お役立ち情報コラム

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2021年7月

家族の健康 脱水症を予防しましょう

 人間の体の60~70%は水分でできています。この水分が不足し体調不良になるのが脱水症です。暑くて汗が出ると体から水分が失われ、十分に補給されないと脱水症になります。特に炎天下での農作業などは、気を付けないと危険です。
 脱水症が起きると、目まいやふらつき、頭痛、吐き気などの症状が現れます。涼しい所で休み、水分を補給します。塩分と糖分を含んだ経口補水液やスポーツドリンクもお薦めです。もしくは、梅干しと麦茶、塩あめと水などを摂取します。自力で水分が飲めないときや、けいれんや意識がもうろうとするなど重症の場合は、医療機関の受診が必要です。
 脱水症は熱中症の引き金にもなります。また、血液中の水分が減ると、ドロドロになって固まりやすくなります。血の塊が脳の血管に詰まると脳梗塞、心臓の血管に詰まると心筋梗塞、肺で詰まると肺塞栓になります。命に関わる場合もありますから、予防が大切です。
 脱水症の予防で大切なのは、もちろん水分補給です。水分と一緒に塩分なども取らないと体内で水分を保持できません。まず、朝ご飯はしっかり食べて、食事からの水分と栄養、塩分も取っておきます。汗をいっぱいかく作業では、途中で小まめに水分や塩分も補給します。
 高齢者は体内に保持できる水分が少なくなるので、炎天下など極度に暑い所だけでなく、室内にいても脱水症は起きるので安心はできません。また、暑い場所に慣れていない人も脱水症になりやすいので、屋外作業の新人や運動部の新入生は要注意です。風通しの悪い倉庫や体育館での作業や運動、炎天下に止めた自動車に乗ったときなども、かなり汗をかきますから、事前に水分を補給しておかないと、いけません。ビールなどアルコールは利尿作用があり排尿量が増え水分を補給はできませんので、大量飲酒は控えて、夕食時や入浴の前後などは麦茶や水などで水分の補給も忘れずに。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 ぬか漬けの栄養素について

 米ぬかは、精米時に取り除かれる部分ですが、脂質やタンパク質、ビタミン・ミネラルなどの栄養素や食物繊維といった成分が含まれています。米ぬかを発酵させて作るぬか床に野菜を漬け込むぬか漬けは、野菜に風味を与えるだけでなく、栄養価のアップも期待できます。
 ぬか漬けと生野菜の栄養素を比較すると、カリウム・カルシウム・マグネシウムなど体の調子に関わる栄養素であるミネラルの他、ビタミンB1、B2、B6といった、糖質や脂質、タンパク質の代謝を高めるビタミンの成分量が増加していることが分かります。
 カリウム:約2.1倍、カルシウム:約1.5倍、マグネシウム:約3.1倍、ビタミンB1:約7.9倍、ビタミンB2:約1.9倍、ビタミンB6:約3.4倍、水溶性食物繊維:約1.9倍(「2015年版〈七訂〉食品標準成分表」より。カブの根と葉、キュウリ、ナス、ダイコンの平均値を算出)。
 さらに、塩漬けといった他の漬物に比べても、ビタミンB1は約4.8倍、ビタミンB2は約1.8倍、ビタミン B6 は約1.9倍というように、ぬか漬けの栄養価は高くなっており、漬物を食べるならぬか漬けが圧倒的にお薦めです。
 ぬか漬け特有の酸味の正体である植物由来の乳酸菌は、生きたまま腸に届いて腸内の環境を改善し、ダイエットや美肌、免疫力アップなどさまざまな効果が期待できるといわれています。ビタミンCや酵素など熱に弱い栄養素の減少を抑えて摂取できるなど、ぬか漬けには長所がたくさんあります。今では、保存袋に入ったぬか床や、野菜に直接塗り込んで使うぬか漬けのもとなどの製品もあり、手軽にぬか漬けに挑戦できるのもうれしいですね。
 ただし、ぬか漬けは、生の状態に比べて食塩相当量が20g当たり平均1g程度多くなってしまうので、食べ過ぎには十分注意しましょう。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  トンボ

 8月上旬には立秋を迎えますが、まだまだ強い日差しと暑さが続きますね。秋のイメージがあるトンボですが、その姿を見られるのは秋に限りません。日本には約200種のトンボがいるといわれていて、好きな場所や姿を現す時期が違います。そして、それぞれが成長するにつれて、すむ場所も変わってくるのです。
 トンボは、生まれたときから飛ぶ姿ではありません。卵からかえるとヤゴと呼ばれる幼虫になります。ヤゴは水の中で暮らします。そして、脱皮を繰り返して羽化すると水中を離れ、成虫になると陸で過ごします。また、成虫の雄は雌と交尾するために、雌は産卵のために水辺に戻ってくるのです。水辺といっても、種類によってその好みが違います。例えば今の季節、流れのないため池や沼などではシオカラトンボや大きなギンヤンマ、岸際や水面に水草の生える場所であれば、細い体のイトトンボの仲間や金属光沢の美しい羽を持ったチョウトンボを見つけることができるかもしれません。水があるだけでなく、暑さや雨をしのいだり休息したりする森や背丈の高い草原などがあることも大事です。
 トンボは肉食で、蚊やハエ、ガ、カゲロウなどを捕まえて食べるので、こうした小さな昆虫が暮らせる環境がなくてはなりません。しかし、そういった場所も時代の変化とともにすっかり減ってしまいました。また外来生物であるアメリカザリガニやブラックバスがヤゴを食べてしまうことも問題になっています。水辺と陸を行き来するトンボは、場所の変化にとても影響を受けやすい生き物です。かつて群れ飛んでいた姿を見ることができたのなら、その周りにたくさんの昆虫たちが暮らせる場所があったということなのです。
 トンボを観察し、その生態を知ると、さまざまな場所が組み合わさった里山のような場所がトンボにとって暮らしやすいことが分かります。この夏、どこかへ出掛けた際は、トンボの姿を探してみてください。

●日本生態系協会

季節の室礼  納涼

 梅雨が明けたら暑い夏! 日本の夏を涼しく過ごす楽しみ方をご紹介します。
 暑くて切り花が長持ちしないこの時期は、こけ玉がお薦めです。簡単に作れますし、ワークショップもよく開かれています。好きな植物を植え込み、お気に入りの器に載せると良いですね。こけ玉にシダ類を植え込んでつり下げる「つりしのぶ」は、涼しげで夏の季語にもなっています。
 「つりしのぶ」にも下げられている風鈴。もともとは魔よけや占いに使われていました。鉄製の南部風鈴、銅製の高岡風鈴、ガラス製の江戸風鈴が有名で、短冊に風を受けて舌と呼ばれる部品で音が鳴る仕組みです。
 各地で行われる花火大会ももともとは川開きのイベントでした。浴衣の手に欠かせないうちわ。昔から竹の産地ではうちわが作られていて、今では伝統工芸品としての価値が高まっています。1本の竹から平たい柄と骨が作られる丸亀うちわ、繊細な絵柄で骨の本数が多いほどぜいたくな京うちわ、1本のしの竹から丸くなじみやすい柄と骨が作られる江戸(房州)うちわが有名です。うちわ立てを使って飾ると涼を呼びます。ちなみに、うちわを折り畳んで作られたのが扇子です。
 蚊取り線香の器はなぜ豚の形? 昔、線香を置いた土管やとっくりの形が豚に似ていたため作られるようになった、という説があるそうです。
 土用の丑の日にいただくウナギ。絶滅危惧種に指定されているニホンウナギは『万葉集』にも詠まれています。ウナギに限らず「う」の付くうどん・梅干し・ウリ科の食べ物で暑気払いをします。今は夏の土用だけが定着していますが、本来土用は立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間を指します。夏の土用は7月20日ころ~8月7日ころ。暑中見舞いを出せるのはこの間です。夏の土用が明けたらもう立秋。立秋以降は「残暑見舞い」を出します。

和文化講師●滝井ひかる


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