お役立ち情報コラム

生活に役立つ情報や営農情報をお届けします

2020年12月

家族の健康 寒くなると増える腰痛に注意

 寒い季節に増える健康問題の一つが腰痛です。屋外での農作業や、年末の大掃除などは腰痛になりやすいので注意が必要です。
 腰痛が最も起きやすい状況は、重い物を持ち上げたとき。腰に大きな負担がかかりギクっとくるのです。予防するには日頃からストレッチで柔軟性を養い、筋力強化も行い、持ち上げる重さに負けない体をつくることが必須です。物を持ち上げるときは、上体だけを前屈して腰のパワーで持ち上げるのではなく、かがんで物をしっかり持ち、足腰の力を総動員して立ち上がりつつ持ち上げると、腰への負担が減らせます。重量挙げの選手の競技の様子を思い浮かべ、見習いましょう。
 前かがみの姿勢は、腰に負担がかかります。農作業、物を箱に詰める、掃除機をかけるなどの家事、育児や介護などにも前かがみ動作はいっぱいです。寒い時期は体を冷やさない服装を心掛け、作業の合間には腰を伸ばしリラックス、疲れた夜には入浴で心身をほぐしておきます。ストレスもメンタル不調も腰痛の原因になり得るという報告があります。腰痛予防には、気持ちのゆとりも大切です。体重増加も腰痛の誘因になります。年末年始は飲食の機会が増え、太りやすい時期。腰痛予防には体重管理も欠かせません。
  腰痛にも、骨粗しょう症など骨に問題がある、腰椎すべり症など骨の並び方に問題がある、腰椎椎間板ヘルニアなど椎間板に問題がある、腰部筋膜症など筋肉の問題があるなど、いろいろな状態があります。さらに腎臓や子宮など体の内部の病気が原因の腰痛もあります。ですから、激痛を伴う場合、繰り返す腰痛や長引く腰の痛みがあれば、まずは整形外科を受診してレントゲン検査などをして正しい診断を受け、その状況に合った治療や生活上の対策をすることが大切です。腰痛を予防し、冬も快適に過ごしたいですね。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 ダイエットとご飯の関係

 ダイエット中に炭水化物をまったく食べないという話を聞くことがあります。ダイエットと炭水化物の関係について考えてみましょう。
 ご飯をはじめとする炭水化物は、体内で消化されてブドウ糖になり、活動のためのエネルギー源となります。同じエネルギー源である脂質やタンパク質に比べ、より早く利用されるという特徴があります。ブドウ糖は脳や赤血球の安定的なエネルギー源でもあり、運動も適度に取り入れるダイエットには必要不可欠といえます。
 一方で、食事により取り込まれたブドウ糖は血糖値を上昇させます。血糖値が上がると、膵臓からインシュリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げようと働きます。このインシュリンは、脂肪細胞の合成や脂肪細胞の分解抑制にも働くため、分泌量が多量になると「太る原因」ともなります。そのため、「ダイエット中には血糖値の上がりやすい炭水化物を食べない」という選択をする人も多いのですが、前述のように炭水化物は健康的に生きていく上で大切です。まったく食べないようにするのではなく、血糖値の急上昇を防ぐことが重要なのです。
 食物繊維の多い野菜や海藻・きのこ類を先に食べたり、ゆっくりとよくかんで食事をすることで、血糖値の上昇を抑える効果があるといわれています。また、ご飯(特に玄米)は、パンやうどんに比べて血糖値が急激に上がりにくいといわれています。
 特にご飯はビタミン・ミネラルなどの栄養素も含まれており、食事全体の栄養価を高める役割もあります。ご飯をまったく食べないのではなく、適量にしたり、食べ方を工夫することでダイエットの強い味方となります。
 ダイエット中のご飯の量は、厚生労働省の食事バランスガイドを参考にすると、活動量に合わせて女性は1日300~500g程度、男性は1日400~700g程度が目安となります。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  雁

 冬の静かな空に現れる、大きなV字。渡り鳥が風の抵抗を最小限にするために編隊を組んで飛行している様子です。その名も雁行。大型のカモの仲間、雁からその名が付きました。
 雁は9~3月に越冬のために群れで日本を訪れる草食の水鳥で、湖沼や水田などで生活します。マガンやヒシクイなどの種類が多く飛来し、古くからその肉は美味とされました。おでんに入っている「がんもどき」は、そんな雁の肉の味に似せて作られたという説もあります。  かつて雁は日本全国に飛来する、ごく普通の鳥でした。明治期以降、銃が普及したことから乱獲が増え、その数は激減してしまいました。警戒心が強く広々とした水田の減少や宅地開発などによる湿地の埋め立てが進んだことも、雁たちにとって安心して冬を過ごせる場所の減少につながりました。
 近年では日本でも、地球規模で移動する渡り鳥とその生息地を守ろうという機運が高まり、雁に関しては主な飛来地である北海道の宮島沼や宮城県の伊豆沼と内沼などが「ラムサール条約湿地」に登録されました。また、1970年代には狩猟鳥から外され天然記念物に指定された種もあります。
 地域での活動としては、「日本雁を保護する会」などの呼び掛けで、冬でも田に水を張る「ふゆみずたんぼ」の取り組みが宮城県をはじめ各地で進められています。こうした水田では、雁をはじめとする生き物の生息地の確保の他、彼らが雑草を食べてふんをすることで天然の肥料を提供してくれるなどのさまざまなメリットがあります。ここで収穫されたお米は、生態系に優しく人間にとっても安全・安心なブランド米として人気が高まっています。
 Vサインで雁たちを迎え、そして見送る、そんな生き物と人とが互いに助け合って暮らせる日本。雁たちは日本の良さを世界に発信する宣伝部長カモ!

●日本生態系協会

キッチン防災術 ダイコンのなます

 台所にある調理器具の中で、一番不潔になりがちな物は何でしょうか。それは、まな板です。料理を始めるときに必ず必要だといわれる物の一つです。
 火を通すことを前提としている肉や魚には食中毒菌が付着していることがあります。そのため野菜と肉魚はまな板を分けましょうといわれることがあります。日常生活においても、使用後にきちんと洗剤で洗って、さらに熱湯や塩素で消毒をする方も多いでしょう。災害などでライフラインが途絶えると、調理をするときに食材や調理器具を洗うことが難しくなります。
 そこで、まな板を使わずに野菜などを切るにはスライサーがお薦め。薄切りや千切りがまな板なしでできます。たくさんの野菜を千切りにするとき持っていると便利です。また、皮むき器(ピーラー)も、皮が薄くむけるのと同じように、薄切り器になります。皮むき器は自分の手のサイズに合った、使いやすい物を用意しましょう。
 これらの器具、普段は洗剤や塩素消毒できますが、洗い流す水が少ないときは塩素消毒は取り扱いが難しいものです。消毒には熱湯に漬けたり、掛けたりするのが手軽です。耐熱のもの、またはステンレス製がお薦めです。プラスチック製だと湯を掛けると変形することがあり、木製は消毒しにくいためです。熱湯消毒の方法は、緩やかに沸いているお湯に20分漬けておきます。熱を通す食材を切る場合はそこまでしなくても、熱湯で洗い流すだけで十分です。
 わが家では冬になるとダイコンを1本買って、葉はギョーザやふりかけに、根は、まずスライサーで千切りにしてしまいます。大体重さの2%くらいの塩と水大さじ2ぐらいを混ぜて、全体に塩を混ぜ込み、30分ほど待って水が出てきたら、水を絞り切ります。砂糖30g、酢を200mlくらいを入れて、混ぜ、なますにします。冬は毎日食卓に上る常備菜です。酢が入っているので1週間ほど持ちますし、漬物の代わりにもなります。

災害危機管理アドバイザー●和田隆昌

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