お役立ち情報コラム

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2022年9月

家族の健康 心掛けたい糖尿病予防

 わが国の成人の5人に1人は、糖尿病もしくはその予備軍といわれています。糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が高くなり過ぎる病気です。食事により腸で吸収されたブドウ糖は血液中に入り、膵臓で分泌されるインスリンの働きで、筋肉や脳などの細胞に引き取られエネルギー源となります。
 しかし、大食いや甘いものの取り過ぎ、大量飲酒などを続け、インスリンを大量に分泌し続けると、膵臓は疲弊し、インスリンを作れなくなります。体質やその他にもさまざまな原因で必要量のインスリンを作れなくなることもありますが、いずれにしてもインスリンが不足すると、血液中にブドウ糖が多い状態が続き、糖尿病になります。
 一方、インスリンの助けを借りて糖を引き取りエネルギーとしていた筋肉などの細胞は、暴飲暴食などによりインスリンが大量に分泌されると、その刺激に慣れ過ぎてインスリンが効かなくなります。引き取られない糖は血液中に残り、これによっても糖尿病になります。
 糖尿病の初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると合併症として神経障害、目の網膜症、腎臓障害が生じ、やがて歩行障害や失明、透析が必要になります。また、動脈硬化が進行しやすくなり、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞など命に関わる病気を発症しやすくなります。
 糖尿病予防のためには、高カロリーにならないように甘いものや脂っこいものは控え、アルコールを飲み過ぎないこと。農作業の合間の昼食も手軽なおにぎりだけではなく、野菜やキノコ、魚(缶詰も可)や海藻なども食べましょう。運動の継続も大切です。移動は自家用車、農作業もトラクターで日常生活の機械化が進んでいるなら、日々の運動も必要です。
 さらに、健康診断や人間ドックで定期的に血糖値を調べることも、大事な糖尿病予防の一つといえます。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米と日本人 おこわ

 毎日、もち米を蒸したおこわを食べている民族がいることをご存じですか。ラオスやタイ、ベトナム、中国に住む少数民族です。私がラオスに1週間滞在したときも毎食おこわで、一口大にちぎって小魚の塩辛とトウガラシを付けて食べました。
 インドネシア・スマトラ島のパダンでは、おこわを握って小エビの塩辛とトウガラシを塗って焼いたり、混ぜて揚げていました。サツマイモをのせ、フルーツのソースをかけたものもありました。中国の湖南省長沙市ではこしあんを詰めたおこわにフルーツを飾って甘いソースをかけた八宝飯(パーポウファン)を食べました。
 タイやベトナムでもおこわはよく食べられていました。ところが、タイではこのごろ、農作業の機械化で汗水垂らして働かなくなりました。うるち米を電気釜で炊いて食べることも多くなりました。
 日本でも、私の町の秋祭りでも若衆はおこわ(赤飯)は食べません。秋祭りのうたげは昔と異なり、焼き肉パーティーですから。それを見て、私は「ピーヒャララ 宴で残りし 赤まんま」と詠みました。
 京都や大阪では朔日と15日は赤のまんまと決めていた家が多くありましたが、今はあまり食べられていません。ところが、私が指導しているスーパーではおこわが毎日よく売れるようになりました。鶏肉やゴボウ、ニンジン、シイタケ、レンコンなどをだしとしょうゆ、みりんで煮て、もち米に混ぜて蒸したものです。鳥取県の大山おこわに似ています。この具に油やカレー粉を加えてピラフ風にすると若い方に好評でした。もち粟入りも特に若い女性に人気。もち麦入りも面白がって食べていました。伝統を継承するためには、昔の味に時代性を加えることが必要です。伝統にこだわり過ぎると消えていくのみ。再考を。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー 今どきの衣替えを

 10月1日は衣替えです。6月1日から夏服、10月1日から冬服となったのは明治時代だといいます。ただし、近年は5月初めから半袖日和の暑い日もあり、10月でも真夏日になる日が少なくありません。10月1日から冬服と決めてしまうと、熱中症などで健康を害してしまう可能性もあります。そうかと思えば雨が降る日には肌寒いこともあり、気候に服装を合わせるのが難しい時期です。
 昔のように、一気に夏服から冬服へ、という衣替えではなく、段階的に衣替えしていくのがお勧めです。クローゼットの中も、10月はまだ夏服を半分くらい残しておき、秋服を半分入れるようにして、暑い日も肌寒い日も対応できるようにしておきましょう。その後、秋が深まってきたら冬服を出すなど、徐々に変えていくと良さそうです。学校や職場の制服も、臨機応変に対応できるといいですね。

●日本生態系協会

季節の室礼  十三夜

 十五夜にお月見はできましたか?
 十五夜とは旧暦8月15日の夜のこと。今年は9月21日でした。
 では「後の月」という言葉を知っていますか?旧暦の9月13日の夜、十三夜のことです。十五夜と違い十三夜は日本だけの風習。満月だけではなく少し欠けた月もめでる、というのは風流ですね。台風の時期も終わり秋晴れが続くことから「十三夜には曇りなし」といわれます。
 十五夜は「芋名月」と呼ばれているためサトイモをお供えします。十三夜は「栗名月」や「豆名月」と呼ばれ、お団子と共に栗や豆をお供えします。
 秋の七草で尾花と呼ばれているススキは、月の神様へのより代として稲穂の代わりに供えます。十三夜では13本か3本。収穫されていれば稲穂をお供えすることもあります。
 十三夜には、竹でできた虫籠を飾るのはいかがでしょう。同じく竹で作ったスズムシも一緒に。繊細なササダケの節が本物そっくりに見えますよ。
 十五夜だけお月見をして十三夜をしないのは「片見月」「片月見」といって、縁起が悪いともされています。今年の十三夜は10月18日。秋の夜空を見上げてみましょう。

和文化講師●滝井ひかる



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