎないことも大切です。汁物を作るとき、野菜などの具を多くして汁を減らすことで、塩分を抑えられます。また、煮物、汁物を作るときは、かつお節、干しシイタケのだしを利かせると塩分を減らしても物足りなさを感じません。一食分全てを減塩にするのではなく、一品はしっかりと味を付け、他の料理を減塩にすると満足感が得られて続けられるでしょう。 【3】冷え症対策  体が冷えると血流が悪くなりむくみを引き起こします。冷え症対策には、体を温めるとして知られるショウガがお薦めですが、生で取るより加熱すると良いです。ショウガの辛味成分の一つであるジンゲロールには、血管を拡張させて血行を良くする働きがあります。加熱するとショウガオールに変化し、体の熱を作り出す働きをするため、炒め物や汁物にショウガを入れると良いです。また、冷たい飲み物は氷を抜く、献立に温かい汁物を加えるなどの工夫で体が冷えにくくなります。  しっかり対策をして、梅雨太りを乗り切りましょう。

栄養士●吉田理江

ゴマおむすびでどんどん長生き

 ■ 大盛りご飯を3杯も  ほかほかのご飯にゴマ塩をパラパラとかけて頰張ります。  いやー、うまくて、うまくて。  夢中で食べて、気付いたら大盛りご飯を3杯目。お米の国・日本に生まれて良かったなーと、しみじみと感謝しています。  ゴマおむすびもうまい。  たいがい、おむすびは炊きたてではなく、常温になってから食べます。ちょっと冷ましてから食べると、ご飯に消化しにくいでんぷん質のレジスタントスターチが増えて、食物繊維と同じような働きをします。  つまり、整腸効果がアップしてお通じが良くなり、元気も出るのです。  そんな素晴らしいおむすびに黒いゴマが点々としていて食欲をそそります。ゴマの小さい粒の中には栄養成分がぎっしりと含まれているのです。
■ 紫式部も食べていたかも  ゴマが古くから世界各地で「食べる丸薬」とか、「長寿の秘薬」と呼ばれてきたのは、セサミンという成分が多く、体の酸化を防いで若返り作用が強いためです。  しかも、ビタミンEも多く、こちらも若返り効果が高く、セサミンと一緒になって働くためにアンチエイジングパワーがいっそうアップします。  ゴマには、もう一つの若返りビタミンのナイアシンも多く、女性の美しさと関係の深い成分です。美しいお肌の形成に効果があるだけではなく、女性ホルモンの合成にも関わりがあり、食べると女性的な魅力もいっそう高くなるのではないでしょうか。平安時代の医術書『医心方』には、「ゴマを久しく服用すると、体が軽くなり、老衰を遠ざけて、寿命を延ばす」とあり、紫式部たちも食べていたのは間違いありません。

食文化史研究家・日本の長寿食研究家●永山久夫



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