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2021年 9月

私の食育日記  野菜を切って図形を学ぶ

 息子の幼稚園では野菜を育てています。保育の中で、クラスごとに野菜のお世話をしています。子どもたちも自分のクラスの野菜に愛着が湧くようで、息子のクラスで育てている野菜4種類のうち、2種類は普段なら食べない野菜でしたが、園で育て始めてからは気になる存在になったようです。そして、収穫したらすぐに食べさせてもらえるので、食べられなかったカブも、「取れたてはおいしかった」と言って帰ってきました。あらためて体験から得るものは大きいと感じています。
 息子の幼稚園は創作活動にも力を入れてくれています。そのため、野菜を収穫したら、その野菜の絵や工作も行います。先日、キュウリの絵を描いてきたのですが、息子が描いてきたのはキュウリの断面です。丸い断面の外側から内側に向かって色が薄くなっていくのがきれいだったからとのこと。キュウリを描いてと言われたらそのままの形を描くしか頭になかった私は、感心してしまいました。
 そこで、息子とお料理の際に、一緒に野菜を切って断面をチェックする遊びを始めました。意識して見るととても面白い。色味もそうですが、野菜や果物によって種の並び方、数も違って、「ナスは種が模様みたいに並んでいるね」とか、「オクラは切ると水玉のお星さまだ」と息子も楽しそうです。さらに、キュウリやニンジンを半分に切ると丸いのに、斜めに切ると楕円形になることに気付いた息子。そこで、こうやって切るとどんな形になるかをクイズにして楽しみました。私が、キウイを半分に切る問題を出すと、半分に切ったのに丸ではなく楕円形になったことに驚いた息子。「どうして半分に切ったのに楕円なのだろう」とずっとキウイを見詰めていました。
 気が付けばすっかり図形のお勉強。食に触れていくことでたくさんのことが学べることをあらためて実感しました。 。

岡村 麻純(おかむら ますみ)
1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


野菜もの知り百科 サフラン(アヤメ科クロッカス属)

 植物は形や名前が似ていても、一方は食用になり健康に貢献し、他方は猛毒を含み食べると生死に関わることがあります。スイセンの葉をニラと間違えて食べてしまい、嘔吐や下痢をする食中毒が毎年のように起こっています。
 サフラン(アヤメ科クロッカス属)とイヌサフラン(コルチカム=イヌサフラン科イヌサフラン属)は名前も花形もよく似ています。サフランの雌しべはフランスの寄せ鍋ブイヤベースやスペインの炊き込みパエリアには不可欠で、血行改善や疲労回復などの効果があるといわれています。イヌサフランは全草に猛毒のコルヒチンを含んでいます。
 サフランの原産地は中東で、日本には江戸時代に薬として伝わりました。明治時代に神奈川県大磯で栽培されるようになり、その後大分県竹田市に産地ができました。竹田市には瀧廉太郎の『荒城の月』のモデルになった岡城跡があります。
 竹田市のサフランは秋に室内で開花させて雌しべを丁寧に摘み取ります。露地栽培で開花させて収穫した物と比べると衛生的です。竹田市産は雌しべが大きく、色鮮やかで香味も良く、品質が世界一といっても過言ではありません。
 サフランは球根を土に植えると葉が先に出てから開花しますが、植えないでおくと花が咲いてから葉が出てきます。サフランの花は室内で水をまったくやらないで咲かせることができます。薄紫色の清楚な、ほんのり甘い香りのする花を楽しめ、赤い雌しべを取ることができます。花が咲き終わった株をプランターに植えておけば、翌年5月に分球で増えた新しい球根が取れます。
 サフランの雌しべに含まれているクロシンは、アルツハイマーの改善向上に期待されています。子どものときに歌った曲も脳を活性化させます。団塊の世代が後期高齢者になります。サフラン料理を食べ、『荒城の月』を歌いましょう。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 コマツナ べた掛け資材で害虫を防ぐ

 コマツナは耐寒性があり、冬の寒さで特においしくなります。ビタミン類、カルシウム、鉄分を多く含む緑黄色野菜です。
[品種]
 近年は葉が丸く、緑が濃い品種が好まれ、秋冬まきでは「はまつづき」(サカタのタネ)、「楽天」(タキイ種苗)、春夏まきでは「いなむら」(サカタのタネ)、「菜々音」(タキイ種苗)などが良いでしょう。
[栽培期間]
  一般地ではほぼ周年栽培でき、草丈20~25cmを目標に、春まき(3~5月)は30~50日、夏まき(6~8月)は20~25日、秋まき(9~11月)は30~60日で収穫します。冬まき(12~2月)は、トンネルやべた掛け資材で保温し、60~90日で収穫できます。生育が早く収穫遅れになりやすいため、1週間置きに少しずつまいて、長く収穫を楽しむのが良いでしょう。
[畑の準備]
 種まき2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまいて畑をよく耕し、1週間前に化成肥料(NPK各成分で10%) 100gと堆肥2~3kgを施し、土とよく混ぜておきます。幅90cmの栽培床を作り、畝に直角に条間15~20cmの種まき溝を切ります。このとき、まき溝は支柱や木板を土に押し付け、溝を付けると深さが一定になります(図1)。
[種まき]
 種が重ならないように1cmくらいの間隔でまき、土を軽くかぶせておきます。種まき後はべた掛け資材を使い、乾燥や強い雨を防ぐと同時に害虫の予防にも有効です。被覆は収穫の5~7日前に取り除きます(図2)。
[間引き]
 初めは、本葉が見える頃に子葉の重なっている部分を間引きます。その後、葉が触れ合う程度に間引き、最後に5~6cm程度の間隔にします。間引き後は株がぐらつくのを防ぐため、株元に土寄せします(図3)。
[病害虫の防除]
 生育期間が短いので、農薬の使用は生育初期に限ります。不織布のべた掛けやネット栽培によりアブラムシ、コナガなどの害虫の侵入を防ぎます。
[収穫]
 草丈20~25cm程度で根を付けて抜き取り収穫をします。収穫が遅れると葉が堅くなり、食味も落ちてしまいます。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆


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