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ライフ 2024年1月

海外の人から見た日本のお米

 海外の人から見た日本のお米はどのように映るのでしょうか?
 海外でのお米とは、あくまでも食糧としての「お米」でしかなく、品種による味の違いや料理に合わせたお米の選択などはあまり意識されていないようです。
 ところが、私たち日本人にとって品種による味の違いを考えるのは一般的なことです。業界的には精米歩合の調整やブレンドにより味を変えることも普通のことです。
 弊社は東京・原宿という場所柄、日本のお米に魅せられた外国の方がたくさん周りにいます。弊社との取引店で最も高いお米を使っているのは海外の方がオーナーのおにぎり店です。今、ある大きなホテルにお米を納めていますが、その総料理長はフランス人です。以前勤めていた店でお米の魅力に目覚め、以後弊社をご指名いただいているのです。  先日、弊社に1人の米国人が来店されました。そして店頭に並んでいる「コシヒカリ」と「つや姫」を見て一言。「この二つの違いは何か?」。今や海外の方でも、日本のお米というくくりではなく、品種の違いまで意識している方もいます。
 以前、海外の方向けにお米について講演する機会があり、その際にお米の食べ比べをしました。お米の品種ごとの味の違いを感じるのはかなり難しい技術なのですが、彼らの多くが味の違いをきちんと判別できていたのです。
 私たち精米店が普通に行っているお米のブレンドの技法。今まで弊社を訪れたスペイン人、ポルトガル人、韓国人、いずれも皆さん、実は日本のすし店のしゃりは、店舗によってブレンドされていて味が異なっていることに驚嘆するのです。
 このような事例を通じて、私は海外の方がお米に熱視線を送っていることを肌で感じています。海外からの評価を見ると、私たち日本人もお米の素晴らしさにあらためて気付かされますね。 

五ツ星お米マイスター●小池理雄

なくそう食品ロス 減らそう! 野菜の過剰除去

 皆さんはナスのへたを切るとき、どう切りますか? 私はまな板にナスを置いて、まな板に対して垂直に包丁を入れて切っていました。
 あるとき、違う切り方を知ったのです。それは、へたや実の部分に包丁を沿わせるように、斜めに包丁を入れて、葉っぱの部分だけを切り取るようにするのです。そうすると、葉の下にある実の部分まで切って捨ててしまうことがありません。
 ニンジンのへたも同じです。まな板にニンジンを置いて、垂直に包丁を入れると実の部分まで捨ててしまうことになります。包丁の手前側の角をへたに当てたまま、ぐるりと1回転させるとへたの部分だけをくり抜くことができます。
  食べられる部分まで切って捨ててしまうことを「過剰除去」といいます。無意識のうちに切って捨ててしまっているけれど、実は食べられる部分も多いのではないでしょうか。
 ある料理研究家の方は、テレビ番組で、ピーマンを手で握りつぶして料理に使う方法を教えていました。ピーマンには、種やへたがありますが、包丁で切ろうとすると、まな板にくっついたりして無駄が出てしまうのです。その方が作ったのは、鶏のモモ肉とピーマンを油で炒めて、甘辛く味付けする料理でした。種やへたも食べられるものですね。
 私は、切り取ったへたもそのまま捨てたりはしません。密閉容器に取って、冷蔵庫のチルド室で保管しておきます。
へただけでなく、タマネギの皮、ソラマメやエダマメのさや、野菜の堅い部分などを入れておきます。1週間ほどして、たまったら、深鍋に入れて1L程度の水を注ぎ、1時間ほど煮出します。すると、いろんな食材から出ただしがおいしい「ベジブロス(野菜だし)」になるのです。搾ったかすは、乾かしてからコンポスト(堆肥化容器)に入れています。ごみはゼロ! 食材を全て活用すると、気持ちもすがすがしくなりますよ。

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

おいしく食べて美しく 食べ物で花粉症対策

 暖かい日が増え、過ごしやすい季節になってきました。しかし、鼻水など花粉症の症状でお悩みの方も多いのではないでしょうか。免疫機能を高めると症状を和らげることができるため、今回は花粉症対策にお薦めの栄養素を三つお伝えします。
■ ビタミンB6  肉・魚介類などの動物性食品に多く含まれるビタミンB6には、免疫機能を正常に保つ働きがあります。ビタミンB6は、光、加熱に弱く、冷凍、加工すると損失されやすい栄養素です。カツオ、マグロの刺し身など、新鮮な魚介類を食べると良いでしょう。生の魚介類が苦手な方は、バナナがお薦めです。バナナにもビタミンB6が含まれています。時間がない朝やおやつにバナナを食べると良いでしょう。
■ ポリフェノール  植物に存在する色素や苦み成分のポリフェノールには、アレルギーの炎症を抑える働きがあります。ブルーベリーなどの青紫色の色素に含まれるアントシアニンなどが有名です。ポリフェノールには、酸化を防ぐ働きがあるため、美しい肌を保ちたい方にもお薦めです。野菜、果物の皮にはポリフェノールが豊富に含まれているので皮をむかずに調理すると良いでしょう。緑茶にはカテキンという渋み成分のポリフェノールが含まれています。手軽にポリフェノールを取りたい方は、緑茶がお薦めです。
■ 食物繊維  野菜、海藻、果物などに含まれる食物繊維は腸内環境を整える働きがあります。免疫機能の約70%が腸内に存在するとされており、花粉症対策には、腸内環境を整えることが重要です。みそ汁に野菜をたくさん入れたり、おやつに果物を食べるなどし食物繊維を取ると良いでしょう。
 免疫機能を正常に保ち花粉症の症状を和らげるためには、規則正しい生活習慣も大切です。早寝早起きを心がけましょう。 。 

栄養士●吉田理江

ネギは寒い季節に大活躍

 昔から、「風邪のひき始めにネギの薬汁」といわれ、実際に役立ってきました。ネギは発汗作用もあり、体を温めて免疫力や自然治癒力を強くしてくれるからです。
 このため、冬の寒期に流行する風邪などの感染症を防ぐ知恵が発達し、ねぎ汁やねぎがゆなどが好まれるようになりました。ねぎ汁にしても、ねぎがゆにしても、ネギから出る甘みで素朴なうまみがあり、汗ばんできて元気が体中に出てきます。  奈良時代の天平7(735)年には、天然痘が国中にはやって死者も出ましたが、ネギを食べていた者は、感染しても軽く済み、大部分は救われたと伝えられています。平安時代の『医心方(いしんぽう)』という有名な医術書には、ネギの効能について「悪寒、発熱、中風、発汗、喉不調を治すのに効がある」と書かれています。
 ネギには強い保温作用があり、さらに葉の部分にはビタミンCやベータカロテンが多く、いずれも風邪の予防や風邪退治には理想的な成分といってよいでしょう。
 昔からよくいわれる「うどん屋の風邪薬」というのは、青ネギを刻んだ薬味のことを指しています。
 江戸時代になると、「ネギは台所の風邪薬」となり、常備されるようになっていきます。
 同時代の『本朝食鑑』には、「風邪や頭痛のときに生ネギでおかゆを作り、熱いうちに食べるとよく汗が出る」とあります。発汗作用や保温効果を述べ、風邪を治す妙薬といっています。
 ネギはニンニクやニラなどと同じユリ科の香辛野菜で、共通して鼻につんとくる刺激臭と辛みがあります。その成分は硫化アリルでビタミンB1の吸収を高め、疲労回復や脳の老化防止などの働きがあります。硫化アリルには、殺菌作用や健胃、発汗、利尿など幅広い効能があることも判明しています。

食文化史研究家・日本の長寿食研究家●永山久夫



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