お役立ち情報コラム

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2020年10月

家族の健康 風邪を予防するための心掛け

 「寒いから風邪に気を付けて」と言われます。しかし、本当は寒いだけで風邪をひくことはありません。寒い部屋にずっと1人でいたり、1人で屋外作業をしていたりしても風邪をひくことはないのです。
 なぜなら、風邪は感染症。つまり、風邪をひいた人が、せきやくしゃみで風邪のウイルスや細菌を放出し、それをどこかで触るなど、そのウイルスや細菌を体内に入れることで、次の人が風邪をひいてしまうのです。
 ですから風邪の予防で大切なことは、風邪をひいている人からウイルスや細菌をもらわないこと。そのためには、なるべく人混みに出ない、電車やバスを利用したり、多くの人が行き交う駅を通った後は、せっけんを使い流水で丁寧に手を洗いましょう。うがいもした方が良いでしょう。
 マスクは風邪予防の効果は期待できないといわれていますが、喉が保湿できる上、ウイルスが付着した手で口や鼻を触らないため、風邪にかかりにくくなります。風邪をひいた人がマスクをすることは、ウイルスをまき散らさないため他の人に感染させないエチケットとして大切です。また、家族で風邪をひいた人がいたら、トイレのタオルや洗面所のコップなどの共用はやめましょう。
 口の中には風邪やインフルエンザのウイルスの感染を助けてしまう「プロテアーゼ」という酵素があります。就寝中に増加するプロテアーゼは、起床時に丁寧に歯磨きやうがいをして、洗い流しておくことも風邪の予防につながります。
 日頃から睡眠不足や過労を避け、栄養バランスの取れた食事を心掛け、体を冷やさないことも大切です。寒さを我慢していると、外から入るウイルスや細菌と戦う力が弱まり、風邪をひきやすくなります。ですから「寒いから風邪をひく」のではなく「寒いと風邪をひきやすい体になる」が正しいのです。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 ご飯をしっかり! アスリート食

 スポーツに取り組む人にとって食事はトレーニングと同様に重要であると知られています。それは、プロのアスリートのみならず、日常的にスポーツを楽しむ全ての人にもいえることです。
 さまざまな競技がありますが、共通して注目したいのは、「競技中に疲労しにくい体づくり」でしょう。通常の練習時や試合時において、疲労回復の遅れはパフォーマンスの低下につながります。
 競技前はグルコースの貯蔵型であるグリコーゲンを筋肉中により多くためておくこと、競技中は「筋グリコーゲン」を減らさないことと回復させることが、疲労しにくい体づくりにとって重要であるといえます。
 そのためには、エネルギー源となる糖質や脂質、筋肉源となるタンパク質や代謝に必要なビタミン・ミネラルなどを日常的にバランス良く取ること。主食・主菜・副菜と、時には汁物や果物などが組み合わされた献立である、和食が非常に適しています。年齢や性別、運動量などによっても違いはありますが、アスリートの食事では糖質由来の摂取エネルギーは全体のエネルギーの55~60%に設定します。ご飯でいうとお茶わん1~3杯ほどは毎食食べる計算になります。
 安定したエネルギー供給を得るためには、朝食を必ず取り、しっかりと代謝を上げることも大切です。そして、グリコーゲンの貯蔵量増加のためにも、夜遅くの摂食は避けるようにしましょう。
 運動のために利用されるエネルギーは、主に糖質と脂質から作られますが、脂質を代謝してエネルギーを作り出すのは糖質に比べて時間がかかるため、運動中は糖質由来のエネルギー補給が基本です。運動時間が長くなる場合には、運動中や運動後の速やかな栄養補給が必要となります。長時間に及ぶ運動の合間や運動後は、ゼリー飲料だけでなく梅干しおにぎりが、必要な栄養素を簡単に補給できてお薦めです。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  ナベヅル

 日本を代表する鳥といえば、「ツル」は上位に来るのではないでしょうか。白く美しい姿で、頭のてっぺんが赤い、あのタンチョウをはじめ、世界に全部で15種いるツルのうち、なんと約半分の7種が日本に飛来していることはあまり知られていません。日本は世界を代表するツル大国なのです。
 ツルは、日本全国の水田などに餌を食べに訪れる身近な存在で、民話にもよく登場しています。江戸期には幕府が天皇家への献上品としていたため、特別な存在でもありました。
 特に、鍋のススがかかったように見えるその姿から名付けられたナベヅルは、繁殖地のロシアや中国などから秋に日本や韓国などに渡って越冬する全長90~100cmほどの小型のツルで、日本が世界最大の越冬地です。しかし、明治以降は狩猟が一時的に野放しになったことや、人々の暮らしが変化し、ツルたちが好む水田や湿地、谷津などの環境が失われていき、すみにくい状況になってしまいました。
 現在、世界にいるナベヅルの8割以上に当たる1万羽以上が鹿児島県の出水市に飛来しています。その大群は圧巻ですが、1カ所に集中してしまうと、あぜ崩れや食害などの農業被害(現在は効果的な対策が取られています)や、鳥インフルエンザなどの感染症による絶滅の危険性が心配されます。これを受け、環境省による生息地分散の検討が行われています。地域の農家の方をはじめとした住民の協力を得て2番穂や生き物が豊かになるツルに配慮した農法を行ったり、寝ぐら環境を整えたりすることで、最近ではかつての生息地だった和歌山県から中国・四国地方でも、その姿が見られています。
 ツル大国・日本に住んでいても、彼らを見たことがない人も多いのではないでしょうか。生き物にも配慮した農業を心掛けることで、動物園や図鑑の中の存在ではない、本当の姿を、あなたの町でも見られる日が来るかもしれません。

●日本生態系協会

キッチン防災術 近場の食品を利用しよう

 高速道路も鉄道も飛行機も、スイスイと便利な時代になりました。遠方から注文しても2~3日のうちに品物が届きます。一昔前には考えられなかったことです。日常品や食べ物がなくなったらお店に買いに行けば困ることはありません。お店に行けば途切れることなく商品が並んでいます。欠けた商品があれば、クレームになるほどですね。
 そんな便利な時代に少し立ち止まって考えてもらいたいのは、野菜や果物といった農作物は「種をまいて育てなければ収穫できない」ということです。1日や2日で野菜は成長しない、数カ月かかるのが普通です。生産者の皆さんにはおなじみですが、意外と意識しなくなってきました。便利過ぎて今までの「当たり前」が通用しないのです。
 さて、地震に限らず大規模災害が起きると、交通網が壊れ、流通が悪くなります。物の流れが悪くなるということは、食べ物であれば新鮮な物が遠くから届かなくなるということです。近くの食品を近くで消費することになります。特に生鮮品は、腐りやすく、運ぶ距離は短い方が良いのです。ところで何かを売る人は、売れなければ作ることはしません。ということは、ずっと作り続けてもらうためには、買い続ける、買って支えることが必要です。近場の野菜や果物を買うこと、消費すること、それも実は災害に備えることなのです。
 特に旬の食材は大量に安く出回ります。その食材を使って時短でかさが減る油調理がお勧めです。
 まず野菜のへたや皮を取って食べられる部分だけにします。ナスやピーマンなど、野菜500~700g程度、鍋にたっぷりの油(目安2分の1カップくらい)を入れて温め、野菜を入れて焦げ目を付け、そして水を1カップとしょうゆ大さじ2~33を入れて煮込みます。軟らかくなったら出来上がり。見た目は良くありませんが、油がこくになります。

災害危機管理アドバイザー●和田隆昌

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