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家庭菜園・家庭園芸  2023年12月

私の食育日記 寒い冬は鍋料理で乗り切ろう

 冬になるとわが家の食卓に頻繁に登場するのが鍋料理です。湯気の出る鍋を囲んで熱々の料理を食べるのは、冬の幸せな時間です。
 以前、雑誌の仕事で全国の郷土料理を取材した際、北から南までさまざまなご当地鍋があることを知りました。そんな中からわが家でも少しずつレシピを調べては挑戦してみています。みそのだしやサケが子どもたちに好評な北海道の石狩鍋や、「おにぎりがお鍋に入っている」と子どもたちが大興奮だった秋田県のきりたんぽ鍋、私の大好きなサトイモをふんだんに使った山形県の芋煮鍋や真っ白なスープでいただく福岡の水炊きなど、鍋メニューのレパートリーに加わったものがたくさんあります。
 昔から愛される鍋には、ネギやハクサイなど冬が旬の野菜がたっぷりと入っているものが多く、これら旬の野菜は冬の体を元気に保つのに一役買ってくれます。例えば、鍋に欠かせないネギは、昔から風邪にはネギが良いといわれていたように、アリシンという成分が血行促進に作用すると期待されていて、体を中から温めてくれます。他にも、ハクサイは風邪予防にもつながるビタミンCとともにカリウムが多く、塩分を取り過ぎてしまう冬には欠かせない野菜です。冬のキャベツにもビタミンCが豊富な上に、キャベツの特徴的な成分のビタミンUは胃の働きを助けてくれるので、おなかを壊しがちな冬にぴったりです。
 こういった野菜がたっぷりと食べられる鍋は、締めと呼ばれるスープの活用も魅力です。実は、野菜などに含まれる栄養は水溶性のものが多く、火を通す際、スープに溶け出してしまいます。しかし、締めでスープまでしっかり食べる鍋なら、栄養も無駄なくいただくことができます。   今年も新たなご当地鍋にも挑戦して、家族みんなで外からも中からも体を温めて、元気に冬を乗り切りたいと思います。

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。男女2児の母


野菜もの知り百科 カリフラワー(アブラナ科アブラナ属)

 昭和生まれの方には花椰菜(はなやさい)と言っても通じますが、平成生まれにはカリフラワーと言わなければ分からないかもしれません。カリフラワーはアブラナ科アブラナ属の野菜で、近縁には和名が緑花椰菜というブロッコリーがあります。
 カリフラワーは、地中海沿岸原産のブロッコリーが突然変異で白化したものといわれています。品種改良が進み、花蕾(からい)がオレンジのものや紫色のものもあります。発育停止した状態の花芽が集合した花蕾を収穫して食べる野菜です。
 ブロッコリーは頂花蕾の収穫後に側花蕾が発生しますが、カリフラワーのほとんどの品種は側花蕾の発生はありません。カリフラワーは純白で品質の良い花蕾を作るために、外葉をひもで縛って花蕾に直射日光が当たらないようにします。カリフラワーは栽培に手がかかることもあり、スーパーではブロッコリーの倍くらいの価格で売られています。
 カリフラワーはグリーンプランツバーナリゼーション(緑植物体春化)といって、一定の大きさになった苗が一定の低温に遭って花芽分化します。早生品種ほど葉枚数の少ない苗で、比較的高温で花芽分化し、早くから収穫できます。晩生品種は葉枚数が多くなってから花芽分化するので、大きな花蕾になります。
 世界一美しい野菜といわれるロマネスコもカリフラワーの仲間です。イタリアの伝統野菜で、欧州ではとても人気があります。日本でも高級スーパーや直売所だけでなく、一般のスーパーにも並ぶようになりました。
 ロマネスコは晩生で、年明けからの収穫になります。カリフラワーやブロッコリーは消費が拡大するにつれて、極早生、早生、中生、晩生の品種がそろいました。ロマネスコも早生品種ができ、周年供給が可能になるかもしれません。品種改良は晩生にするよりも早生にする方が簡単といわれています。 

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 寒起こしと天地返し 農閑期に行う土づくり


 家庭菜園では多くの種類を栽培しますので、それぞれの特性に合わせた土壌管理が必要です。
[連作と輪作] 同じ土地に同じ野菜を連続して作ることを連作といいます。しかし、連作すると生長に障害が出る野菜があります。連作障害の原因は多様ですが、病害によるものが最も多く、次いで土壌の悪化によるものとなっています。
 エンドウは一度作ると、7年は作れません。トマト、ゴボウなどは5、6年、インゲンマメ、サトイモなどは3、4年、キュウリ、ホウレンソウなどは1、2年です。カボチャ、タマネギ、サツマイモのように連作しても障害の出にくい野菜もあります(表1)。
 同じ科に属する近縁な野菜は似た性質を持っているため、病害虫と肥料の吸収が共通しています。そのため、連作すると土に生息する病害虫が増え、微量でも必要な肥料成分が不足して生長を妨げることがあります。
 そのため特性の異なる野菜を上手に組み合わせた一定の順序で作付け(輪作)をしましょう。
[野菜の適性酸度] 雨が多い日本はカルシウム(石灰)やマグネシウム(苦土)が流れやすく、酸性土になりがちです。野菜の生育に適した弱酸性(pH6・0~6・5)とするためにカルシウムとマグネシウムを含む石灰資材を投入します。酸性土が改良されると土壌微生物の働きが活発となって、有機物の分解を早める効果もあります。
 野菜の種類によっては酸性を好むものもあり、野菜の種類に適した酸度(pH)に調整することが大切です。ジャガイモ、スイカはpH5・0~5・5でよく育ちます。一方、ホウレンソウ、タマネギは特に酸性に弱く、発芽してもしばらくすると枯れてしまいます(表2)。酸性土壌ではアルミニウムイオンが溶け出し、ホウレンソウなどの根を阻害するからと考えられています。
[酸性土壌の矯正] 土の酸度を調べる診断キット(図1)や、土に直接差し込んで測定する土壌酸度測定器があります。石灰資材を過剰に与えると微量要素の吸収を妨げる恐れがあるため、測定値に応じた石灰資材を施します。施用量は土壌の種類によって異なりますが、一般的にpHを1上げるには粒状の苦土石灰では1平方m当たり150~200gです。なお、石灰資材は窒素肥料や窒素分の多い堆肥と一緒に施すと、アンモニアガスが発生し、窒素分が逃げてしまいます。そのため石灰資材と窒素肥料を同時に与えてはいけません。種まきや植え付け2週間前に石灰資材をまいてよく土と混ぜておき、1週間前に化成肥料と堆肥を施用します。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎





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