お役立ち情報コラム

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2020年11月

家族の健康 飲酒も生涯現役を目指すなら

 これからの季節は飲酒の機会も増えそうです。アルコールは適量ならリラックスでき、楽しい気持ちになり、会話が弾むなどのメリットがあります。しかし、飲み過ぎが健康の害になることを忘れてはいけません。アルコールは、高尿酸血症や痛風、肝機能障害、脂質異常症、糖尿病、膵炎、食道がん、肝臓がん、咽頭・喉頭がんなど病気のリスクが高くなります。飲酒すると夜中に目覚める睡眠障害、翌日の眠気などにもつながります。
 多量飲酒を長年続けていると、脳への影響もあり認知症になりやすく、さらに歩行障害などの運動障害を生じることもあります。酔うと暴力的になったり、気が大きくなったり、人格が変わってしまったり、性的な衝動が抑えられなくなったり、社会的な問題の心配もあります。
 ビール中瓶1本分のアルコールを体内で分解するのに、個人差や体調にもよりますが、男性なら2.2時間、女性なら3時間ほどかかります。寝る前に中瓶3本も飲んでしまうと、翌朝までアルコールが残る可能性があります。その状態で自家用車やトラクターを運転すると、飲酒運転になります。いろいろな意味でアルコールとの付き合い方は注意が必要なのです。
 1日の適量としては、ビールなら中瓶1本、大目に見ても男性で大瓶1本。女性はアルコールの分解に男性より時間がかかることもあり、中瓶1本までです。日本酒なら1合、ウイスキーならダブルの水割り1杯までが目安です。1日にその2倍、2合またはビール中瓶2本以上飲むと、健康障害が起こりやすくなるので適量を守りましょう。  料理などを食べながら飲んだり、途中で水やお茶を飲みながら遅めのペースで飲んで、飲酒量を抑えるのも良い方法です。何軒ものはしご酒、長時間の飲酒は量が増えるので避けたいことです。休肝日も週2日確保したいことです。何歳までも、飲酒を楽しみたい人は、少量を心掛け、高齢になってまでも飲酒を楽しめることを目指してはいかがでしょう。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 米のとぎ汁の再利用

 米ぬかに含まれているビタミン・ミネラル、油分やタンパク質といった栄養素が溶け出ているといわれています。昔から米のとぎ汁の利用法については知恵袋としても広く知られてきました。米のとぎ汁の再利用法の主なものについて解説しましょう。
(1)食器洗い
 米のとぎ汁には、油分やでんぷん質が含まれており、界面活性剤の役割となるタンパク質も含まれているため、食器に残った汚れを落としやすくしてくれるといわれています。
 米のとぎ汁で食器を洗った後は、水道水ですすぎ、残り汚れが気になるときには少量の洗剤で洗うようにしましょう。
(2)野菜のあく抜き
 ダイコンやタケノコなどは米のとぎ汁で下ゆでしておくと、えぐみや苦味を取り除くことができます。米のとぎ汁に含まれるカルシウムなどの成分が野菜のえぐみと結合することであくを中和するからといわれています。また、でんぷん質が野菜のあくを包み込んで野菜に戻らないようにしたり、甘味成分を添加したりと、お湯でゆでるよりもおいしく仕上がるといわれています。
(3)洗髪・洗顔
 米ぬかには保湿などに役立つとされる成分が豊富に含まれているため、米のとぎ汁も古来より洗髪や洗顔に利用されてきました。利用前には必ずパッチテストをしてお肌に合うか十分に注意し、皮膚にかゆみや赤みが出たときには使用しないようにしましょう。また、薄めたり上澄み液を使うなどの工夫をし、すすぎもしっかりとしましょう。
◆とぎ汁を再利用するときの注意点
 1回目のとぎ汁にはお米に付着したほこりなどの汚れが含まれるため、そのまま捨て、2回目以降を利用すると良いでしょう。ただし、米のとぎ汁を長時間ためっ放しにするのは、雑菌も繁殖しやすく、不衛生なので避けましょう。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  コナラ

 皆さんが小さい頃、雑木林で拾ったドングリ、それはコナラの実だったかもしれません。
 コナラは春先には黄褐色の花穂を垂らし、白い産毛に覆われた葉を茂らせます。樹液はカブトムシやクワガタなどの昆虫を引き寄せます。秋には黄色く紅葉し、幹下にたくさんのドングリを落とします。ドングリはブナ科の実の総称でさまざまな種類がありますが、細長い円形で浅いうろこ状の帽子をかぶっているのはコナラです。ネズミ、カケスなどの動物にとっては貴重な食料です。
 人々は落ち葉を堆肥に、幹はシイタケのほだ木に、燃やすと火持ちが良い幹はまきや炭にと、その恵みを利用してきました。伐採しても切り株から若芽が旺盛に生える性質を持ち、10~15年でまきや炭に適した太さになるので、人々は伐採と再生を繰り返しながら利用していました。高く伸びた樹木を伐採すると、日光が地表まで届くようになり、日陰で眠っていた草花が芽生え、多くの昆虫がやって来る効果もあります。
 しかし、こうした伝統的な樹木の利用は、戦後の生活様式の変化によって廃れ、各地で次第に育ち過ぎた樹木が放置されるようになりました。これが原因で、コナラなどの多くの樹木が「ナラ枯れ」という病気にかかりやすくなりました。葉は変色し枯死に至るため、倒木の危険が出たり、生き物たちへ恵みの供給ができなくなってしまいます。
 資源利用がされなくなった林ですが、都市近郊では多様な生き物がすむ大切な場所として、価値が見直されています。埼玉県南西部の三富地域では、下草の管理作業だけでなく、林の一角の高木を根元で伐採し新芽の再生を行うことで、荒廃を抑制し、かつての風景に近づけようとしています。お近くでも林の若返りの取り組みが行われているかもしれません。未来の子どもたちもドングリ拾いができるように。

●日本生態系協会

キッチン防災術 パッククッキング

 透明または半透明のプラスチックの袋のことを、ビニール袋とか、ポリ袋とか、ナイロン袋といいます。
 ポリ袋の材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、そしてビニール袋の語源となったポリ塩化ビニール、ナイロンなどがあります。このうちポリ塩化ビニールは燃やしたときにダイオキシン類が発生することがあり、一般家庭用では使われなくなりました。
 現在はほとんどがポリエチレンかポリプロピレンで、そのうち家庭でなじみが深いのはポリエチレンです。大きく分けて高密度と低密度の2種類があります。低密度は透明で柔らかい物で、耐熱温度は低く70度から90度程度、調理には向きません。高密度は半透明でカサカサしていて、耐熱温度が90度から110度程度です。ポリ袋に入れたまま加熱したいときには、耐熱性の高密度ポリエチレン袋がお勧めです。
 ポリ袋を使って行う調理は「パッククッキング」と呼ばれ、袋の中に調理したい食材を入れて熱湯でゆでます。水が直接食べ物に触れないので、きれいな水が手に入りにくい災害時にも活躍しそうです。パッククッキングでは水が蒸発しにくいので、水分はごく少なくて構いません。ご飯を炊くこともできて、1合(150g)に対して120gの水を入れ、空気を抜いて縛ります。20分ゆでて10分そのまま蒸らしたら出来上がり。炊きたてのご飯を袋に入ったまま持つと硬いように思いますが、袋を開けてほぐすと普通のご飯になります。グツグツと煮立てない分、米の香りが立つ炊き方です。
 パッククッキングには必ず耐熱性の食品用ポリ袋を使ってください。野菜などは自分の持つ水分で火が通りますので、塩を少々まぶして袋ごとゆでると良いでしょう。空気をよく抜くのが上手に調理するコツです。鍋底に当たると袋の耐熱温度を超えてしまうことがあるので、鍋底には皿または網を敷きましょう。

災害危機管理アドバイザー●和田隆昌

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