お役立ち情報コラム

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2022年7月

家族の健康 夏に増える痛風発作

 「農作業の後の冷たいビールが最高」という人も多いでしょう。さらに「仕事の後の酒が楽しみだから夕方は水分摂取はしない」という人もいそうです。しかし、特に夏は痛風発作を起こしやすいので要注意です。
 痛風は、足の親指などの関節が痛み「風が当たっても痛い」ほどの激痛が病名の由来です。
 痛風の原因になりやすいのは血液中の尿酸が多過ぎる高尿酸血症です。高尿酸血症は、尿酸が多く作られる場合と、腎臓からの尿酸の排せつが不十分なときに起こります。
 尿酸値は、人間ドックや健康診断などの血液検査で調べている場合が多いので、尿酸値が高いかどうかも確認しておきましょう。高尿酸血症の原因は、一般的に生活習慣の乱れが関わりがちです。多量の飲酒、特にビールの飲み過ぎは高尿酸血症の原因になります。ビールなら大瓶1本まで、日本酒でも1合まででやめておくことをお勧めします。
 また、肉類や魚など動物性食品を好み過食であり、肥満であることも高尿酸血症を起こしやすくなります。特にプリン体を多く含むビールをはじめとするアルコール、レバーなど動物の内臓、魚の干物、カツオやイワシなどは食べ過ぎず、肥満者は減量をしましょう。もちろん状況や高尿酸血症の程度によっては、内服薬での治療も必要になります。
 また、夏の農作業やスポーツなどで汗をかいて脱水状態になると、高尿酸血症が起こりがちです。健診時の尿酸値は正常範囲内であっても、脱水で一時的に高尿酸血症になると痛風発作を起こすことがあります。
 日頃から尿酸値を上昇させるような食生活は改め、飲酒は控えめに、汗をかくときは小まめに十分な水分摂取を行い、痛風発作を予防したいものです。ただし腎臓疾患や心臓疾患などで、水分摂取を制限されている人は主治医に相談してください。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米と日本人 雑炊を楽しく味わう

 この和歌はご存じでしょう。
 せりなずな御形(ごぎょう)はこべら仏座(ほとけのざ) すずなすずしろこれぞ七種(ななくさ)
 しかし、いつの時代に誰が詠んだかをご存じの方は少ないです。この和歌は北朝と南朝が分かれて争っていた南北朝時代(1336~1392年)に四辻善成左大臣が、平安時代に著された公家中原師遠(なかはらもろとお)の『師遠年中行事』にある「なづな、はこべら、芹、すずな、ごぎょう、すずしろ、仏座」の七種菜(ななくさのな)をリズム良く並べ替えた和歌です。この7種を入れたかゆは平安末期に登場し、みそで味付けされ、味噌水(みそうず)と呼ばれていました。ところが、室町時代になると、民間では「増水」、宮中では「御みそう」と呼ぶようになりました。
 ところが戦国時代、公家の山科言経(ときつね)は正月7日の人日だけではなく、常日頃も「増水」を好んで炊いて酒肴(しゅこう)にしていたのです。ダイコンだけを具にした「増水」もあれば、京都伏見に屋敷を構えていた懇友の徳川家康を訪ね、その帰路知人宅をも訪れ、ここで雁(がん)増水をごちそうになったりしています。1589(天正17)年4月15日の記述に初めて「雑炊」と書かれています。
 単なる当て字だと思いますが、彼は漢方薬を調合する医者でもありましたから、薬効のある種々の野菜や鳥、魚介を炊き込む意味も込めてこの雑炊を用いたのかもしれません。
 雑炊はもともと米から炊く物でしたが、江戸時代に入ると冷や飯の再利用として食べられるようになりました。私は今、ベーコンやセロリ、タマネギ、ニンジン、トマト、きのこを小さく切り、オリーブ油で炒め、水を加えて味を引き出し、最後に冷や飯を加えてサラリと混ぜ、塩・こしょうしておろしチーズでお化粧。時にはアサリやホタテ貝柱の缶詰も利用して朝食を楽しんでいます。みそ味もまた良きかな。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー キキクルの活用を

 梅雨が終わって台風シーズンがやって来ます。大雨や台風による災害に備えておきたいところです。
 気象庁は、大雨による土砂災害や浸水害、洪水害の危険度を5段階で示した情報を提供しています。10分ごとに最新情報に更新され、危険度がどれくらいか地図上に色で示されます。
 5段階のうち一番上、警戒レベル5は過去の重大な災害発生時に匹敵する状況、2番目のレベル4は、災害が想定される場所では全員安全な場所へ速やかに避難する目安、3番目のレベル3は、高齢者など避難に時間がかかる人が避難を始める目安です。
 気象庁は、危険度分布の情報をより多くの人に活用してもらおうと名称を定めました。それぞれ「土砂キキクル」「浸水キキクル」「洪水キキクル」といいます。キキクルを活用して身を守る行動につなげたいところです。

●日本生態系協会

季節の室礼  涼を感じる夏の室礼

 今月は、暑い夏を少しでも涼しく過ごす「和」ならではの工夫をご紹介します。
 8月も1週目を過ぎれば暦の上ではもう立秋。立秋前の約18日間を「土用」といいます。今は夏の土用のみが定着していますが、本来土用は四季ごとにあります。夏の土用は7月20日ころ~8月7日ころ。土用の丑の日には、ウナギに限らず「う」の付くうどん・梅干し・ウリ科の食べ物で暑気払いをします。
 暑中見舞いを出せるのは梅雨明けからこの土用の間。立秋を過ぎたら「残暑見舞い」を出します。
 室礼には欠かせない季節や行事の切り花も、この時期は水や茎が腐りやすいため長持ちしません。そこで涼しげなテラリウムを置くのはいかがでしょうか。テラリウムは透明なガラスなどの入れ物で植物を育てます。コケや多肉植物、水をあまり必要としないエアプランツを、昔ながらの金魚鉢に入れて飾るのはどうでしょうか。土だけでなく小石や砂、ビー玉などを敷いて、旅先の海で拾ってきた貝殻や流木を添えるといいですね。ガラス細工や陶磁器の金魚を中に入れてもいいでしょう。金魚型の箸置きでも代用できます。
 夏休みの宿題や箱庭遊びのように、童心に帰って、夏の思い出を大切に閉じ込めてみてはいかがでしょうか。

和文化講師●滝井ひかる



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