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家庭菜園・家庭園芸  2023年9月

私の食育日記 ビタミンAで風邪に負けない体を目指す

 先日、小学校の栄養教諭の方のお話を聞く機会がありました。給食は、基本的には子どもが1日に必要な栄養の3分の1が摂取できるように作られますが、家庭で不足しがちな栄養素は3分の1より多くなるように考えてくれているそうです。そこで挙げられたのが、カルシウムとビタミンAです。カルシウムは子どもの成長に必要な栄養素としてたびたび挙げられ、意識されている家庭も多いかと思います。では、もう一つのビタミンAとは、どんな栄養素でしょうか。  
 ビタミンAは皮膚や粘膜を強くする役割があるため、感染症などの抵抗力を高めるとされています。また、目の粘膜にも必須な栄養で不足すると夜盲症や粘膜乾燥症のリスクがあります。ビタミンAは肝臓での貯蔵ができるため、摂取しないとすぐに欠乏症になるわけではありませんが、体内では生成できないので、食事から必要量を摂取していかなければなりません。
  ビタミンAはウナギやレバーに多く含まれる動物性の物と、プロビタミンAと呼ばれるニンジンやカボチャに多く含まれる植物性の物があります。不足しがちなビタミンAですが、実はビタミンAは過剰摂取によっても体調不良が起きる栄養素です。しかし、過剰摂取の主な原因はサプリメントやレバーなどの動物性ビタミンAによるもので、植物性のプロビタミンAは体内で必要な分だけビタミンAに変化するため、たくさん取っても過剰摂取の心配はありません。
 そのプロビタミンAを多く含むのはニンジン、カボチャ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜です。子どもが食べないからと出す量が減りがちな野菜ですが、風邪に負けない体づくりのためぜひ意識して献立に取り入れてほしいと思います。ビタミンAは油に溶けやすい性質で、油脂と共に取ると吸収率が向上するので、ツナやポン酢、みそなど、子どもの好みの味の炒め物にしてみるのもお勧めです。

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。男女2児の母


野菜もの知り百科 マスクメロン(ウリ科キュウリ属)

  団塊の世代が結婚適齢期になった1970年代には、それまで自宅で行われていた結婚式がホテルや結婚式場で行われるようになり、披露宴ではほぼ必ずマスクメロン(アールスフェボリット)が出されました。メロンのつるが鶴、ネット(網目)が亀に例えられ縁起が良いとされたからです。
 つる付きで販売されるメロンは専用のガラス温室で立ち栽培されたマスクメロンだけでした。マスクは仮面ではなく、麝香(じゃこう。香料=英語でムスク)を意味します。マスクメロンは甘さよりも独特の香りと食感を楽しむ果物です。
 ビニールハウスで地ばい栽培された大衆向けのメロンは、糖度だけならマスクメロンよりも高いですが、香りと食感はマスクメロンにかないません。付いているつるは、1株から1果しか取らない高級メロンの証しで、大衆メロンはネットメロンであってもつるは付いていません。
 メロンのネットは、果皮の成長が止まった後に内部が肥大することによってひび割れてできたかさぶたのようなものです。徐々にひび割れないと、きれいな網目模様にはなりません。マスクメロンは肥料と水分の吸収を完璧に管理するために、地面から隔離したベッドで栽培します。
 マスクメロンは専用施設と高度な栽培技術によって作られるので、1個数千円から数万円という価格で販売されるのです。高度経済成長期前には、入院した庶民が高根の花のマスクメロンを見舞いにもらい、自分の病気はそんなにひどいのかと勘違いして落胆し、病状が悪化してしまったという話があります。
 マスクメロンは収穫後数日で食べ頃になります。低温の冷蔵庫では追熟が進まず、常温の所に置くと甘い香りがしてきます。食べる2時間くらい前に冷蔵庫に入れて冷やします。  メロンのライバルはイチゴです。メロンもイチゴも贈答用のきり箱入りの物があります。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! ラディッシュ サラダの彩りに

  ラディッシュはダイコンの仲間で、欧州系の極早生種です。根部は小さくて球形や細長い形で色は白、赤や紫色があります。別名をハツカダイコン(二十日大根)というように、適期には1カ月程度で収穫できます。
 中間地ではほぼ周年種まきができます。種は少なめにまくか、間引きを早めに行って発芽時の軸の伸び過ぎを防ぎます。
[品種]代表的な品種は、早生で赤丸の「ニューコメット」(タキイ種苗)、紡錘(ぼうすい)形で紅白の彩りの「紅白」(サカタのタネ)、太さ1cm程度の白色細長のミニダイコン「雪小町」(サカタのタネ)など、かわいらしい品種がたくさんあります。
[畑の準備]種まき2週間前に1平方m当たり苦土石灰100g、1週間前に化成肥料(NPK各成分10%)100gと堆肥2kgを全面にまきます。よく耕し、幅90cm程度の栽培床(ベッド)を作り、平らにならしておきましょう(図1)。
[種まき]条間15~20cmのまき溝をベッドに直角方向に切ります。まき溝は木板を土に押し付け、溝を付けると深さが一定になります(図2)。種が重ならないように1cmくらいの間隔でまき、土を薄くかぶせます。その後、乾燥や強い雨を防ぐために、べたがけ資材で覆います。
[間引き]初め(図3-1)は本葉が見えた頃に重なっているところを抜き取ります。その後(図3-2)、葉が触れ合う程度に間引きをし、最終的(図3-3)に10cm間隔にします。最後の間引きのときに1平方m当たり化成肥料30g程度を条間にまき、根元に軽く土寄せします。
[病害虫の防除]アオムシやコナガの被害から守るには、べたがけ資材や防虫ネットの利用が有効です。種まきから収穫までネット被覆をしても良いでしょう。
[収穫]肥大が進んだ株から順次収穫します。赤色丸形の品種では直径2、3cmが適期です(図4)。育ち過ぎるとスが入ったり(中心部に空洞ができる状態になること)、球に亀裂が入ったりします。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎




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