お役立ち情報コラム

生活に役立つ情報や営農情報をお届けします

2022年1月

家族の健康 冬は深刻、夜間頻尿の悩み

 寒い夜中に布団から出てトイレに行くのは避けたいことですが、40歳以上の男女約4500万人が、夜間に1回以上排尿のために起きる「夜間頻尿」の症状があります。夜間頻尿は、加齢とともに頻度が高くなり、夜間に起きたときに転倒し骨折するなどの危険があります。また、夜間の睡眠が中断され昼間の自動車やトラクターの運転中にも眠くなれば事故の原因です。農作業で体が疲れているのに夜間の排尿のために熟睡ができず、疲れがたまります。疲労の蓄積は腰痛、高血圧、心臓疾患などの発症や増悪、うつ病などのメンタル疾患の引き金になる可能性さえあります。
 夜間頻尿の原因は、夜間の尿量が多い(糖尿病や夜の多過ぎる水分摂取など)、膀胱の容量が減少(前立腺肥大症や過活動膀胱など)、睡眠の障害(眠りが浅く軽い尿意でもトイレに行く)が挙げられます。原因がはっきりしないときは、泌尿器科を受診して検査を受けることをお勧めします。
 対策としては、思い当たる病気や睡眠の障害を治すことが大切です。また、昼間の農作業中などは頻回に排尿しないのに、夜間だけトイレに行きたくなるのは、夜の水分摂取が多いか、飲酒が原因かもしれません。アルコールの利尿作用で尿量が増えることもあり、夕食に塩分が多過ぎると水分も多く取ることになり夜間頻尿の原因になります。水分摂取は脳梗塞予防などで必要ですが、多過ぎると夜間頻尿になります。さらに、冬は冷えによる排尿回数の増加もあり得ます。
 夜間頻尿に悩む人は、自分の健康状態を再確認することと、食事と飲酒と摂取する水分の見直し、寝間着や住居の寒さ対策をもう一度、考えてみてはいかがでしょうか? 就寝中にトイレに起きることなく、朝までぐっすり眠り、翌朝は疲れが取れて気持ち良く目覚めたいですね。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 みその種類と特徴

 みそ汁や煮物、あえ物、炒め物など、たくさんの料理に利用できるオールマイティーな調味料であるみその主な原料は、麹と蒸した大豆と塩。土地ごとの気候や水質に加え、利用される微生物も異なる上、麹の種類や大豆の産地、またその割合や条件によっても、味わいや色などが大きく変わります。そのため、全国のみそには実にさまざまな種類があり、それぞれの地域の郷土料理にも欠かせません。
 みそは、麹の種類によって大きく3種類に分けられます。また、塩分が高いほど塩辛く、麹の割合が大きいほど甘くなります。
●米みそ:蒸したお米に麹菌を植え付けた米麹と、蒸した大豆をすりつぶした物に塩を加えて合わせ、発酵させて造ります。一般的に「みそ」といえば日本で最も多く生産されている米みそのことを指すことが多く、全体の約8割を占めるともいわれます。
●麦みそ:麦麹を原料とした、主に中国・四国・九州地方で造られる甘口のみそです。麦独特の香ばしさや甘味があり、「田舎みそ」とも呼ばれています。
●豆みそ:原料の大豆に直接種麹を植え付けて長期間熟成させて造るため、大豆本来の風味が特徴的です。主に東海地方で造られており、赤褐色で辛口の八丁みそなどが有名です。加熱による香りの変化が少ないので煮込み料理に向いています。
 みその色は、発酵・熟成の間に起こる成分の反応などにより、白っぽい茶色から赤みがかった茶色へと変化していくため、一般的には、熟成期間の長いみそほど赤みを帯びた濃い色になります。白みそも常温に置いておくとやがて濃い茶色になっていきます。
 異なる2種類以上のみそや複数の麹を混合して造る混合みそなどもあります。なじみのみその他に、料理に合わせてお好みのみそを探してみてはいかがでしょうか。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  モズ

 一年で一番寒さが厳しくなるこの時期は、暦の上では立春を迎えます。とはいえ、芽吹きはまだ先のこと、落葉した木立に止まる野鳥たちの姿がよく見える季節です。この時期から繁殖のため求愛行動をする鳥にモズがいます。
 モズはスズメよりも少し大きいサイズで、タカのような鈎形のくちばしを持っています。木々がまばらな林や河畔林、全国の里山で観察できます。漢字では「百舌」と書くように、他のさまざまな鳥の鳴き声をまねます。昆虫やカナヘビなどの爬虫類、小型の鳥類を食べる肉食です。
 さて、モズといえば「はやにえ」という言葉がよく知られています。捕らえた獲物を木の枝や垣根などに突き刺しておく習性のことです。実は、その目的ははっきりとは解明されていませんでした。餌が少なくなる冬場に向けて蓄える、縄張りの目印、雄が雌へ狩りの上手さをアピールするなどなど、さまざまな説がありましたが、近年の研究で面白いことが分かりました。
 それによると、はやにえの消費量は1月が最も多くなりました。つまり冬場の貯食のためということになるのですが、これでは、さらに寒い2月に消費量のピークが来ないのが不思議です。実験を進めると、2月から始まる繁殖期に向けて、はやにえを消費していることが分かりました。直前に多くの栄養を取ることで、より早口で鳴くことができるのです。早口は、モズにとってとても魅力的なことです。はやにえを食べられない雄は早口で鳴けず、相手を見つけることができませんでした。つまり冬場の保存食としてだけでなく、歌声の魅力を高めるための栄養食にもなっていたのです。
 はやにえがあるということは、餌となる昆虫などの多い豊かな生態系がある場所ということ。彼らの恋を成就させるためにも、多くの生き物が暮らす里山を残したいですね。

●日本生態系協会

季節の室礼  節分

 知っていますか? 本来は立春、立夏、立秋、立冬の前日は、全て季節の分かれ目である「節分」です。立春を1年の始めとする考えから、春の節分に悪い気をはらい無病息災を願うようになりました。
 鬼は病や災いの象徴。悪い方角の鬼門(丑寅=うしとら)にいるとされているため、牛の角とトラの牙を持つキャラクターで描かれています。とら柄のパンツをはいているのもそのイメージからでしょう。
 「魔」を「滅」するために「豆」まきをします。鬼は日没後現れるので、豆まきは夜にしましょう。鬼を「射る」と掛けて「炒った」豆を、部屋の奥や上の階からまき、最後は玄関で外に向かってまき鬼を追い出します。まき終わったら、「年取り豆」といって年齢プラス1個の豆をいただきます。
 鬼の苦手な物はトゲトゲしたヒイラギの葉、イワシの臭い、豆殻の音、サンショウの当たり棒(すりこ木)。ヒイラギの枝に焼いたイワシの頭を刺した「焼いかがし」と豆殻の束を戸口に供えると、鬼が入ってこないといわれています。
 木や塗り物の升に豆を入れて、ヒイラギやカタクチイワシ、当たり棒や鬼のお面で室礼飾りを楽しみましょう。翌日の立春になったら、鬼のお面をおたふくのお面に、ヒイラギ「柊」をツバキ「椿」にチェンジ。「鬼は外、福は内」で冬から春になります。

和文化講師●滝井ひかる


上へジャンプ