お役立ち情報コラム

生活に役立つ情報や営農情報をお届けします

2020年10月

私の食育日記  電子レンジ調理

 毎日のご飯作りの助けとなってくれるのが、電子レンジです。お鍋を出して、お湯を沸かしてゆでて、と作業するよりずっと簡単に調理できます。私も子どもたちの温野菜や、あえ物などのプラス1品は電子レンジ調理でさっと済ませています。
 電子レンジは米国で商品化され、1970年ごろから日本でも販売されるようになりました。電子レンジとは庫内からマイクロ波を出し、食品に吸収されたマイクロ波の振動に連動して食品中の水分子が誘電分極し、これにより食品の中で発熱するという仕組みです。難しい話になってきますが、要は食品に含まれる水分を使って自ら発熱しているのです。そのため、加熱する物の水分が重要な役割を果たしてきます。
 野菜を軟らかくするのにも便利なレンジ。例えば、ジャガイモを電子レンジで加熱するとき、簡単に軟らかくできますが、加熱し過ぎると硬くなることがあります。これはゆでるのと違って電子レンジ調理の方が、急激に温度が上昇するため、水分の蒸発が盛んになってしまうからです。特に少量の調理の場合は加熱のし過ぎに注意が必要です。また、体積の大きい物は内部にマイクロ波が到達しにくく、表面だけが高温になり、加熱むらができやすいので、私は、ジャガイモは切ってから耐熱容器に入れ、少し水も加えて電子レンジ調理しています。
 食塩を含む物を加熱すると周辺部分に電磁波が集中しやすくなり、加熱むらが生じやすくなります。ソースなどを作るときは、味を調える塩・こしょうはレンジ加熱の後に、また、炒めタマネギをレンジで作りたいときは、耐熱容器にタマネギに油と、塩ではなく少しお砂糖を入れて加熱しています。
 料理の一手間をちょっと電子レンジに頼るだけで、簡単に短時間で済ますことができます。レンジの特徴を知っておけば使うタイミングを自分なりにアレンジできますね。

岡村 麻純(おかむら ますみ)
1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


ベランダでできるキッチンガーデン  小松菜(アブラナ科アブラナ属)

 「漬け菜」とは一般には漬物に使用する菜っ葉ですが、農学では非結球のアブラナ属の葉菜のことをいいます。野沢菜やチンゲンサイなどがあり、結球するハクサイやキャベツは含みません。
 江戸幕府第8代将軍徳川吉宗が命名したといわれる小松菜は、関東地方で栽培されてきたツケナの一つです。1970年代に世界初の小松菜の交配種「みすぎ」が育成されると、新しい産地が次々にでき、全国の野菜売り場に並ぶようになりました。
 交配種は雑種強勢と両親のいいところ取りによって、生育が旺盛で収量が上がり、病気に強く味も良くなります。現在のツケナの大半は交配種です。日本の野菜の育種は世界のトップクラスです。
 交配種はそろいが良いので、規格通りに出荷する生産者にとっても、同じ価格で販売する流通業者にとっても、大きなメリットがあります。一斉に収穫はしない家庭菜園では、収穫期に幅がある「固定種」の方が良いかもしれません。
 小松菜は暑さや寒さに強く、ほぼ周年栽培ができます。深さ10cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、5cm間隔に筋まきします。小松菜は種が細かく多くまきがちですが、発芽が良いので厚まきすると間引きに手がかかります。薄く覆土をして軽く鎮圧します。発芽まで乾燥させないようにします。
 発芽後、順次間引きして、本葉4~5枚のときに株間を約5cmにします。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。本葉4~5枚になった物から収穫し、本葉7~8枚までに終えるようにします。
 水菜、広島菜、芭蕉菜など、小松菜以外のツケナも栽培方法は似ています。子どもの頃のお雑煮やみそ汁に入っていた菜っ葉を思い出して、種まきするのも良いでしょう。

藤巻久志(ふじまきひさし)
種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土づくりに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 タマネギ 元肥にリン酸肥料を十分に

 タマネギの生育は、15~20度の冷涼な気候が適し、10度以下では生育が停止しますが、春になり気温が上がり、日が長くなって肥大します。
[品種]
 早生品種は収穫期が早い半面、貯蔵性に劣り、反対に中晩生品種は収穫期が遅いが貯蔵性に優れます。長い間収穫を楽しむには早生と中生を作ることをお勧めします。早生には「ソニック」(タキイ種苗)、「浜育」(カネコ種苗)など、中生には「アトン」「O・K黄」(いずれもタキイ種苗)などが良いでしょう。なお、サラダ用の赤系品種には「湘南レッド」(サカタのタネ)などがあります。
[畑の準備]
 植え付けの2週間前に、1平方m当たり苦土石灰100gを散布してよく耕しておきます。1週間前に化成肥料(N-P-K=15-15-15%)100g、過リン酸石灰(過石)50g、堆肥2kgを全面にまき、深さは20cmくらいに耕します。ベッド植え(4条植え)にする場合は幅90~100cmの栽培床を作ります(図1)。すじ植え(1条植え)では、畝幅60cmとし、幅20cmの溝を掘り、畝1m当たり化成肥料50g、過石30g、堆肥1kgを入れて、土とよく混ぜておきます(図2)。
[植え付け]
 11月に入ると園芸店で苗の販売が始まります。草丈20~25cm、太さ5mm程度の苗を購入し、霜の降りる前までに植え付けると良いでしょう。ベッド植えでは、黒ポリマルチを張れば雑草が抑えられ、地温を上げて生育が良くなります(マルチ栽培)。穴開きマルチを使う場合は穴の規格に応じて、条間15~20cm、株間15cmに植えます(図3)。1条植えでは、株間10cm程度にします(図4)。
[追肥]
 1月上中旬と2月中旬~3月中旬に、1平方m当たり化成肥料20gを株元にまき、土寄せします。マルチ栽培では、株元(マルチ穴)に化成肥料を施します。
[病害虫の防除]
 葉が白くカスリ状となるネギアザミウマ被害には、オルトラン水和剤などで防除します。さび病やべと病には、ジマンダイセン水和剤などで予防します。
[収穫]
 畑全体の7~8割の茎葉が倒れたら引き抜きます。2~3日、日に当てて干してから、数球ずつ束ねて風通しの良い所につるし、貯蔵します。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆














上へジャンプ