お役立ち情報コラム

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2021年12月

家族の健康 寒い季節の農作業で注意したい脳出血

 寒さが誘引する病気の一つに脳出血があります。動脈硬化や加齢で傷んだ脳の血管に急に大きな圧力がかかると、脳の血管が破れて脳出血になります。
 脳出血は、ほとんど前兆がなく発症し死に至ることもあります。命が助かっても後遺障害が一生残る場合も多いのです。手足が自由に動かせなくなるまひ、言葉や視界の障害、記憶力や集中力の低下などさまざまな障害が残る可能性があります。場合によっては介護が必要になることもあります。
 前日より気温が一気に下がった朝や温度差が大きい日に血圧は上がりがちです。血圧が高いのに、生活改善や必要な治療を行わず放置していると、脳出血を起こしやすくなりとても危険です。
 日頃から塩分の取り過ぎ、多過ぎる飲酒量、喫煙、ストレスなどの生活習慣は、高血圧につながります。思い当たる人は、高血圧予防のために生活習慣の見直しも大切です。
 コロナ禍で「医療機関には新型コロナウイルス感染者がいて恐いから、行かない方が良い」と、定期的な通院を中止し、病気の治療が中断したままの人もいます。脳出血の予防には、まず、高血圧の人は適切な治療が必要です。今まで控えていた人も、通院を再開しましょう。血圧がやや高めになってきた人も、食生活や運動、睡眠など生活を見直してみてください。
 農作業はトラクターで生活は自家用車、そんな運動不足の人はウオーキングなどの運動を継続しましょう。食生活は栄養バランスを考え、塩分控えめにして薄味に慣れましょう。冬になって寒い日に農作業をするときは、時間をかけて寒さに慣れてから作業を始めます。急に寒い場所に出たり、グッと腕に力を入れると血圧が上がります。毎日血圧を測定し、高い日や気分が悪い日は農作業を休む勇気も大事です。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 風邪のときにはおかゆがお薦め

 風邪の症状は人それぞれですが、風邪のときにお薦めなのが定番のおかゆです。おかゆにどんなパワーがあるのか見てみましょう。
・消化吸収しやすい
 最大の長所は消化しやすくエネルギー源になること。回復に必要なエネルギーを胃腸の負担も少なく吸収できます。
・飲み込みやすく、水分が取れる
 風邪症状が喉の痛みに現れた場合、食欲はあっても飲み込むのがつらいことで食事が取れなくなってしまいます。おかゆは程よい粘度があり軟らかいため、喉の通りが比較的スムーズで飲み込みやすい形状となっています。水を飲むのもつらいときでも、おかゆが食べられるなら、水分摂取ができます。
・エネルギー源、タンパク源になる
 お米の栄養素は主に炭水化物ですが、お米にもタンパク質が含まれています。食べられそうなら、食材をいろいろ混ぜておかゆだけでは不足しがちな栄養素を付加して、少しでも栄養バランスを整えることができます。卵をプラスするとさらに体内で効率的にタンパク質を合成することができます。
・食事時間を短縮できる
 軟らかいため食べやすく、食事時間を短縮することで頭痛や倦怠感のある風邪のときの体力的な負担を和らげます。
・回復に合わせて徐々にご飯に戻すことができる
 水分量や加熱時間によって硬さが調節できるので、症状に合わせて食べやすく作ることができます。回復するにつれて徐々に普通のご飯に近づけていき、胃腸の働きも無理なく元に戻すことができます。
・炊飯器で作れて調理が簡単
 体調が悪いときには、できるだけ簡単に調理したいですし、長時間立っているのもつらいものです。おかゆなら炊飯器にお米と分量の水を加えてスイッチオンするだけなので手軽な上、出来上がるまで休息することが可能です。火を使わないので、安全に調理ができて安心です。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  わらとしめ縄

 正月になると、門松と共に玄関や軒先に飾られるしめ縄やしめ飾りを目にしますね。漢字では「注連縄」と書きます。初詣で訪れる神社や観光地で目にする奇岩や巨木などにも大きなしめ縄が張られているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。神社神道では一般的に、しめ縄は神域と現世を隔てる境界・結界としての役割があり、しめ縄で囲まれた場所や物は神域とされ、神が宿っていることを意味します。また、不浄なものが入らないよう、魔よけの役割もあるとされています。今では新年を迎える縁起物としてのしめ飾りが一般的なようです。
 かつて農村では、農閑期は家の中での手仕事がはかどる時期でもあったので、収穫で刈り取った稲を乾燥させた「わら」を使い、さまざまな日用品を作っていました。食べられない部分も無駄にせず利用する、まさに循環型社会だったのですね。米や炭の俵、鍋敷き、草履、笠や蓑、馬人形のようなおもちゃも作られました。滋賀県のある地方では、いすの形にした「わらいす」というものもあったそうです。かつては、収穫時期に大量のわらが発生していましたが、コンバインの導入などにより、わらの流通はかなり少なくなりました。今では、わら自体をしめ縄でしか見ることがなくなった人も多いのではないでしょうか。
 近年では、農薬に頼らない米作りや生き物の生息地としての農地も注目されるようになりました。豊岡市のコウノトリや佐渡市のトキといった大型水鳥が餌とする、小魚や昆虫の暮らす環境で育まれたお米は、そのおいしさだけでなく、安心・安全で生物多様性の豊かさに寄与するという付加価値もあり、今やブランド米として定着した感があります。そのような里山での体験活動は人気のようで、農業体験と共に地域ごとのしめ縄作りのワークショップも開催されています。まずは、わらを編むところから挑戦してみるのはいかがでしょうか。

●日本生態系協会

季節の室礼  お正月

 新しい一年のスタートです。
 気温が低いので場所によっては長く切り花を楽しめるこの季節。正月花は豪華でいつもよりちょっと値の張るもの。新年は華やかに大きく飾り、松の内が明けたら小分けに生け直して、2度3度と楽しみましょう。
 柳は寒中先駆けて芽吹くので「お芽出たい」木とされています。強くしなやかで折れにくいことから、祝い箸にも使われますよね。家内喜と書かれることも。縁を結ぶ結び柳にして飾るといいでしょう。
 菊は丈夫で長持ちのする花材ですが、茎を切らずに手折るとよく水が上がります。
 松も常緑で水を替えれば春先まで持ちます。
 ちなみに喪中でも生けていいのがオモト(万年青)。一年を通して青々と緑を保ち続けることから縁起が良いとされています。徳川家康が江戸城に入城した際に運ばれたので、引っ越しのときに最初に運び込むと安泰が続くといわれています。
 小さく生けるのに便利なのが、100円ショップなどで売っているプラスチック製の「升」。ミニ剣山かフラワーアレンジメント用の吸水スポンジを置いて水を入れます。木の升も風情がありますが、水漏れが心配なら、中に別の水入れを置くといいでしょう。
 升の周りに水引を結ぶと雰囲気が出ます。お正月以外の行事でも升を再利用してくださいね。

和文化講師●滝井ひかる


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