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2022年 5月

私の食育日記  朝の黒豆

 とある時代劇を見ていたら、将軍が幼少期に、「立派な人になるために、毎日黒豆を食べよ」と言われる場面がありました。その話をしたら、黒豆が大好きな息子が、「僕も毎日食べることにする」と、その日から毎朝の黒豆が習慣となりました。一度にたっぷりと煮て、小分けに冷凍し、毎日少しずつ出すので親の負担も少なくおかずが1品増えて助かっています。
 そもそも黒豆とは、正式名は黒大豆といって大豆の一種です。大豆は種皮の色によって、黄色、黒、緑などあり品種の多いお豆です。時代劇にも登場したように、黒豆は一説には平安時代から食べられていたようですが、その頃から一般的な大豆が黄色大豆、そして薬学で出てくる大豆は黒色大豆とされていたそうです。
 お正月のおせち料理に登場する黒豆。マメに働けるようにと、黒色によって邪気をはらうところから無病息災を願って食べられますが、黒豆の魅力は願いだけではありません。黒豆には全ての必須アミノ酸を含むタンパク質が豊富で、抗酸化作用があり風邪予防にもなるポリフェノール、食物繊維も豊富です。また、成長期の子どもには不可欠なカルシウムも豆類の中で最も多く含まれます。糖質や脂質をエネルギーに転換するのを手伝うビタミンB1、B2も多く、さらには、子どもの脳の発達のために不足してはいけない鉄分がたくさん含まれています。
 現代では、日本の食卓には、海外からの食文化も一般的に並ぶようになりました。その結果、日本では脂質の過剰摂取が急速に増えてしまいました。そこで、脂質、糖質、タンパク質の三つのバランスが良い豆類はむしろ現代の日本にこそ必要な食材のように思います。薬とまで評された黒豆を、年に1度しか食べないのではもったいない。息子も、毎朝の黒豆で、立派な将軍のように、とまではいいませんが、元気に育ってくれたらと願います。

岡村 麻純(おかむら ますみ)
1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


野菜もの知り百科 トウモロコシ(イネ科トウモロコシ属)

 世界三大穀物は小麦、米、トウモロコシで、どれも単子葉のイネ科です。世界的に見ればトウモロコシは野菜(園芸作物)ではなく食用作物です。日本で食べられるスイートコーンは未熟のトウモロコシで、野菜に分類されます。同様に未熟の大豆を食すエダマメは野菜に、完熟で収穫する大豆は食用作物に分類されます。
 トウモロコシには甘味種(スイートコーン)、硬粒種(フリントコーン)、爆裂種(ポップコーン)、馬歯種(デントコーン)などがあります。甘味種は未熟で利用しますが、他の種のほとんどは完熟で収穫します。爆裂種は粒の大部分が硬質で、炒めるとわずかな軟質部が膨張して粒全体がはぜます。甘味種は種皮が柔らかいため、炒めてもポップコーンにはなりません。
 1970年代初頭に糖分含量が抜群の「ハニーバンタム」が発表され、大人気になりました。それまでのスイートコーンは「湯を沸かしてからもぎに行け」と言われるほど糖度の低下が早く、消費が限られた野菜でした。「ハニーバンタム」は糖度の低下が緩やかで日持ちするので、全国のスーパーに並び、トウモロコシは家畜の餌とされていた西日本でも食べられるようになりました。
 「ハニーバンタム」は粒皮が口に残るのが難点でした。そこでイエロー種と皮の柔らかいホワイト種を掛け合わせたバイカラーの「ピーターコーン」が1980年代中ごろに開発されました。粒色は黄色が優性、白色が劣性なので、メンデルの法則通り黄色の粒と白色の粒の比率は3対1です。
 現在はさらに育種が進み、イエロー種でも皮の柔らかい「味来」や「ゴールドラッシュ」などが主力品種です。ホワイト種も栽培されるようになりましたが、イエロー種の花粉が掛かると雌穂の所々に黄色い粒が入ってしまいます。トウモロコシは風媒花で、花粉は300m以上も飛びます。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 ブロッコリー 側花蕾を春まで取り続ける

 ブロッコリーは冷涼な気候を好み、生育適温は18~20度です。小さいときは高温に強いが、つぼみの肥大期には耐暑性が弱くなります。一方、耐寒性もあまり強くなく、氷点下2度以下で凍害を受けます。
 7月下旬~8月中旬にまき、11~12月に頂部の花蕾を収穫し、その後側枝から小さい花蕾を春まで取り続けます。
[品種]
 花蕾が作られる早晩で早生、中生、晩生に分けられます。中生品種が作りやすく頂・側枝花蕾兼用の「ハイツSP」(タキイ種苗)、「緑嶺」(サカタのタネ)などが一般的です。「スティックセニョール」(サカタのタネ)は小さいつぼみで茎が柔らかく、たくさん取れる家庭菜園向きの品種です。
[苗作り]
 直径7.5~9cmのポリポットを使い1ポット当たり3~4粒をまき、本葉2~3枚以上で1株に間引きます(図1)。苗作りの期間中は、寒冷しゃで害虫の飛来を防ぎます。
[畑の準備]
 植え付け2週間前に、1平方m当たり苦土石灰100gをまいて、深く土を耕しておきます。植え付け1週間前に畝幅70~80cm、深さ20cmの溝を掘り、この溝1m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100gと堆肥2~3kgを施し、土を戻してよく混ぜて、高さ10cm程度の畝を作っておきます(図2)。
[植え付け]
 本葉4~5枚の頃、株間45cm程度に植え付けます(図3)。植え付け前には、植え穴に十分灌水して植え傷みの少ないようにします。
[追肥]
 追肥は植え付け後20日ころ株元に化成肥料を1株10gくらいまいて、土寄せします。2回目は花蕾が見える頃に施用します。また、頂部の花蕾を収穫後、側枝の発生を促すため、10gくらい与えます。
 病害虫防除(ヨトウムシ、コナガなど)が多いので、トアロー水和剤CTなどで駆除します。
[収穫]
 花蕾が大きくなり、小さいつぼみがはっきりと見え、固く締まった状態が収穫適期。長さ15~20cmに切り取ります(図4)。頂花蕾の収穫後、側枝から発生する小さい花蕾を春まで取り続けることができます。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆




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