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家庭菜園・家庭園芸  2023年8月

私の食育日記 お菓子作りで実験中

 娘がお菓子作りに夢中です。クッキーにケーキにパン作り、レシピが載っている児童書を借りてきては、次はこれを作りたいと張り切っています。そんな娘が、「お菓子作りってほとんど小麦粉使うね。材料は同じなのにどうして膨らんだり、さくさくになったりするの?」と質問してきました。お菓子だけでなく、うどんやパスタなど小麦粉が原料の身近な食材は多くあります。
 小麦粉に含まれるタンパク質にはグルテニンとグリアジンと呼ばれる物があります。水を吸収するとこの二つのタンパク質が絡み合い、弾力のある塊になります。これをグルテン形成といいます。このグルテン形成された塊はドウといい、私たちが生地と呼んでいる物です。小麦粉には強力粉、中力粉、薄力粉とありますが、これらはこのタンパク質含量の違いです。強力粉はタンパク質含量が多く、よりグルテンが多く形成されます。そのためもちもち感が必要なパンに使われ、逆に軽い食感が好まれるクッキーやケーキは、タンパク質含量の少ない薄力粉が使われます。
 この小麦粉の塊である生地を膨らます方法はいくつかあります。パンでは酵母を発酵させてそこで生じる二酸化炭素によって膨らみます。クッキーやドーナツ作りに使うベーキングパウダーは合成膨張剤といい、炭酸水素ナトリウムから発生させた二酸化炭素によって膨らみます。スポンジケーキは、卵白を泡立てることでできる気泡を熱によって膨張させることで膨らみます。このように、グルテン形成の量と、膨らませる物の違いによって同じ小麦粉からもさまざまな食感、形の物ができていくのです。
 娘には「水を入れたらどうなるかな?」とか、イーストやベーキングパウダーを使う際は「これが生地を膨らませるんだよ」と材料それぞれの役割を伝えるようにしています。それだけで、お菓子作りが実験のようになって娘はより楽しくなるようです。

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


野菜もの知り百科 かい割れダイコン

  かい割れダイコンはダイコンですが、大きいわけでも、根の部分でもありません。胚軸と子葉を食用とするスプラウトです。スプラウトは発芽して新芽になったばかりの野菜(発芽野菜)で、成長した状態(完成野菜)と比べると、格段に多くのミネラルやビタミン類を含んでいます。発芽する段階で、種子のときには存在しなかった栄養成分を自身で合成するからです。
 かい割れダイコンは、「貝割れ大根」とも書きます。双葉が開いた二枚貝のように見えることからその名が付きました。平安時代にはすでに吸い物やあえ物に添えて食べられていたようです。
 かい割れダイコンは1970年代までは料亭でしか食べられない高級食材でした。銀座に近い築地市場には専門の仲卸があり、木箱にきれいに並べて扱われていました。
 かい割れダイコンの栽培は短期間ですが、技術がなければ胚軸を長くし、鮮度の良い物を作ることはできません。「早生四十日」という極早生品種を砂土にまき、発芽したら子葉の付け根まで土寄せし、本葉が出る前に収穫します。施肥と灌水(かんすい)にも特別の工夫がいります。
 1980年代中ごろになると、水耕栽培で大量生産されたかい割れダイコンが流通するようになりました。清潔なプラスチック容器入りで低価格なので、あっという間に一般家庭に普及しました。
 一年中店頭に並び、和洋中の料理に利用されます。根元を切ってかつお節としょうゆをかけるだけで酒のさかなになり、ピリッとした辛味でお酒が進みます。かい割れダイコンのハム巻きは子どもが大好きです。
 9月18日はかい割れダイコンの日です。日本かいわれ協会(現・日本スプラウト協会)が1986年に、健康野菜のかい割れダイコンを普及させるために制定しました。9月は第1回総会が開かれた月、18日は8を横にすると∞(無限大)、その下に1を付けるとかい割れダイコンの形になるからです。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 ナバナ 春に先駆けて季節を味わう

  ナバナに似た中国野菜で、茎葉と花蕾(からい)を食べます。草丈30~40cmと小型で暑さに強く、高温でもとうがよく立つので幅広い時期に栽培ができます。茎は柔らかく、黄色い花を付けます。ナバナと同様にさっとゆでておひたしや、油炒めにしていただきます。中間地では4月から9月まで種まきができ、夏まきでは40日程度、春と秋まきでは60日程度で収穫期となります。
[品種] 中国には収穫までの生育日数の短い早生品種から、生育日数の長い晩生品種までいろいろありますが、日本では早生系の品種が作られています。「早生系サイシン」(タキイ種苗)、「中国菜心」(サカタのタネ)などがあります。
[畑の準備]あらかじめ土の酸性を改善するため、1平方m当たり苦土石灰100gをすき込んで耕しておきます。次に、種まきの1週間前に幅90cm程度の栽培床(ベッド)を作り、1平方m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100gと堆肥2kgを全面に施し、土と混ぜ、くわでベッドを平らにならします(図1)。
[種まき] ベッドに直角に条間20~25cmの種まき溝を切ります。まき溝は木板を土に押し付け、溝を付けると深さが一定になります。じかまきとし、まき溝に2、3cm間隔に筋まきします(図2)。その後、べたがけ資材を使えば、乾燥や強い雨を防ぐと同時に害虫の予防にも有効です。
[間引き]1回目は発芽後、子葉が重なる株を間引き、2回目は本葉2、3枚の頃に株間5cm程度、3回目は本葉5、6枚で株間15~20cmに間引きます(図3)。
[追肥]最後の間引き後に1平方m当たり化成肥料50g程度の追肥をし、軽く土寄せします。なお、畑が乾くときには、十分灌水(かんすい)します。
[病害虫の防除] アブラムシには粘着くん液剤などの気門封鎖剤で防除します。アオムシ、コナガにはアファーム乳剤、トアロー水和剤CTなどを使います。なお、べたがけ資材を除いた後は、防虫ネットで被覆するのが良いでしょう。
[収穫]とう立ち後、30cmくらいに伸び1、2花が咲き始めたら株元から切り取って収穫します(図4)。なお、下の葉を3、4枚残して切り取ると、脇芽から再び茎が伸びてくるので、さらに追肥して長い間収穫ができます。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎




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