お役立ち情報コラム

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2021年3月

家族の健康 春冷え対策

 春の日差しは気持ち良いけれど、時に寒くなり「花冷え」という季節の言葉も使われます。この時期は日によって朝夕と昼間でも寒暖差が大きくなります。
 特に屋外での農作業では、地面が冷たく風があれば体感温度はさらに低く感じます。しかし、昼間は日差しが強くなると暖かく、体を動かしていると暑くなり汗ばむこともあるでしょう。夕方になって気温が下がれば一気に体が冷えてしまいます。
 体が冷えると、免疫機能が低下するといわれ、風邪をひきやすくなります。また、胃腸の調子が悪くなったり、肩凝りや腰痛、頭痛なども出現しやすくなります。血圧が上昇したり、不整脈が現れたり、疲れやすくなったり、いろいろな不調を引き起こしかねません。
 この季節に屋外での作業などでは、朝夕や風のある日は、重ね着で出掛け、気温が上がったり、体を動かして暑く感じたら、徐々に衣服を脱いで上手に調節しましょう。風のある日は、ウインドブレーカーのような風を通さない上着があると体が冷えにくいです。まだ寒い朝は、首、手首、足首がしっかり覆われる衣服を心掛けましょう。日差しが出てきて、暑く感じたら上着は脱いで、汗は小まめにタオルで拭き取るようにします。
 寒さも感じる日の昼食にはポットに入れた熱いお茶などを飲んで、水分補給と体の中から温めることもお忘れなく。夜の入浴はゆっくり湯につかり、温まりましょう。食事も春は生野菜のサラダや酢の物など春夏向きの物がおいしそうに見えます。生野菜は冷蔵庫で冷やさないようにとか、生野菜だけではなく加熱調理した温野菜も食べるように心掛けましょう。春が訪れても、実はまだ寒さも残るこの時期、生活の工夫で体が冷えないように注意して快適に春を楽しみましょう。
 お花見に行くときも、寒さ対策をお忘れなく。地面に敷くシートに座布団、膝掛け、マフラーなど用意して寒さなく楽しみたいですね。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 お米・ご飯のおいしい保存方法

 新生活がスタートする時期、忙しくてもおいしいご飯を食べられるように、お米やご飯の上手な保存方法をマスターしましょう。
〈お米の保存方法〉
 精米されたお米は、生鮮食品です。密封容器に移し替えて野菜室で保存するのがベスト。常温でなら、温度・湿度が安定的に低い場所に保管しましょう。保存期間は季節にもよりますが、基本的には2週間から1カ月が目安です。
〈ご飯の保存方法〉
 炊きたてのご飯はふっくらと軟らかです。それは、お米に含まれているでんぷんに水を加えて加熱することで、組織が緩み、「α化」と呼ばれる消化しやすい状態に変化するから。逆に、保温を長時間続けたり、冷えたりしたご飯がボソボソとした食感になるのは、でんぷんに含まれていた水分が失われて、生でんぷんの構造に近くなるからです。そしてこのような現象をでんぷんの「老化」と呼びます。でんぷんの老化は、2~4度の温度帯が最も進むといわれており、α化でんぷんを高温のまま乾燥するか、急速に冷凍することにより防止することができます。家庭では、できるだけ早く冷凍できるように工夫を施して、冷凍保存するのがお勧めです。
(1)炊きたてのご飯を1食分ずつ、水分が失われないようラップを使って、空気が入らないようにぴったりと平たく包みます。冷凍ご飯の専用容器を使用する場合は、熱々のご飯を容器の上まで詰めてふたをします。
(2)粗熱が取れれば、金属トレーに置き、ご飯の上にも保冷剤を載せるなど冷えやすい工夫をして冷凍庫で速やかに冷却しましょう。
(3)冷凍後、フリーザーバッグに入れて空気を抜いて保存します。
※冷凍ご飯はラップのまま電子レンジで加熱します。途中でほぐすとふっくらと仕上がります。温めたご飯は熱いうちに食べましょう。冷凍ご飯の保存期間はおおむね3週間程度といわれています。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  タケノコ

 春になると八百屋やスーパーにはタケノコが並びます。煮物や炊き込みご飯の具材としてとても人気があるタケノコは、地面から出た竹の芽のことです。皆さんも、近所の竹林の地面から、皮に覆われニョキっと飛び出た姿を見たことがあるかもしれません。
 昔から人々は、家の周りや里山の斜面にマダケやモウソウチクなどを植えてきました。こうした竹林からは、タケノコを収穫するだけでなく、竹を使った籠、ざる、すだれなど生活に欠かせない道具の材料も調達してきました。今でも家の中で、竹を使った製品を見つけることができるかもしれません。また竹は、竹とんぼや竹馬のような遊びの道具としても利用されてきました。このように竹林は、里山の暮らしの中で、雑木林やカヤ場と同じように生活に密着した場所といえます。
 しかし、身近だった竹が、プラスチック製品に置き換わったり、価格の安いタケノコが外国から輸入されたりすることでだんだんと利用されなくなり、私たちの生活から遠ざかってしまいました。結果として、竹林は放置されタケノコも育たない暗い森へと姿を変えてしまいました。こうした竹林は広がっていく傾向にあり、これまで竹の生えていなかった森の中にも侵入しています。
 こうした中、日本各地で放置された竹林をボランティアで適切に管理する動きも出ています。その一環で、竹を適正な数に間引きし、タケノコの生える景観的にも美しい竹林を取り戻す活動が実践されています。また近年、竹の新しい利用方法も次々と開発されています。とはいえ、全国に数え切れないほどある竹林を管理することは、そう簡単なことではありません。竹林をいい状態に保つには、人の手による適切な管理が必要です。地元産のおいしいタケノコを食べるためにも、身近な竹林に目を向けてみてください。

●日本生態系協会

季節の室礼 桜

 日本人が愛してやまない桜。東京オリンピックの聖火トーチにも桜のモチーフが使われています。桜が実は「日本の国花ではない」と聞いたら驚くでしょうか。日本では国花を定める法律がないため、皇室の紋章である菊と共に「準国花」という意味付けなのです。
 桜は農事と深く関わりがあります。桜という言葉は、早乙女・早苗・皐月(さつき)などと同じく、田の神を表す「サ」と、座を表す「クラ」が合わさってできています。つまり田の神様が降りる依り代(よりしろ)という意味です。
 花見は古来より、田植えが始まる前にその年の豊作を願って、田の神が宿る桜をめでたのが始まりといわれています。かつては花見といえば梅見でしたが、平安時代に宮中で桜をめでるようになり、江戸時代以降、今の花見の風習が広まっていきました。その頃の桜は山桜。桜の名所、奈良の吉野桜も山桜です。ソメイヨシノは江戸時代、東京駒込の染井村で大島桜と江戸彼岸桜を掛け合わせて作られたといわれています。
 この時期にいただく桜餅。皆さんは長命寺派と道明寺派のどちらでしょうか? 桜餅は、東京向島で長命寺の桜の葉を塩漬けにして作ったのが始まりとされています。長命寺の桜餅は小麦粉の皮であんをくるみますが、道明寺の桜餅は餅米であんをくるみます。大阪藤井寺の道明寺は、道明寺粉発祥の地。蒸して乾燥させた餅米は昔の携行食で、お湯で戻して食べることができます。今は和菓子の材料として使われています。
 この時期の室礼飾りは、花見の雰囲気を家でも楽しめるように桜を大胆に生けましょう。カバ細工として小物にも使われる桜の木の皮は、美しい物です。ガラスの花瓶を使うと、枝模様が映えます。桜の形のプレイスマットを敷くのもいいですね。

和文化講師●滝井ひかる


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