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2022年 8月

私の食育日記  お庭で野菜作り

 わが家のお庭で、野菜作りを始めました。大きなプランターを使ったコンテナ栽培です。子どもたちと一緒に苗や種から選び、それぞれに担当を決めてお世話は責任を持ってもらい、上のお兄ちゃんには、その野菜について調べることもお願いしました。
 夏には、ピーマン、ニンジン、ミニトマトにエダマメ、息子の希望で小玉スイカにもチャレンジしました。どれも身近な野菜ばかりでしたが、実際に育ててみると新しい発見がいっぱい。息子は雄花と雌花の違いを知り、「野菜にも、お父さんお母さんが必要なんだ、家族だったんだね!」と感動していました。
 そして、何カ月もかけて育ててみた子どもたちの感想が、「野菜って、なかなか食べられるようにならないね。やっとできたのにこれだけ?」というものでした。まさに、これが、私が感じてほしかったことです。スーパーに行けば山積みにされている野菜たち。1袋にたくさん入っているプチトマト。野菜といえばその姿ばかり見てきた子どもたちにとって、毎日見つめてもなかなかできず、やっとできても、子ども2人で味見するほどしかできないことに衝撃があったようです。
 食育活動において、野菜作りは定番のカリキュラムです。苦手な野菜を自分で作ったら食べられるようになった、そんな話もよく聞きます。それはとってもすてきなことです。でも、私が食育で最も伝えたいことは、食べ物が自分自身をつくっているということを理解して、食べることを大切にする。食べ物があるということに感謝して、食べ物を大切にする。この二つです。
 子どもたちは、自分が時間をかけて作ったわずかなトマトを、胃に入っていくのを意識しているかのように、とっても味わって食べていました。その食べ物をいとおしむ感覚を知ってほしい、それが1番の願いでした。
 さて、次の季節は何を育ててみようかなと家族会議が始まっています。

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


野菜もの知り百科 ラッカセイ(マメ科ラッカセイ属)

 ラッカセイは漢字では「落花生」と書きます。開花後に子房柄が地中に侵入し、サヤを作る不思議な植物です。ラッカセイの完熟子実(ピーナツ)は食用作物に分類され、野菜の本には載らないこともあります。未熟子実(ゆでラッカセイ)は野菜ですが、全世界の生産量はごくわずかです。
 ラッカセイは南米原産で、コロンブスの新大陸発見後に欧州、アフリカ、アジアで栽培されるようになりました。日本には18世紀初頭に中国から伝わったので、南京豆と呼ばれました。
 ラッカセイの花は一日花で、早朝に開花して午後にはしぼみます。マメ科野菜の花はチョウの形をしていて、魅力的な物が多いです。家庭菜園では春には薄紫色のソラマメの花、夏には黄色のラッカセイの花、秋には水色のシカクマメの花が楽しめます。
 殻の表面に浮き上がっている筋は維管束で、水や栄養分の通り道です。維管束は子実が熟してくるとはっきりとしてきます。ラッカセイの完熟子実の収穫は、葉が黄変した頃に株ごと引き抜いて乾かします。ゆでラッカセイはその20日くらい前に収穫し、すぐに利用します。
 殻は中の子実を守るために堅いです。石灰は土壌酸度を改良するために栽培の前に施しますが、細胞壁を強くする効果もあります。ラッカセイのサヤの充実には石灰が必要で、石灰が不足すると未熟サヤや空サヤが多くなってしまいます。産地では開花後に石灰を散布し、畑が真っ白になることもあります。
 「黒ラッカセイ(ブラックピーナツ)」はサヤに子実が2~4粒入ります。一般の品種は1粒入りもありますが、ほとんどは2粒入りの双子です。双子の歌手といえばザ・ピーナッツ。1959年のデビュー曲『可愛い花』のB面は『南京豆売り』です。どちらも世界的ヒットのカバー曲です。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 ニンニク 適期に植え付け、追肥と灌水を行う

 中央アジア原産と推定されるヒガンバナ科の多年生草本で、生育適温は15~20度、暑さに弱く、寒さには比較的強い野菜です。栽培は秋に種球を植え付け、初夏に収穫します。
 強い香りの成分は硫化アリルで、体内で豊富に含むビタミンB1と結合すると疲労回復効果があります。
[品種]
 温暖地向きでは「平戸」「嘉定」「上海」など、「ニューホワイト六片」は寒冷地から弱暖地にも向く品種です。
[畑の準備]
 植え付け2週間前までに、1平方m当たり苦土石灰200gを施して土に混ぜておき、1週間前に化成肥料(NPK各成分10%)100gと完熟堆肥を2kg施します。その後、幅70~100cmの畝(ベッド)を作り、穴の間隔が15cm程度の黒マルチフィルムを張ります(図1)。
[植え付け]
 9月上旬ごろに休眠が明けてくるので、種球を小片(鱗片:りんぺん)にばらし(図2)、寒冷地では9月中旬~10月上旬、温暖地では9月下旬~10月中旬に植え付けます。小片頂部を上にマルチ穴(15cm間隔)に深さ5cm程度に浅く植えます(図3)。
[わき芽かき]
 芽出し後に1株から2芽以上出たときは、生育の良い1芽を残して、手で早めにかき取ります(図4)。
[追肥・花蕾摘み]
 成長が再開する翌春2月と3月に1平方m当たり化成肥料50g程度を追肥しますが、マルチ栽培では所々穴を開けておきます。とう立ちしてつぼみが付いたら、球の肥大に影響があるため花蕾を早めに摘み取ります。畑の乾燥に弱いため、特に春先からの灌水が必要です。
[収穫]
 初夏になり、葉が半分くらい枯れたら、晴天日に抜き取って根を切り落とし、畑で2~3日乾かします(図5)。その後、茎を30cmほど残して切り取り、10球程度を束ねて風通しの良い軒先などにつるします(図6)。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆




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