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家庭菜園・家庭園芸  2023年11月

私の食育日記 果物で朝から元気に

 親子で料理をする――。食育という観点で見ても、とてもすてきなことです。しかし、実際子どもに手伝ってもらうと、大量にこぼしたり、
「これやりたい」とごねられたり、1人で料理をするより何倍も手間や時間がかかってしまいます。
 「手伝おうか?」というわが子の優しい言葉も、余裕のある昼下がりにはうれしさいっぱいですが、夕方など時間に追われているときは「うっ、今来たか」と、身構えてしまう私がいます。そこで、「お箸並べてくれる?」なんて無難なお手伝いを頼むと、「えー、もっとお料理っぽいことしたい」とこちらの意図を読まれてしまいます。そんなわけで、子どものお手伝いは必ずしも助っ人になるとは限らないもので、「よくお料理のお手伝いをします」と聞くと、お子さまだけでなく、親御さまも素晴らしいと心の中で思っています。
 私の娘も料理に興味があるようで、時間やこちらの焦りには構わず「手伝うよ」と声をかけてくれます。そこで最近は、1品丸々子どもに任せるという作戦を取っています。親が作りたい物の途中の手伝いだと、こぼす、違うことをされる――と、つい気になってしまうもの。でも、1品お任せしてしまえば、こちらは自分のペースで進めつつ、子どもも自由に料理ができます。
 「サラダをお願いしようかな」と言うと、大喜びで野菜を選び、ドレッシングまで自己流で作っています。スープをお願いした日には、ウインナーに卵など自分の好きな物だけで作って満足していました。もちろんドレッシングが辛くて食べられなかった、なんてこともありますが、1品お任せスタイルにしておけば、失敗で食べる物がなくなることもなく、こちらも穏やかにいられます。子どもとしても、材料決めから下ごしらえ、調理まで体験できるので、切る担当などと割り振られる手伝いよりも楽しいそうです。
 親も子も、楽しく一緒に台所に立つ時間を増やせるよう工夫していきたいと思います。

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。男女2児の母


野菜もの知り百科 コスレタス(キク科アキノノゲシ属)

 「中国野菜」は、中国から輸入されたニンニクやニンジンなどの生鮮野菜も意味しますが、一般には1972年の日中国交正常化に伴い種子が導入されて栽培されるようになった野菜をいいます。チンゲンサイやエンサイなどです。ハクサイも中国原産で、英名もチャイニーズキャベツですが、日本に伝わったのが日清・日露戦争の頃だったので「中国野菜」と言うことはめったにありません。
 タアサイは第2次世界大戦中に伝来し、寒さに強いため「如月菜(きさらぎな)」と名付けられました。雪の中でもゆっくりと生育するので「ちぢみ雪菜」とも称しましたが、普及したのは東北の一部だけでした。「中国野菜」として再登場したときは、円盤のような形状とおいしさから全国的な人気になりました。
 葉は厚みのある極濃緑色で、一見堅そうに見えますが柔らかで、繊維質が少なく歯切れが良いです。丸葉で葉数が多く、長い葉柄があり、放射状につぶれたように生育します。漢字ではつぶされた菜っ葉という意味の「塌菜(タアサイ)」と書きます。
 通年栽培ができ、特に寒さに遭った物は甘味が増しておいしいです。冬場は開帳型ですが、夏場は半立ち型で葉の枚数も少なくなります。
 癖がなく、炒め物、煮物、あえ物など、さまざまな料理に使えます。火の通りが早いので、シャキッと仕上げるには高温で、短時間で調理します。ベータカロテンやビタミンCを多く含み、それらはがん予防効果が期待されています。
 タアサイはアブラナ属の野菜ですから、春になるととう立ちして花を咲かせます。花が咲かなければ種子は取れません。タアサイのとうは菜の花としておいしく食べられます。次から次へととうが出て、収穫量は菜っ葉としてのタアサイよりも多いくらいです。とうは花や種を作るエネルギーを含んでいるので、食べると元気になります。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 寒起こしと天地返し 農閑期に行う土づくり

 最初は軟らかかった土は野菜を作り続けると次第に硬くなり、水はけが悪くなって病害虫が出やすくなります。春に備えて、菜園に野菜が少ないこの時期に土づくりをしましょう。

[水はけと通気の良い土]
 根は水に溶けた酸素を吸って生長します。水と空気が土粒の隙間を動きやすいような土の構造が大切です(図1)。水はけを良くするには土を深く耕し、下層の固くて水の抜けにくい土層を壊します。団粒を作るのは砂や粘土をくっつける役割をする堆肥などの有機物です。寒起こしや天地返しに合わせてバーク堆肥、家畜ふん堆肥などの有機物を混入します。

[寒起こし]
 厳寒期の1、2月に菜園を20~30cm粗く掘り起こし、土の塊を寒気にさらす作業です。土塊に含まれる水が夜間には寒さで凍結し、日中には溶けて乾燥します。この繰り返しで土塊が次第に崩れて、ふかふかの土になります(図2)。土中の害虫が寒さで死滅する効果も期待できます。

[天地返し]
 同じ場所で野菜を長く栽培していると、上層土には養分が蓄積し、下層土には固く根が入りにくくなっていきます。上層土には土壌病原菌や有害センチュウが増えてきます。このような畑では連作障害が発生し、野菜の生育が悪くなります。
 天地返しは、表面から30cm程度の上層土とその下60cm程度までの下層土を入れ替える土壌改良法です(図3)。普段耕す土層は軟らかでも、その下に固い土層があることがあります。これを耕盤といいます。長い間、トラクターのロータリーで耕耘(こううん)を続けていると耕盤ができてしまいます。天地返しで、耕盤を崩すことができます。
 これらはきつい仕事なので、作業の少ない冬のうちに行っておくと良いでしょう。連作が心配な菜園では、障害を避ける対策としても考えてみましょう。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎





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