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2021年5月

私の食育日記  節句

 わが家は男女の兄妹なので、ひな祭りとこどもの日はそれぞれ自分だけが主役になれる日として、とても楽しみにしています。こどもの日は端午の節句ともいわれ、江戸時代には幕府が公的な祝日として定めた五節句のうちの一つです。節句とは季節の節目を表すもので、五節句には、端午の節句の他、3月3日の「桃の節句」、1月7日の七草を食べて無病息災を願う「人日」、7月7日の芸事の上達を願う節句とされる「七夕」、9月9日の不老長寿を願う「菊の節句」がありました。
 この、季節の節目を表す行事には、その季節らしい食べ物が伝わっています。1月7日は七草粥を食べますが、春の七草で春の訪れを待ちわびるものです。3月3日の、ピンクと白と緑の菱餅は、桃と雪解けと新芽を表しているともいわれ、ひなあられと共に春の訪れを表しています。また菱餅の菱形には、ヒシという植物が水面に広がって繁茂することから、繁栄の願いが込められているそうです。5月5日の柏餅には、新芽が出るまでは葉を落とさない柏の様子から、子孫繁栄が願われ、ちまきには魔よけの意味が込められています。7月7日には、昔は、裁縫の上達を願ってそうめんが食べられていたそうです。そして9月9日の菊の節句は、菊の花の香りの酒を飲みながらお月見をしたそうです。
 このように節句は、季節を感じる食べ物に願いを込めてみんなで食べるというとてもすてきな伝統です。ひな祭りの日、娘は、「ケーキ屋さんに並んでいるよ。みんなはケーキを食べるのかな?」と気にしていましたが、わが家では、ハマグリ、菱餅、ちらしずし、ひなあられで祝い、一つずつ願いを伝えながら食べることにしています。5月5日のこどもの日には、ちまきを息子と一緒に作り、邪気をはらうとされる5色の糸でちまきを縛ることに挑戦。

岡村 麻純(おかむら ますみ)
1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


野菜もの知り百科 キャベツ(アブラナ科アブラナ属)

 キャベツはショ糖やブドウ糖を含み甘いので甘藍、結球して丸くなるので玉菜ともいいます。結球したキャベツでも、春になると玉が割れて茎を伸ばし、黄色で十字状の花を咲かせます。花が咲かなければ種子は取れません。
 キャベツはグリーンプランツバーナリゼーション(緑植物体春化)といって、株が一定の大きさになって、一定の低温が一定期間続くと、花芽が分化します。その後の高温と長日によってとう立ちして開花します。
 同じアブラナ属で菜の花を咲かせるハクサイやカブは、シードバーナリゼーション(種子植物体春化)といって、種子が吸水して発芽を始めたときから一定の低温に一定期間遭うと花芽分化します。
 トマトやキュウリなどの果菜類は花が咲かないと実がなりません。キャベツやハクサイなどの葉菜類、ダイコンやニンジンなどの根菜類は栽培途中で花が咲くと収穫までに至らないので、花が咲かないように栽培します。
 品種により異なりますが、結球には約20枚の外葉と50~70枚の結球葉が必要で、その前に低温に遭うと花芽ができ結球しません。秋まきする春キャベツの産地は豊橋(愛知県)や三浦(神奈川県)、銚子(千葉県)など冬が温暖な地域に限られます。キャベツに含まれているビタミンU(キャベジン)は胃潰瘍の治療に効果があります。Uはulcer(潰瘍)の頭文字に由来します。ビタミンUは熱には弱いので、コールスローなどにして生で食べます。
 キャベツを縦に半分に切ると太い芯が見えます。この芯が伸びて花茎になります。春キャベツの芯は夏キャベツと比べると長いです。球内で芯が伸び過ぎると、とがったキャベツになります。
 少し難解な内容で、読んでいて胃が痛くなったかもしれません。キャベツを食べましょう。コールスローのコールはキャベツ、スローはサラダを意味します。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 キャベツ 病害虫の予防を万全に

 キャベツは冷涼な気候を好み、生育適温は20度前後ですが、初期は高温や低温に強い野菜です。一般地では夏まき秋冬取りが最も作りやすい時期です。
[品種]
 サラダ、煮物などに万能の品種が主流で、病気に強い品種を選びましょう。秋取りに適した早生品種の「初秋」(タキイ種苗)、「新藍」(サカタのタネ)は葉が柔らかい良食味品種です。冬取りには中晩生種で甘味のある「彩音」(タキイ種苗)、「冬藍」(サカタのタネ)もお薦めです。
[栽培期間]
 一般地では、早生種は7月上旬~下旬に種まきし種まき後90日程度、中晩生種は7月下旬~8月中旬に種まきし120~150日で収穫できます。
[苗作り]
 少量の苗を作るには7.5~9cmのポリポットを使うのが便利です。1ポット当たり3~4粒まき、本葉2~3枚で1株になるよう間引きます。苗作りの期間は30日程度で、寒冷しゃなどで害虫の飛来を遮断します(図1)。
[畑の準備]
 畑1平方m当たり苦土石灰100g程度をまき、よく耕します。畝幅70~80cm、深さ20cmの溝を掘り、この溝1m当たり堆肥1kgと化成肥料(NPK各成分で10%)100gを施し、土とよく混ぜて畝を立てます(図2)。
[植え付け]
 本葉5~6枚の頃、株間40cm程度に植え付けます。このとき、植え穴を掘り、穴に十分水やりして、活着をスムーズにさせます(図3)。
[追肥]
 本葉10枚の頃、株の周りに化成肥料を1株当たり10gくらいまいて、株元に土寄せします。2回目はその20日後に同量を畝の両側にまき、土寄せをします。
[病害虫の防除]
 ヨトウムシ、コナガ、アブラムシが多いので、オルトラン水和剤などで駆除しますが、生育初期はネット栽培で予防しましょう。葉先にくさび状の病班を示す黒腐病にはZボルドーなどで予防します。
[収穫]
 球が肥大し、やや堅く締まってくれば収穫期です。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆


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