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2022年 9月

私の食育日記  カレーのレシピのなんでだろう

 次回のキャンプで、子どもたちに買い物から全て任せてカレーを作ってもらうことになりました。小学校に入ってからノートにまとめることが習慣になっている息子から、作り方をノートに書いていく中で、どうしてタマネギを先に炒めるの?さっき炒めたのになんで次は煮るの?煮ると水が野菜に入るの?と次々と質問が飛び出し、思わず大学時代の教科書を広げてしまいました。
 カレーを作るときにタマネギをあめ色になるまで炒めるといいます。タマネギはもともと糖度の高い野菜です。しかし辛み成分も含むため、甘いというよりは辛いという印象です。そこで、加熱をすると辛み成分がなくなり、タマネギ本来の甘みが出てきます。また、炒めることがタマネギの水分を減少させ、濃度が増してより甘く感じられます。
 さらに他の野菜や肉も煮る前に炒めて、油でコーティングします。煮崩れを防ぎ、うま味が外に出にくくなる効果があります。中華料理では、炒める前に油通しという低温の油で短時間加熱する調理法がよく使われます。これも油でコーティングして、歯応えや見た目を良くするのが目的です。カレーを作るときも油で炒めてから、水で煮て具材を軟らかくします。
 煮る、ゆでる、蒸すなど、水による加熱をしたとき、肉や魚などは熱により変性して水分が抜けます。ニンジンも水分量が少し減りますが、ジャガイモなどでんぷんの多いものは、水分量は大きく変化しません。ニンジンは水温90度以上で15分ほど、ジャガイモは95度以上で10分ほどで軟らかくなります。
 息子のノートには、調理学の教科書で調べたカレーのレシピが書かれていました。人によってこだわりの違うカレーライス。私は子どもたちが食べやすいよう、水の代わりにトマト缶を使って煮込んでいます。子どもたちのカレーはどんなこだわりが詰め込まれるのか、楽しみです。

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。


野菜もの知り百科 サツマイモ(ヒルガオ科サツマイモ属)

 サツマイモ(スイートポテト)もジャガイモ(ポテト)も救荒作物です。どちらも原産地は中南米で、コロンブスの新大陸発見により欧州、アフリカ、そしてアジアに伝えられました。サツマイモは根が肥大した塊根、ジャガイモは茎が肥大した塊茎です。
 野菜の名前には歴史や逸話があって面白いです。サツマイモは薩摩国から江戸に伝わったから「薩摩芋」。薩摩国には琉球から伝わったから「琉球芋」。琉球には唐から伝わったから「唐芋」。中国では甘い薯だから「甘藷」です。
 沖縄県のサツマイモは、植物防疫法によって、本土に持ち込むことが規制されています。本土には生息していないイモゾウムシのまん延を防止するためです。沖縄県はウリミバエ根絶で開発された技術を基に防除事業を行っています。近い将来、肉色が赤や紫の「紅イモ」が本土でも食べられるようになると思います。
 収穫直後のサツマイモは甘くありません。でんぷんが糖化するのに2~3週間かかります。貯蔵期間が長くなると甘味は強くなりますが、ホクホク感は薄れます。貯蔵適温は13度で、10度以下の低温に長く置くと中が黒く腐敗します。一般家庭では購入後できるだけ早く使い切ることをお勧めします。
 サツマイモはあくが強く、切り口が空気に触れると黒く変色します。きんとんやサラダなど色を美しく料理したいときは、皮を厚めにむき、すぐに水に漬けます。漬け過ぎると水溶性のビタミンCが流失してしまうので短時間にします。
 戦中から戦後にかけて、アルコール製造用の多収の品種が、まさに救荒作物として国民を飢餓から救いました。しかし、アルコール製造用の品種は粘りも甘さも少なく、サツマイモを見るのも嫌だという人が増えました。今は「安納芋」や「べにはるか」などとてもおいしい品種が栽培され、ケーキやアイスクリームにもなっています。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 家庭菜園 ソラマメ マメ科野菜の連作を避ける

 ソラマメはサヤが上向きに付くので空豆、サヤの形が蚕の繭に似ているので蚕豆とも書きます。タンパク質と糖質が主な成分で、代謝を円滑にするビタミンB群や高血圧予防に効果的なカリウム、貧血を予防する鉄分などのミネラルが豊富です。
[品種]
 「陵西一寸」(みかど協和)、「仁徳一寸」(タキイ種苗)、「打越一寸」(サカタのタネ)など。
[畑の準備]
 種まき2週間前に畑1平方m当たり苦土石灰100gを全面に施し、土とよく混ぜておきます。次に、1週間前に畝幅120cmを取り、深さ20cmの溝を掘り、この溝1m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100g(窒素成分で10g)と堆肥1kgを入れ、土とよく混ぜて幅40~50cmの栽培床を作ります(図1)。
[種まきと育苗]
 温暖地では10月中旬~11月上旬が適期で、早まきして年内に生育が進み過ぎないようにすることが大切です。じかまきは、株間40cm程度、種の黒い筋を斜め下に浅く差し込んで種の一部がわずかに見える程度に1カ所2粒をまきます(図2)。発芽がそろったら、1本を残して間引きます。育苗する場合は、ポットに1粒をまき、本葉2枚の頃に畑へ植え付けます。寒い地域では冬の間、寒冷紗のトンネル掛けで、霜よけをすると良いでしょう。
[追肥と土寄せ]
 春先に生育の勢いが良くなり始めたころと開花始めごろに化成肥料を畝1m当たり30g程度(窒素成分で3g)追肥します。追肥後は株元に土寄せをします(図3)。
[支柱立てと整枝]
 早春から生育が盛んになり、10本程度の側枝が出てくるので、太い枝を6、7本残すように細い枝を切り取ります。そして、株の中に土入れし、株の両側にテープを張り、倒伏を防ぎます。
[病害虫の防除]
 春になるとアブラムシが飛来し、新葉に群生します。先端を20cm程度切り取っておくと、倒伏の防止にもなります。
[収穫]
 サヤが重みで下がり、光沢が出て黒い斑点が現れ、背筋が黒く変色するころが収穫適期です。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆




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