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お役立ち情報コラム

ライフ(2017年11月)

健康百科 子どもの誤嚥・誤飲

 「誤嚥(ごえん)」と「誤飲(ごいん)」は、言葉の響きは似ているけれども、その内容はまったく違います。
 「誤嚥」とは、通常なら食道へ送り込まれるはずの食物や唾液などが、何らかの理由で誤って咽頭、気管に入ってしまう状態をいいます。これが原因で起こる病気に「誤嚥性肺炎」があります。
 もう一方の「誤飲」は、食物以外の物(特に体に有害な物)を誤ってのみ込んでしまうことです。誤飲の多い物としては、硬貨、待ち針、プラスチックの小物、ピンなど、たばこ(特に吸い殻)、瀬戸物製品、金属類(針、くぎなど)、小型電池、洗剤などがあります。2、3歳までの子どもがいる家庭では、こういった誤飲されやすい物は机上や床上に置かないことが大事です。
 鋭い縁がない硬貨などは、待っていれば数日のうちに便と一緒に排出されることもありますが、食道の途中に引っ掛かっているときは食道の壁に穴が開くことがあるので、早めに取り出さなければなりません。
 子どもの傷害予防の第一人者、山中龍宏司医師の、食べ物による誤飲誤嚥窒息の予防方法を紹介します。
 まず3歳になるまでは、乾いた豆類や乾いた豆類が入っているチョコレートは食べさせません。食事中に子どもの肩をたたいたり、大声で呼んだり、びっくりさせたりしない。薄い小片になる食べ物は禁物。生のニンジン、セロリ、リンゴなどは、つぶしてから与える。ソーセージやフランクフルトは小さく切り、ソーセージの外皮は剝ぐか、輪切りにするのではなく、縦に割いてから切ります。プチトマトなど球形の場合には2つないし4つに切ります。
 家庭での注意事項として、寝た姿勢で食べたり、歩きながら、遊びながらの「ながら食べ」は絶対しないこと。車や電車、飛行機の中では、豆類は食べさせないこと。急停車や揺れが誤飲を招くことがあります。

佐久総合病院名誉院長 松島松翠


お米の歴史学  台湾の米

 朝鮮と同じように日本の植民地であった台湾でも、日本への移入を前提とした産米増殖計画が実施されました。ただ朝鮮とは気候・風土が異なることから、事情は異なりました。
 朝鮮の米は基本的にジャポニカですが、台湾の場合は在来種がインディカでした。水や温度の管理が難しいジャポニカは、台湾での生産が困難でした。
 日本が台湾で行った産米増殖計画は二つありました。まず一つは、台湾の気候に適した品種改良の試みでした。もともとインディカ種とジャポニカ種の交雑育種は難しいとされてきましたが、台湾総督府台中試験場で根気強い実験が続けられ、それが昭和に入って実を結びました。これが蓬莱(ほうらい)米と呼ばれる種類で、粒形・大きさ・食味とも日本産米に近くなりました。温暖な台湾の気候によって、水稲二期作も容易となり、農家の収益は3割ほど増加したといわれています。
 そしてもう一つの事業が、大規模な水利事業で、新たに近代的な水利施設の建設を進めたのです。地形的に台湾は西南部に広大な平地を有していますが、中でも嘉南(かなん)平原地区は、日照りや豪雨および滞水に悩まされてきましたが、台湾総督府は、八田與一(はったよいち)という技術者が中心となって、巨大な烏山頭(うさんとう)ダムを建設し、広大な地域に水路を張り巡らせて、嘉南大圳(かなんたいしゅう)という農業用水施設を1930年に竣工させました。多くの畑地は水田となり、水田面積が著しく増加するとともに生産性も向上しました。
 台湾の米作りは飛躍的な展開を遂げましたが、ここで問題が生じます。それはサトウキビ生産です。台湾では砂糖を大規模に生産しており、その推進に総督府は力を入れていました。つまり米と糖とが相克しており、最終的には日本政府は、国内稲作農家保護のため、台湾における稲作の抑制を打ち出したのです。

国士舘大学21世紀アジア学部教授 ●原田信男


お天気カレンダー 気球で観測

 天気予報は、今の空の状態がどうなっているか、その原因は何か、それがどう動くか予想することで、組み立てられます。気温や風向風速、降水量などの観測が大切です。
 地上の観測は、アメダスなど観測地点がありますが上空の状態はどのように観測しているか知っていますか?実は毎日、1日2回全国の16の地点で小さな観測器を入れた箱を付けた気球を掲げて、高度30kmまで観測しています。観測器からのデータは、電波で次々と地上に送られてきます。最初は直径1・5mほどの気球が、上空に揚がるにつれて膨張し、高度30kmくらいでは8mにもなります。そしてやがて割れて、観測器を入れた箱はパラシュートでゆっくり落下するという仕組みです。
 電波でデータを送るという現代の科学技術と気球を揚げるという昔ながらの科学を利用して、観測しているんですね。

一般財団法人日本気象協会●檜山靖洋


万一に備えよう わが家の防災 冬の台風・爆弾低気圧とは

 

 2016年は8月初め現在で、台風の発生がとても少ない年として記録されることになりそうです。8月前半の時点で発生はわずか6個、上陸は0個。ちなみに昨年は8月までに16個発生し、3つ上陸しています。台風の来襲は、これ以降、次第に少なくなりますが、忘れてならないのが近年その発生が危惧されるようになり、大きな被害をもたらす「爆弾低気圧」の存在です。秋から春にかけて発生する強風、豪雨あるいは豪雪、沿岸では高潮を伴う大型の低気圧です。  爆弾低気圧は、台風のように北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)や南シナ海で発生した熱帯低気圧が暖められて発達し、日本に近づくのではなく「24時間で急速に発達する」温帯低気圧を指していて、暖気と寒気がぶつかることによって発生します。  秋から春にかけての日本列島付近はこれらの発生する気象条件が整いやすく、台風と違って被害予測が困難で、強風や豪雨の範囲が列島全体に及ぶ場合もあり、農作物、ビニールハウスなどにも甚大な被害を及ぼします。近年「爆弾低気圧」による被害は多大なものがあり、昨年10月に発生し、日本海側で急速に発達した爆弾低気圧は風速が秒速30mを超える強風域が広がり、最大瞬間風速は秒速43 mに到達。死者1人、負傷者15人、甚大な農作物被害を出しています。2012年4月にも西日本から北日本にかけて影響を及ぼした爆弾低気圧は、死者5人、負傷者350人もの被害が発生しました。気象庁ではこれらを「急速に発達する低気圧」と表現しますが、単なる低気圧と油断せずに、事前の屋外作業の制限、早めの屋内避難など台風以上に早めの対応が必要なことを覚えておきましょう。

災害危機管理アドバイザー●和田隆昌



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