お役立ち情報コラム

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2021年9月

家族の健康 睡眠時無呼吸症候群

 睡眠時間を確保しても昼間に眠くなる、こんな悩みはありませんか?
 同室で寝る家族から「寝ている間に呼吸が何秒か止まっている」とか「いびきが時々止まる」。こんな指摘があるなら、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
 睡眠中に10秒以上の無呼吸が一晩30回以上、もしくは1時間当たり5回以上ある場合は睡眠時無呼吸症候群です。太った男性に多いですが、下顎が小さい人などは、睡眠時無呼吸症候群があり得ます。
 睡眠中に呼吸が停止して、目覚めて睡眠が中断されることもあります。浅い睡眠を繰り返すため、質の良い睡眠が取れません。
 そのため昼間に眠気が出やすく、農作業の途中でも休みたくなり、作業の途中で集中力が途切れたり、車やトラクターの運転中でもウトウトしたり、危険もあります。無呼吸や低呼吸を繰り返す低酸素状態はいろいろな病気の原因にもなり、最悪の場合は突然死の原因にもなるので侮れません。
 原因は、睡眠中に喉(上気道)が狭くなることです。原因としては、肥満で喉の周囲が脂肪で圧迫されることと、下顎が小さく喉の断面積が小さいことがあります。
 肥満の人は減量が大切です。食事の見直しと運動する習慣を継続し、肥満の解消を目指しましょう。大量の飲酒をした夜に呼吸が止まりやすい人は、飲酒も控えめに。
 睡眠時無呼吸症候群の治療法としては、装着した鼻マスクから呼吸に合わせて空気圧を送るCPAPという装置がよく用いられます。また、マウスピースを使用して下顎を前方にずらすことで、喉を広げる方法もあります。睡眠時無呼吸症候群の心配がある人は「睡眠外来」のある医療機関、もしくは耳鼻咽喉科か呼吸器内科を受診して相談してみましょう。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 ご飯と満腹感

 健康的な食事のキーワードの一つ「満腹感」。早食いで食事時間が短く満腹感を上手に感じられずに食べ過ぎたり、逆におなかがすいてストレスにつながったりすることも。腹八分目に抑えることも大切ですが、いかに適正なカロリーと栄養素を摂取して満足感が得られるかが重要であるといえます。お薦めなのがご飯をそろえた食事です。
■満腹感が得られる食事とは
・そしゃくと食事時間
 満腹状態を脳に知らせるシグナルは、食べ始めてから15~20分程度たってから届くといわれています。時間をかけて食事できるよう、切り方や調理法も工夫すると良いでしょう。ご飯はよくかむと甘味が出てくるため、味の変化もそしゃく回数の指標にできます。
・視覚で満足
 単品料理よりも、品数が多く色合いもカラフルな食卓は、見た目にも満足感があり、満腹感にもつながりやすいといわれています。ご飯には相性の良いおかずが多い上、食塩も含んでいないため、健康を意識した献立を組み立てやすくなります。
・栄養バランスの取れた食事
 食物繊維を含む食べ物は、よくそしゃくできるとともに、水分を含んで胃腸の中で膨張します。また、消化に時間がかかる高タンパク質の食べ物は腹持ちが良いといわれています。他にも糖質・脂質・ビタミン・ミネラルなど、体が必要とする栄養素をそろえることで充足され、満足感を得やすいと考えられます。
・程よい水分を
 満腹感を得るためには程よい水分が必要ですが、食事中の飲み物の大量摂取は消化にも影響を及ぼしてしまいます。ご飯には水分が多く含まれており、食事中の水分摂取に役立ちます。
 このようにご飯を中心とした栄養バランスの良い食事は満腹感を得やすいといえます。特に、そしゃく回数が多く血糖値の上昇が緩やかな玄米は腹持ちが良いとされています。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  炭作り

 キャンプやバーベキュー、あるいは焼き鳥屋でも、おいしく焼ける炭火は根強い人気がありますね。多くの人が引かれるのは、ただ燃料ということ以上の魅力があるからかもしれません。しかし、石油やガスが普及するまで、家庭の燃料の主役は里山で取れるまきや炭、都市部には各地から列車で大量のまきや炭が集められていました。
 まきは、樹木をそのまま切り出し燃料としますが、炭はじっくり時間をかけて蒸し焼きにしたものです。ただ、木材を燃やしても一時的には炭になりますが、短時間で灰になってしまいます。炭は、まきと違って炎や煙が出にくく、火力も安定し、燃焼時間も長い優れものなのです。炭焼きの作業には、たくさんの労力と時間がかけられていました。
 里山では、炭やまきに利用する木材を繰り返し得るために、萌芽更新を行っていました。これは、区画ごとに一定の周期で樹齢を重ねた樹木を伐採し、根株から休眠していた芽を生育させ、森林を若返らせる方法です。地表にも光が届くようになり、周囲に眠っていた多様な草花の種子も目覚めることになります。落ち葉かきも行われていた里山では、光の具合や温度も異なる環境がつくり出されました。例えば里山に生息し、春の女神と呼ばれるギフチョウは、カンアオイという植物に産卵しますが、幼虫はこれのみを食草とします。カンアオイは樹木が大きく成長して、林床が暗くなると育ちません。ササやシダが茂るようになっても駆逐されてしまいます。里山が作り出したとても微妙なバランスの環境で生きているのです。
 長い年月、人々が利用することで維持されてきた多くの里山の生態系は、燃料の大転換によって、放棄されたり開発で消えてしまいました。たくさんの生き物が暮らす場所として、また、先人の知恵や文化を知る場所として、人の手で維持していくことは、生活のための燃料を取ることと同じくらい大切なことではないでしょうか。

●日本生態系協会

季節の室礼  お月見

 少しずつ秋めいて澄んだ夜空になってきました。旧暦8月15日は十五夜。その年の暦によってはお月見が早かったり遅かったりします。
 ところで「中秋の名月」と「仲秋の名月」。いったいどちらが正しいのでしょう?
 旧暦では7月が初秋、8月が仲秋、9月が晩秋とされています。8月の名月なので「仲秋の名月」。さらに十五夜は月の真ん中に当たるので「中秋の名月」。実はどちらも正しいのです。
 十五夜は別名「芋名月」。収穫の時期にちなんでサトイモを盛ったり、皮付きのままゆでて衣をかぶったように見える「きぬかつぎ」をいただいたりします。
 秋の七草の一つ「ススキ」は、月の神へのよりしろとして、稲穂の代わりに供えます。お正月の門松のような役割ですね。
 あまり知られていませんが、旧暦の9月13日も十三夜といってお月見をします。こちらは「豆名月・栗名月」。アジア各地で「中秋節」としてお月見をしますが、「十三夜」をするのは日本だけ。少し欠けた月もめでるのは日本人らしい風習ですね。十五夜を見て十三夜を見ないのは「片月見・片見月」といって縁起が悪いとされています。
 三方のお団子やススキの数は、それぞれ15か13(または5か3)用意して、ぜひ2回お月見をしましょう。2021年の十五夜は9月21日。十三夜は10月18日です。

和文化講師●滝井ひかる


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