お役立ち情報コラム

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2021年11月

家族の健康 喉のバリアを高める

 空気が乾燥する季節です。エアコンの効いた室内のみならず、屋外の農作業などでも、喉が乾燥します。喉が乾燥すると、風邪やインフルエンザにもかかりやすいので侮れません。
 喉の粘膜には短い毛(繊毛=せんもう)があり、侵入したウイルスや細菌を除去しています。
 この繊毛は、適度な温度と湿度のときに働きが活発になります。つまり風邪などの感染を防ぐためには、喉の乾燥対策が大切なのです。あめや炭酸タブレットをなめたりガムをかんだりして唾液の分泌を促したり、小まめな水分補給で喉を潤しましょう。耳の下にある耳下腺や顎にある舌下腺と顎下腺を軽くマッサージすることで、唾液の分泌が増えるので、農作業の合間にお勧めです。
 最近の研究で、お茶に含まれるカテキンがインフルエンザウイルス感染を抑制することが分かってきました。小まめにお茶を飲んだり、帰宅したらお茶でうがいをすることで、インフルエンザウイルスに感染する確率を減らせます。カテキンが新型コロナウイルス感染症の予防に効果的かは不明ですが、インフルエンザも怖いこれからの季節に、お茶を活用するのは賢明です。
 もちろん、喉の乾燥対策には室内の加湿やマスクの着用も欠かせません。無意識に口を開けて口呼吸をしていると、口腔内が乾燥しやすく風邪やインフルエンザの感染リスクも高まります。特にマスクを着用していると、口を開けて呼吸していることが多いので、心掛けて口を閉じて、鼻呼吸をしましょう。
 感染予防には、喉の乾燥を防ぐ他に、栄養をしっかり取って、十分な睡眠も確保し、体調を整えておくことが大切です。風邪やインフルエンザなどの感染症が増える季節、生活の中でできる予防策は行っておきたいですね。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 日本酒とお米の関係

 日本酒は、お米を米こうじと酵母の力を借りて発酵させ、アルコールに変化させて造られます。日本酒のルーツは、稲作が伝わった頃までさかのぼるといわれ、お米で造られる日本酒は古くから日本の食文化でも欠かせない存在とされてきました。お米だけで造った「純米酒」、お米と少量の醸造アルコールを用いて造る「吟醸酒」や「本醸造酒」など、風味やこくなどにも違いがあります。
 酒造りには、「酒米(酒造好適米)」と呼ばれる、酒造りに適した専用のうるち米が多く使われ、品種によって香りや切れなどにも違いが出るといわれます。酒米には、柔らかくてこうじ菌を増やしやすい、発酵時に米粒の中心まで溶けやすい、「心白(米の中心部にある不透明部分)」が大きい、精米時に砕けにくい、雑味の原因となるタンパク質が少なくアルコール発酵が順調に進みやすい、吸水性や保湿性が高い、といった醸造適性が求められます。
 ご飯として食べられている食用のうるち米と比べて大粒ですが、米粒の外側ほどタンパク質や脂質が多く含まれているため、余分な成分が入らないように、玄米の3割から7割近くを削り取って酒造りに使われます。食用米の精米歩合は平均90%前後ですが、「清酒の製法品質表示基準」において、大吟醸なら50%以下、吟醸酒では60%以下、本醸造酒は70%以下、といったように精米歩合が定められています。
 日本には、日本酒以外にもお米を原料とする酒があります。米こうじに酵母と蒸し米を加えて発酵させ、蒸留させて造る「米焼酎」や、米こうじと水を軟らかく炊いたうるち米に加えて、お米のでんぷんをブドウ糖に変化させて造るアルコールの発生しない「甘酒」などがあり、お米の味を感じられるお酒が多いのは、お米の国ならではといえますね。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  落葉

 落葉の季節になりました。山や公園、寺社の森を見渡すと緑色の葉を残す樹木も見られます。常緑樹と呼ばれる木々です。長期間にわたって少しずつ落葉しています。秋に紅葉して気温が下がる冬に葉を落とすのは落葉樹です。
 森を歩くと、落葉や枯れ枝が積み重なって柔らかく、その下にはそれらが分解され土と混じり合った腐葉土があるのが分かります。落葉は雨が直接当たって土が流れ出すのを防ぐ、カバーの役割をしています。またジネズミなど小型の哺乳動物が暮らしていくための隠れ場所にもなっています。
 地面に落ちた葉は、ダンゴムシやワラジムシ、ヤスデといった土壌生物が食べ、消化器官を通して細かく砕き排出します。そのふんや食べ残しをもっと小さなダニなどが食べ、さらに菌類や微生物が分解して無機物に変化し、それを吸収して植物が成長します。樹木から落ちた葉は、このように物資として循環しているのです。また、ミミズは腐葉土を食べてボール状のふんを出すのですが、その隙間に空気が入るので植物の根は呼吸しやすくなります。里山では、落葉かきをして人工的に露天に堆積、腐熟させ、畑の堆肥として利用してきました。
 さらに落葉は、皆さんが食べる海の魚にも関係しています。落葉が微生物によって分解されるとフルボ酸ができますが、これが腐植土の中の鉄と結合してフルボ酸鉄になります。そして川を通して海に流れ出て、植物プランクトンや海藻が窒素やリンを吸収するために必要な鉄分を供給し、海を豊かにします。漁業者が山の落葉広葉樹の植樹に取り組んでいるのもそのためです。私たちがおいしく食べている海の幸にも大きく関係しています。樹木から落ちた葉はそこで役目を終えたわけではなく、形を変えながら、他の生き物や私たち人間の体までたどり着くことさえあるのです。

●日本生態系協会

季節の室礼  冬至

 毎年12月22日前後は冬至。1年のうちで最も昼が短く夜が長い日です。冬至からだんだん日が長くなるので「一陽来復」といって、新しい年の節目と考えられてきました。
 冬至にカボチャ(南瓜・南京)をいただくと、風邪をひかないといわれています。保存が利くカボチャは、昔から冬の重要なビタミン源でした。魔よけの意味を持つ赤い小豆がゆをいただく風習もあります。カボチャと小豆を「めいめい、おいおい」一緒に炊いた「いとこ煮」も冬至の行事食です。
 ゆず湯は、こどもの日のしょうぶ湯と同じく香り高い湯につかり、季節の変わり目に邪気をはらう風習です。
 小さい子どものいる家庭では、この時期クリスマスツリーやアドベントカレンダーを飾ることが多いと思います。25日を過ぎると街は一晩でお正月のディスプレーに切り替わります。お正月飾りは28日までに、または30日に飾りましょう。29日に飾るのは「苦飾り」といって縁起が悪いとされています。31日に慌てて飾るのも「一夜飾り」といって神様に失礼です。
 今年の冬至は12月21日を前に、形の良いカボチャとユズを飾りましょう。クリスマスが終わり、モダンなしめ飾りのリースと来年の干支を飾れば、もうすぐお正月です。

和文化講師●滝井ひかる


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