お役立ち情報コラム

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2022年2月

家族の健康 動悸と不整脈

 動悸は、不快感を伴う異常な心臓の鼓動で自覚症状としても多く見られます。本来は規則的な心臓の拍動が急に増えたとき、もしくは心臓から拍出される血液が多く押し出されたときに感じることがあります。不整脈のときに感じることが多いのですが、他にも狭心症や心筋梗塞、心不全、貧血、甲状腺疾患、更年期障害、精神的な緊張やストレスなどでも動悸が出現することがあります。
 「動悸は何科に行けば良いですか?」という質問を多くいただきます。一番考えられるのは心臓の疾患なので、まずは循環器内科の受診を考えます。女性で更年期障害の症状があるなら、婦人科の受診でも良いでしょう。健康診断などで貧血を指摘されていたり、甲状腺疾患になったことがある人や甲状腺の腫れを指摘されていたりするなら、まずかかりつけ医など身近な内科を受診してください。
 動悸のために受診すると、心電図検査と医師による胸部聴診(聴診器で胸の音を聴く)で、普段の心臓の様子を調べます。必要に応じてホルター心電図と呼ばれる24時間の心電図検査などが行われます。それらの結果によって、さらに詳しい検査や治療に進むか、しばらく様子を見るかが決まります。
 動悸の一番多い原因である不整脈は、心臓を規則正しく動かすための電気の発生やその電気の流れの異常により、心臓の収縮が不規則になり、脈が乱れるために起こります。不整脈では、動悸の他に胸部痛や目まい、立ちくらみ、息切れ、疲労感などが出現することもあります。動悸を感じ、さらに、農作業で立ち上がるときに激しい目まいや立ちくらみ、転倒や失神などがあれば、循環器内科を受診して検査を受けることが望まれます。受診時には、農作業時に気を付けるべきことなども医師に聞いておくと良いでしょう。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米で健康 非常時にご飯を炊く方法

 ガスや電気、水道が使えなくなってしまう非常時に備えて、カセットコンロを準備している家庭も多くなりました。非常時には、ご飯を鍋で炊く方法の中でも、節水を意識した、ポリ袋を使った湯煎での炊飯方法がお勧めです。
(1)用意する物
 無洗米(1人当たり100ml)、水(米の用量の1.2倍。1人分120ml)、耐熱性のポリ袋(耐熱温度110度程度の高密度ポリエチレン製)を準備します。厚手で「湯煎調理可」と記されたポリ袋を選び、薄過ぎる物は避けましょう。節水のため米は無洗米がお勧めです。洗った米を使用する場合は、水気を切り、加える水を10mlほど減らします。
(2)下準備
 米と水をポリ袋に入れて、空気をできるだけ押し出すようにして袋の上部を結んで閉じます。このまま30分以上吸水させておきます。
(3)湯を沸かす
 鍋底に一回り小さめのお皿を入れて、湯を沸かします。小皿の下にキッチンペーパーなどを敷いておくと、沸騰時に安定しやすくなります。
(4)加熱する
 袋を鍋に入れ、沸騰状態で15分加熱します。加熱するときは袋が破れてしまわないように、袋が鍋肌に当たらないように気を付けましょう。
(5)蒸らす
 火を消してから、ふたをして15分蒸らし、袋を湯の中から引き上げます。袋の中でご飯をほぐし、蒸気を飛ばして出来上がりです。袋ごとお皿に盛れば、洗い物も減らすことができます。
 1枚のポリ袋には1~2人分が適量です。量を多くする場合は、袋を分け、加熱・蒸らし時間を調節しましょう。
 湯煎調理のメリットは、別のポリ袋で複数の調理が同時にできるということ。おかずも同時に作れてしまうため、燃料の節約にもなります。普段からポリ袋での炊飯にチャレンジしてみましょう。

管理栄養士・フードスタイリスト 大槻万寿美

里山を歩けば  別れの季節

 冬になるとさまざまな渡り鳥がやって来ます。鳥の生態を知らないと「なぜこんな寒い時期にやって来るのだろう」と思いますが、鳥たちはもっと寒さが厳しいシベリアや中国大陸から寒さが穏やかな日本へとやって来るのです。皆さんが川や池で目にするカモやハクチョウの他に、ジョウビタキ、アトリ、カシラダカといった小鳥たちも冬越しに渡ってきます。無事冬を越した鳥たちは春になると北の繁殖地に戻って子育てをします。
 ツグミもそうした冬鳥の代表です。歌や人にも使われる名前なので、よく知られているのではないでしょうか。日本に着くと群れではなく、それぞれに田畑や平地の雑木林に散らばって生息します。渡ってきたばかりの頃は木の実を食べていることが多いのですが、次第に地面に下りるようになり、枯れ葉の下にいるミミズや昆虫などを食べます。枯れ葉に紛れそうな茶色に黒のまだらの羽をしたツグミは、枯れ草の上をちょこちょこっと歩いては胸をピンと反らせて立ちます。冬の間は「ククッ、ククッ」などと鳴きます。
 ところで鳥には「さえずり」と「地鳴き」という異なる鳴き方があります。地鳴きは雄雌共に一年中使われて、短く単純な声といわれています。一方、さえずりは繁殖期に雄が雌を求めるため、あるいは縄張りを宣言するためのもので、長く複雑な声が多いといわれています。日本では繁殖することがない冬鳥ですが、春になり、北帰行が近くなるとさえずりを聞けることがあります。冬の間は草の陰や林の中にいた鳥たちもこずえに止まり、朗らかにさえずります。その姿は待ち望んだ春の訪れをたたえるかのようです。
 冬鳥たちが生まれ故郷に帰り、ひなを育て、秋には再びやって来るように、里山を残しておきたいものです。冬鳥との別れを惜しむ間もなく、ツバメやキビタキがやって来るのも、もうすぐです。

●日本生態系協会

季節の室礼  上巳の節句

 「今日は楽しいひなまつり♪」というサトウハチロー氏の歌詞には、4番まであるのを知っていますか?
 3月3日は五節句の一つで「上巳の節句」。旧暦の季節柄「桃の節句」とも呼ばれます。
 梅や桜と違って真っすぐな枝ぶりに、かわいらしいピンクのつぼみの桃。女の子がすくすくと素直に育つよう願いが込められています。桃のつぼみは落ちやすいので、生けるときには大切に扱ってくださいね。
 行事食は、華やかな着物のようなちらしずしとハマグリのお吸い物。ハマグリの内側に、1組ずつ『源氏物語』のシーンなどが描かれた「貝合わせ」というみやびな遊び道具があります。
 トランプの「神経衰弱」のような絵合わせ遊びです。貝合わせに使われるハマグリは「和合」の象徴。二枚貝のハマグリは、どんなに似ていても他の上下とはぴったり合わないことから、愛する人と添い遂げるパートナーシップを表しています。
 絵心がある方はぜひ、料理に使ったハマグリでオリジナルの貝合わせを作ってみては? もっと簡単な貝飾りもできます。ハマグリを切り離し、外側を100円ショップのシール付き和布でそれぞれ覆い、木工用ボンドで上下を合わせます。白酒をイメージして、おちょうしに桃を生けて添えるのもいいですね。

和文化講師●滝井ひかる


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