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2020年11月

私の食育日記  旬を楽しむ季節風呂

 春夏秋冬の四季があり、季節ごとにおいしい食の旬があるのは、日本の魅力的なところです。そしてもう一つ日本といえばお風呂。私は温泉が大好きで温泉ソムリエという資格を取得し、温泉の楽しみ方を広めていく活動もしています。
 四季を大切にする日本は、お風呂でも四季を楽しみます。有名なのが冬至に入るゆず湯。お風呂にユズを浮かべてとってもいい香り。子どもたちも大はしゃぎです。ゆず湯に入ると風邪をひかないと言い伝えられています。これはユズに含まれるリモネンがリラックス効果とともに血行を促進する効果があるとされ、体を温め、冷えを防いでくれることからいわれています。
 ゆず湯の始まりは、ユズが旬である冬の「冬至」と「湯治」を掛け合わせたという説もあって、日本人の旬を大切にする文化がうかがえます。この冬至にゆず湯に入るという習慣は江戸時代ごろから始まったそうですが、季節の旬の植物をお風呂に入れるという習慣はさらに昔からあったといわれています。
 今でも、ゆず湯の他に、端午の節句のしょうぶ湯も有名です。他にも月ごとに季節風呂というものがあります。寒い2月は、干したダイコンの葉を入れる大根湯。干したダイコンの葉には、塩化物や硫化イオンが含まれ、まるで温泉のようです。わが家では冬に喉がイガイガして風邪の気配があると、ダイコンに蜂蜜を入れてしばらく置いた物をお湯で溶いて飲んでいます。旬の野菜には中からも外からも体を元気にしてくれる力があるのですね。
 季節風呂には他にも1月の松湯、10月にはしょうが湯、11月はみかん湯などがあります。冬は体を温める効果がある物、夏は発汗を抑える物と、その時期の体調に合わせた内容になっているのもすごいところです。
 最近では1年中食べられる野菜も増えてきましたが、旬を大切にし、四季を感じる力だけは、子どもたちにも養ってもらいたいと思います。

岡村 麻純(おかむら ますみ)
1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


ベランダでできるキッチンガーデン  ニラ(ヒガンバナ科ネギ属)

 韮(ニラ)という漢字を見ると、山梨の韮崎高校や静岡の韮山高校を思い浮かべます。どちらも通称「韮高」です。韮崎高校はサッカー、韮山高校は野球の伝統校です。両校の元気の源はニラレバ炒めではないかと勝手に想像しています。
 両校とも文武両道で生徒はとても勤勉だと思います。ところがニラの別名は懶人草で、懶人とは怠け者のことです。ニラは栽培が簡単なので、怠け者でも作れるからです。
 暑さや寒さに強く、ベランダのプランターでも栽培できます。半日陰でも丈夫に育ちます。多年草なので一度種をまけば根が残って毎年収穫できます。種まき適期は3~4月です。深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、10cmの間隔で1カ所に約10粒の点まきをします。薄く覆土し、軽く鎮圧します。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。
 草丈が約10cmになったら、1カ所3~4本に間引きします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。さらに草丈が伸び20~25cmになったら、株元を4~5cm残してはさみで切り取り収穫します。株が充実してくる翌年からは、年に4~5回収穫できます。
 夏から秋にかけては花蕾が伸びてきて、白いきれいな花を咲かせます。花を楽しんでも良いのですが、開花・結実させると株が弱るので、早めに摘み取った方が良いです。摘み取った花茎は、おひたしなどにすると美味です。
 冬になると地上部は枯れます。枯れ葉は病原菌のすみかにならないように、きれいに刈り取っておきます。根は生きているので、春になると新葉が伸びてきます。3~4年たつと株が弱ってくるので、掘り上げて株分けして植え替えます。
 ニラはギョーザの具、みそ汁の実、卵とじ、おひたし、あえ物などいろいろな料理に使えます。

藤巻久志(ふじまきひさし)
種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土づくりに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 菜園の冬越し いろいろな工夫で長く収穫を楽しむ

 寒さに向かい、冬野菜の収穫や越冬させる野菜の防寒対策など、大切な作業が控えています。
 冬の晴夜には地面や野菜から熱が奪われ、急激に温度が下がります。これを放射冷却といい、寒害を起こすことがあります。
[被覆資材で防寒]
 トンネルや不織布のべた掛けは、防寒効果が高いので、上手に使いましょう。ただし、トンネルの密閉は日中に気温が上がり、軟弱に育ってかえって耐寒性を低下させます。穴開きフィルムの利用や裾を少し開けておいても防寒効果があります(図1)。
[身近な材料を使う]
 北風を防ぐだけで、野菜周辺の気温を高める効果があります。畝を東西方向に作り、畝の北側は10cm程度に土を盛ると良いでしょう。ササタケを畝の北側に野菜を覆うように斜めに立てる方法は、先人の知恵です(図2)。
[土寄せなどの工夫]
 ダイコン、カブ、ニンジンは、地上に出ている肩に土寄せして寒害を防ぎます。ハクサイやカリフラワーは、外葉の葉を内側に縛って包みます(図3)。イチゴ、エンドウは株元に落ち葉や刈り草を敷いて防寒します。
[保存・貯蔵]
 キャベツ、ハクサイを畑や庭で保存するには、株をぴったり並べ、わらや落ち葉で覆い、その上にむしろを掛けておきます。雪の多い地方では、ビニールなどで屋根掛けします。ダイコン、ニンジンは葉を切り落とし、深さ30cmくらいに埋け込みます。
 サトイモ、サツマイモは、排水の良い所に深さ50~60cmの穴を掘り、サトイモでは子芋、孫芋を崩さないように逆さに埋け、サツマイモは芋づるを付けたまま埋けて、30cmくらいに盛り土して、上をシートで雨よけします(図4)。なお、温暖地では、芋類は発泡スチロールのトロ箱に入れ、冬の利用に備えます。また、サトイモは畑から掘り上げなくても、土を厚く掛けておけば、十分冬越しできることもあります。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆










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