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2021年3月

私の食育日記  油の種類

 料理をするときに欠かせない油。スーパーでもたくさんの種類が並んでいます。その多くは植物油で、不飽和脂肪酸と呼ばれる成分が多く含まれています。不飽和脂肪酸は酸化しやすいのが特徴で、酸化してしまうと栄養も低下し、体に良くない影響を与えてしまうことがあります。そのため油は、特徴に合った使い方、適した保存が必要です。
 植物油に含まれるのは、リノール酸、α-リノレン酸、オレイン酸という三つの代表的な不飽和脂肪酸です。その中で、リノール酸とα-リノレン酸は、体内で合成できない必須脂肪酸で、食事から摂取しなければなりません。リノール酸が不足すると、成長、妊娠、皮膚などの生理機能に、α-リノレン酸が不足すると、中枢神経や網膜機能に影響が出てしまうことが分かっています。
 リノール酸が多く含まれる油には、ごま油があります。ごま油は、ゴマの風味が調味料としての役割を果たしてくれますが、ゴマに含まれる成分に高い抗酸化性があるため、高温調理にも向いています。α-リノレン酸は、とても酸化に弱く不安定なものです。えごま油やあまに油に多く含まれますが、加熱には向いておらず、生食用の油として使われます。
 もう一つのオレイン酸も悪玉コレステロールを下げる働きがあります。オレイン酸はオリーブ油に多く含まれます。オリーブ油は香りが良く、生食でも使われますが、酸化しにくいので加熱料理にも向いています。また、米ぬかから作られる米油は、リノール酸とオレイン酸は多く含みますが、α-リノレン酸をほとんど含まないため安定していて、揚げ物などにも向いています。
 油は、必須脂肪酸があるように、体内に必要な食品です。しかし、光や熱、空気に触れることで酸化してしまいます。冷暗所に保存すること、使用を開始したら長期保存はしないこと、加熱する場合は加熱に適した油を使うことなど注意が必要です。

岡村 麻純(おかむら ますみ)
1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


野菜もの知り百科 アスパラガス(キジカクシ科アスパラガス属)

 アスパラガスというと、年配の方は1960年代に毎日のようにテレビから流れていた弘田三枝子の製薬会社のCMソング「アスパラで生きぬこう」を思い出すかもしれません。うま味成分のアスパラギン酸は疲労回復やスタミナ増強に効果があるといわれています。
 アスパラガスは呼吸作用が盛んで、品質が低下しやすい野菜です。高速道路網とコールドチェーン(低温流通体系)が整備されるまでは、アスパラガスといえば高価な缶詰のホワイトアスパラガスでした。1970年代に緑が鮮やかで歯切れの良いグリーンアスパラガスがスーパーに並ぶようになりました。和洋中に向き、調理が簡単なので消費が拡大しました。
 アスパラガスは野菜では珍しい多年生植物で、一度植え付けると10年くらい収穫を続けることができます。夏に茎葉が光合成で作った養分は根に蓄えられ、冬に地上部は枯れます。翌春、土を割って若茎が伸び、30cmくらいになったら収穫です。
 アスパラガスは雌雄異株で、雌株は秋に赤い実を付けます。雄株の方が茎数が多く収量が上がるので、今は全部雄株になる交配種が主流です。きれいな赤い実をどうしても見たい場合は、「メリーワシントン500W」などの固定種を栽培します。
 アスパラガスは取りたてが一番おいしいですが、保存する場合は穂先を上に立てて冷蔵庫に入れます。横に寝かせて保存すると、立ち上がろうとしておいしさの主成分の糖分やアミノ酸を消費してしまいます。
 アスパラガスはユリ科に分類されてきましたが、DNAが決める新分類ではキジカクシ科になりました。アスパラガスはオランダ人によって長崎に伝えられたので、和名はオランダキジカクシ(和蘭雉隠)です。茎葉は初夏にキジが隠れるくらいの草丈1~2mに生い茂ります。その頃になるとキジが畑に出てきてケーン、ケーンと鳴きます。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 色鮮やかなサラダを楽しむ リーフレタス

 レタスの仲間の結球しないタイプで、和名をチリメンチシャといい、赤葉品種はサニーレタスの名でもおなじみです。さまざまな品種があり、カラフルなサラダが楽しめます。
[品種]
 葉が赤い「レッドファイヤー」(タキイ種苗)、「レッドウェーブ」(サカタのタネ)、とう立ちの遅い「晩抽レッドファイヤー」(タキイ種苗)、緑の「グリーンウエーブ」(タキイ種苗)などがお薦めです。焼き肉を包んで食べる「チマサンチュ(青葉種)」(タキイ種苗)も家庭菜園向きです。
[栽培期間]
 発芽と成長の適温は15~20度なので、夏と冬の栽培は困難です。また、5~6月の長日期(1日のうち昼の時間が長い季節)は花芽ができ、とう立ちしやすくなります。そのため、種まき適期は3~4月と9月です。
[苗作り]
 小型ポリポットや連結ポットに1カ所4~5粒をまき、その後間引きして本葉4~5枚の苗を作ります。この種は好光性なので、暗黒下では発芽しにくい性質があり、種には土を薄く掛けます(図1)。まいたら新聞紙で覆い、その上から灌水すると、土の乾きも少なく、強い日差しからも守られます。
[畑の準備]
 幅80~90cmの栽培床に1平方m当たり苦土石灰100gをまき、土とよく混ぜておきます。植え付けの1週間前に、元肥として化成肥料(N:P:K=10:10:10%)100g程度と堆肥2~3kgを施します(図2)。平畝を作り、黒のポリマルチを張ります(図3)。リーフレタスは葉の間に土が入りやすいので、ポリマルチをして、葉が汚れないようにしましょう。
[植え付け]
 条間、株間とも25~30cmを取れば、300gほどの大株になります。株間を15cm程度にして小株から収穫を始めることもできます(図4)。
[管理]
 生育期間が短いので追肥は不要です。また、アブラムシなどが発生しますが、比較的病害虫の少ない野菜です。
[収穫]
 リーフレタスは若取りがおいしいので、利用に応じて順次収穫します。下葉をかき取りながら、長く収穫を楽しんでも良いでしょう(図5)。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆


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