お役立ち情報コラム

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2021年4月

エダマメ 肥料は控えめに

 大豆を未熟のうちに収穫するのがエダマメ。タンパク質、ビタミンA、Cを多く含み、ビールのおつまみとして夏の栄養補給に最適です。
[品種]一般には早生品種を使い、「おつな姫」(サカタのタネ)、「サッポロミドリ」(雪印種苗)などがあります。風味の良い茶豆では「湯あがり娘」(カネコ種苗)など、黒豆も人気で「濃姫」(タキイ種苗)などがあります。
[畑の準備]種まき2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gを散布し、よく耕しておきます。1週間前に化成肥料(NPK各成分で10%)100gと堆肥1〜2kgを施し、よく混ぜ込んでおきます。その後、畝幅70〜80cm、高さ5cm程度の栽培床(ベッド)を作り、黒色のマルチを張ります(図1)。
[種まき]地温が15度以上になった頃からが種まきの適期で、一般地では遅霜の恐れがなくなる4月下旬〜5月となり、6月以降では害虫の被害を受けやすくなります。条間45cm2条、株間30cm、1カ所に3〜4粒まきます(図2)。鳥害を防ぎ発芽を良くするために、不織布のベタ掛けが有効です。本葉2枚の頃、生育の劣る株をはさみで根元から切り取り、2本立ちにします。
 気温が低い時期や鳥害を避けるためには育苗する方法もあります。この場合、直径7・5〜9cmのポットに3〜4粒まき、初生葉がそろう頃に間引いて2本残し、本葉2枚頃まで育苗します(図3)。
[病害虫の防除]高温期にはカメムシ類が発生し、さやに付くと落下します。開花期にスミチオン乳剤、トレボン乳剤などの登録農薬で防除します。
[収穫]さやが膨らんで、指で押さえるとはじけるようになれば収穫期で、開花後から30〜35日です。株ごと引き抜いて収穫します。 収穫適期は3〜5日と短いため、同じ品種なら時期をずらして2〜3回に分けて種まきすると、長く収穫を楽しめます。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。

園芸研究家●成松次郎


魅惑のバター

 2歳の娘が先日、バターをパンに塗って食べることを知りました。まだ油脂の取り過ぎには注意したい幼児期なので、調理に使うだけだったバター。初めて焼きたてパンにバターを塗って食べたときは2歳児なりの衝撃があったようです。
 バターは牛乳に含まれる乳脂肪を凝集して固めた物です。一般的なバターには、重量の1〜2%の食塩を添加する有塩バターと、無塩バターがあります。さらにバターを作る工程途中で乳酸菌を添加し発酵させた発酵バターもあります。発酵バターは焼くことで独特のこくと香りを引き出せます。バターも油の一つですが、常温で液体の「油」とは違い、動物性の油脂で、常温で固体の物が多い「脂」に当たります。
 牛の脂の牛脂や、豚の脂のラードなどがバターと同じ「脂」です。この飽和脂肪酸を多く含む脂は、酸化しにくいという特徴を持っていますが、多量摂取は病気のリスクを高めることが分かっています。しかし、約80%が乳脂肪分のバターは、脂の中では消化も良く、幼児にも安心です。粘膜を守るビタミンAが豊富で、ビタミンDやカルシウムなど乳製品ならではの栄養も魅力です。
 過去には国民生活を表現するのに、「バターか大砲か」という言葉が生まれるほど、人々にとって欠かせない存在のバター。この言葉が生まれた頃、バター不足に困り果てたナポレオン3世がバターの代用品を発明した者に懸賞金を出し開発されたのが、今のマーガリンの起源です。マーガリンはさまざまな油を原料にして製造された加工品で、原料の脂肪酸を変化させてバターそっくりの食べ物として作られています。
 歴史を振り返っても分かるように、バターには皆が追い求める魅力があります。そこで、今までよりパンを焼くときに使うバターを控えめにして、たまには、トーストしたパンにバターを塗って食べる幸せな時間を、娘にも味わってもらいたいと思います。

食育インストラクター●岡村麻純


ゴーヤー(ウリ科ツルレイシ属)

 5月8日は「ゴーヤーの日」です。1997年に沖縄県とJA沖縄経済連(現・JAおきなわ)がゴーヤーの普及のために制定しました。5・8=ゴーヤーの語呂合わせと、この頃から沖縄県の出荷量が増えることにちなんでいます。
 5月8日ころは温暖地(年平均気温が12〜15度の地域)ではゴーヤーの苗の植え付け適期です。本州ではニガウリ(苦瓜)やツルレイシ(蔓茘枝)と呼んでいましたが、沖縄を舞台にした2001年の朝ドラ『ちゅらさん』の「ゴーヤーマン」の影響か、沖縄の地方名ゴーヤーが全国区になりました。環境教育の現場でも「ニガウリの緑のカーテン」とはいわず「ゴーヤーの緑のカーテン」です。
 雌花と雄花が同一株内に付く雌雄同種株なので、1株だけの栽培でも結実させられます。ゴーヤーの雌花は長日では付きにくく、短日になる8月以降になると雌花が次々と咲きます。雌花は親づるよりも子づるや孫づるに多く付くので、親づるの葉が10枚になったら先端を摘み、子づるを伸ばすと良いでしょう。
 ウリ科野菜は肥料、特に窒素肥料が多いと栄養成長(茎や葉が大きくなること)が続き、生殖成長(花や実が付くこと)が遅れることがあります。ひどいと実がならずに終わってしまいます。葉ばかりさまやつるぼけなどという現象です。
 ゴーヤーの強い苦味はククルビタシン類によるもので、抗酸化性により抗がんや老化予防効果があるといわれています。苦味は食欲を増進させ、豚肉と豆腐と卵などと炒めたゴーヤーチャンプルーはタンパク質も豊富で夏バテ防止になります。ゴーヤーのビタミンCは炒めても生とほとんど変わりません。
 ゴーヤーを縦半分に切り、種とワタをスプーンで削り、薄くスライスしてかつお節としょうゆを掛けるだけで酒のさかなになります。酒はもちろん島唄をバックに泡盛です。

藤巻久志(ふじまきひさし) 
種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


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