お役立ち情報コラム

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ライフ 2023年12月

お米をおいしく楽しもう 「お米を食べると太る」って本当?

 「お米を食べると太る」といわれるようになって10年以上たちます。しかし、最近では若者を中心に「オン・ザ・ライス」のような「○○+白米」の組み合わせで食事を楽しむ人が増えてきており、「糖質制限ダイエット」という言葉もやや使い古された感がします。
 ここで、少し一般論に触れてみましょう。
 炭水化物の摂取を抑制すれば、短期的には痩せます。しかし体を動かすエネルギー源の糖質が不足すると、体内ではタンパク質を分解して糖質に変換するようになり、これが肝臓や腎臓に大きな負担をかけることになります。そう、糖質制限は健康を害する行為なのです。
 ……というデメリットについて、私はお米マイスターという立場上、ことさら強調して話しますが、しかし、ちまたには糖質制限を推奨する説も当然あり、そうなると理屈だけでは何が正しいのかよく分からなくなる……というのが実際です。そこで切り口を変え、もっと単純に考えてみます。
①日本人のお米の消費量のピークは1962年です(農林水産省HPより)。今よりも倍以上のお米を食べていました。もしお米を食べて太るのであれば当時の人たちの方が圧倒的に太っていたはずです。当時と今の食生活を比べると、お米の消費量が減った分、肉類や油脂類を多く摂取しています。お米が犯人とは考えにくいのです。
②炊飯で使うのは水だけで、パンのように塩やバターを使うこともありません。お米自体からうま味をきちんと感じることができるため、薄味のおかずで十分に食事を楽しむことができるのです。
③お米は粒で食べるため、消化に比較的時間がかかります。腹持ちがいいため、間食をして余計なカロリーを摂取せずに済むのです。
 いかがでしょうか? こう考えるとお米で太るという話はやや無理があるように思えませんか?
 これからもお米と上手に付き合っていきたいですね。

五ツ星お米マイスター●小池理雄

なくそう食品ロス 家庭で最も捨てられる食品は?

 家庭で最も捨てられる食品は野菜です。農林水産省や自治体、民間企業など、さまざまな組織が調査を行ってきましたが、野菜が家庭で捨てられやすい傾向にあることは間違いありません。
 では、どうすれば捨てないで済むのでしょう。さまざまな解決法があります。①買い物前に冷蔵庫の野菜をチェックする ②買い物メモを作る ③レタスやキャベツを丸ごとではなく、2分の1個、4分の1個買う ④買った野菜を切って冷凍保存するなど……。
 私がやっている対策の一つが市販の野菜保存袋を使うことです。  毎朝、青菜のスムージーを作るので、繰り返し使える、プラスチック製の緑色の野菜保存袋に青菜を入れています。
 一度、チンゲンサイで実験したことがあります。そのまま野菜室に入れた場合と、野菜保存袋に入れた状態で野菜室に入れた場合と、1カ月保存したらどう違うのか。
 そのまま入れた場合はミイラのように乾燥してしまい、使いものにならなくなってしまいました。一方、野菜保存袋に入れた方は、葉っぱの数枚は黄色くなってしまったものの、1カ月たっても根っこの水分が失われておらず、そのまま使うことができました。
 保存袋は、なぜ保存性が高くなるのでしょう。野菜は、そのまま置いておくとエチレンガスを放出し、これが劣化の原因になりますが、市販の野菜保存袋はこれを吸着してくれるのです。袋の中に水分がたまるのも劣化の要因になりますが、水分が付きづらい仕組みになっています。  繰り返し使えるプラスチック袋に加えて、100%オーガニックコットン製の野菜保存袋も併用しています。米国在住の女性が、食料品店で余った野菜を使ってインクを作り、このインクを使って、袋の表面に野菜や果物のイラストを描いています。彼女が、私の著書の表紙を印刷した保存袋を特別に作ってくれたこともあるんですよ。 

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

おいしく食べて美しく しっかり食べて冬の健康な体づくり

 正月太りで体重が戻らないという悩みを抱える方も少なくありません。焦って食事を抜いてしまうと、基礎代謝が低下して痩せにくくなります。体調不良を招く恐れがあるため、食事を抜くのは危険です。今回は、「食べながら」健康な体づくりに役立つ栄養素を二つお伝えします。
■ カリウム
 体内の余分な塩分を排出する働きがあるカリウムは、むくみ解消効果が期待できます。おせち料理など、塩分の取り過ぎが原因で体がむくみ、体重が増えた方にはお薦めの栄養素です。かんきつ類の果物、ジャガイモ、切り干し大根、アボカド、ホウレンソウなどに多く含まれているカリウムは、水に溶け出しやすい性質があるため、野菜からカリウムを取る場合は、生野菜、汁物などにして汁ごと取るのがお勧めです。おせち料理を食べた後のデザートにミカンを食べたり、サラダにアボカドをのせて食べるのも良いでしょう。
■ 炭水化物
 体や脳を動かすエネルギー源となる炭水化物は、健康な体づくりに必要な栄養素です。米、パン、麺類などの炭水化物は太るというイメージがあるかもしれませんが、炭水化物は、糖質+食物繊維の総称です。炭水化物を抜くと食物繊維の摂取量が減り、便秘を招いてしまう恐れがあります。便秘は、直接的には体重増加につながりませんが、便秘で老廃物が腸内にたまると、有害物質が発生しドロドロの血液が体内を巡ります。質の悪い血液には脂肪が蓄積されやすくなるため、3食で炭水化物を取りましょう。そして、便秘になると吹き出物ができやすくなります。美しい肌を保つためにも炭水化物は必要な栄養素です。忙しいときは、レトルトのご飯を活用すると良いでしょう。
 栄養素はチームで働きます。野菜、米だけを食べるのは控えましょう。肉、魚などのタンパク質、油などの脂質も取り、健康な体づくりをしたいですね。 

栄養士●吉田理江

おせち料理は長寿食

 昔はお正月が来ると、誰でも1歳、年を取りました(数え年)。その年取りを祝って、年神様と一緒にいただくのが「おせち料理」。   おせち料理には、タイやエビなど普段は口にできないぜいたくな料理が、何段もの重箱に山盛り。
 祝いさかなの中でも重視されてきたのが魚卵類で、何種類か必ず用いられています。数の子やすじこ、イクラ、たらこなどで、中でも重要なのが数の子。ニシンの卵巣を加工したものです。数の子という呼び名はニシンの別名の「カド」の子がなまったものですが、卵の数が多いことに由来するという説もあります。
 数の子の色が黄金色で、しかも卵の数が多いことが、山と積まれた金銀財宝を表しています。正月にふさわしいおめでたい料理として欠かせません。卵の数が多いことは、たくさんの子宝につながり、子孫繁栄に結び付けられてきました。
 おせち料理に用いられるサケの子のイクラやすじこ、それにスケソウダラの卵巣を塩に漬けたたらこ、ボラの卵巣で作ったからすみ、ウニなども色彩、数の多さが商売繁盛につながっています。
 これらの魚卵は美味なだけではなく、タンパク質が多く、ビタミンDやミネラルの亜鉛も含まれています。いずれも、インフルエンザや風邪などの感染症を防ぐ上で欠かせない免疫力を強化する働きがあります。
 イクラとすじこの赤い色素はアスタキサンチンという抗酸化成分で、脳や体の酸化を防ぐ成分として若返りにも役立ちます。イクラとすじこのどちらにも血液をサラサラにしたり、物忘れを防ぐ成分も多く、お肌の若さを保つビタミンAもたくさん含まれています。
 おいしい、おいしい、今年の新米ご飯。
 そのまま食べても喉が鳴るのに、イクラをたっぷりのせて口に運びます。新米ご飯のほんのりした甘さをイクラが引き立て、夢中で3杯も平らげてしまいました。

食文化史研究家・日本の長寿食研究家●永山久夫



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