お役立ち情報コラム

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2022年10月

家族の健康 こむら返り

 寒い日や、農作業をいつもより頑張った日の就寝中に、こむら返りを起こして、痛みで目覚めたことはありませんか?
 こむら返りは筋肉のけいれんの一種で、足に力を入れたときや就寝中などに生じる、ふくらはぎにある腓腹筋の異常な収縮による激しい痛みです。脳から筋肉への連絡が筋肉の一部にしか伝わらず、その筋肉だけが過剰に収縮することによって起こります。
 根本的な原因は、神経の伝達と筋肉の収縮を調整しているカルシウム、マグネシウムなどのミネラルバランスの乱れといわれています。ミネラルを運ぶ役割は血液が担っていますが、冷えや脱水によって血行が悪くなることで、こむら返りが起こりやすくなるのです。
 寒い時期に増える不快なこむら返りは、なんとか予防したいですね。対策としては日頃からストレッチを行い下肢の血行を良くして、筋肉の状態を整えるように努めることです。寒さが厳しいこれからの季節は、ふくらはぎの冷えを予防する衣服やハイソックスを着用しましょう。農作業の後の入浴では浴槽の湯にゆっくりつかって、冷えた体を癒やしてください。こむら返りが起きてしまった場合は、足の爪先を手前に引くなどして、ふくらはぎをゆっくりと伸ばしましょう。
 治療薬としてよく使われるのは、ビタミンEや漢方薬の「芍薬甘草湯」です。ただし、こむら返りには、糖尿病、動脈硬化、腎臓疾患、下肢静脈瘤など、思わぬ病気が潜んでいることもあります。繰り返す場合は、医療機関を受診することをお勧めします。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米と日本人 炊き込みご飯

 現在の子どもや若者たちは、銀シャリよりもしょうゆ味を付けて白米にいろいろな具材をまぜて炊く、炊き込みご飯を好みます。お母さんにとっては具材を刻むのが少々邪魔くさいけれど、飯と具材に味が付いているから、おかずは一つ減る。お代わりをしてもらえば満腹感を覚えるし、後はあえ物かサラダとみそ汁を組めば、夕食はこれで十分。
 しょうゆで直接味付けする炊き込みご飯が生まれたのは明治時代以後のことです。それ以前は丸ゆでにした鶏のゆで汁で飯を炊き、その飯の上に鶏の身をむしってのせ、薬味を添え、しょうゆ味を付けただし汁を掛けて食べていました。
 魚も貝類も、切り身やむき身にして白米と一緒に炊きました。
 日本各地には自慢の炊き込みご飯がありますが、私は大阪の「嘉薬飯」が好きです。一般には「加役(薬)飯」と書きます。主役の白米に加える副材料を加役といいます。これがまた健康促進の役目をするので「嘉薬」としゃれたのです。鶏肉や油揚げ、こんにゃく、ニンジン、ゴボウ、干しシイタケなどを細かく刻んで白米の3割程度加え、煮干しのだしとしょうゆ、米1合に大さじ1とみりん小さじ1で味付けします。私は煮干し粉を紙パックに入れ、水と一緒に仕掛けて炊きます。
 30年ほど前、この嘉薬飯をアラブのクウェートで作りました。こんにゃくやゴボウ、油揚げはないので、鶏肉とマッシュルームとニンジン、ピーマンをどっさり入れ、頭をひねって、油揚げの代わりにごま油をたっぷり加え、しょうゆ、こしょうで味を付けて電気釜で炊いたら、クウェートのマダムたちに大人気。おいしくてヘルシーなジャパニーズプラオ(ピラフ)とはしゃいで、喜々として食べていました。しょうゆのうま味とロースト臭が彼女らの心をつかんだのです。実はごま油を入れて炊く油飯は、飛鳥時代に中東からわが国に伝えられていたのです。世界に発信を。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー こたつ開き

 気温10度以下は暖房が必要になる目安です。北日本では11月は連日10度を下回るようになりますが、東京や大阪、福岡では、最低気温が10度を下回るようになるのは、11月半ばごろからです。11月7日は二十四節気の「立冬」で、東京地方でも木枯らし1号が吹くころです。木枯らし1号は冬型の気圧配置になると吹きますので、冬が始まった証しです。
 江戸時代には亥の月の亥の日を「こたつ開き」といい、この日にいろりに火を入れたり、こたつを使い始めたりしたといいます。亥の月は旧暦10月のことで、今の11月ごろです。亥の日は年によって変わります。2022年の亥の月の最初の亥の日は11月6日です。亥は火に強く、火災から逃れられるといういわれから、亥の月の亥の日から暖房器具を使い始めたということです。
 関東から西の地方も、そろそろ暖房が必要な時期です。

●日本生態系協会

季節の室礼  立冬

 暦の上では立冬。紅葉・照葉・落葉の季節ですね。この時期に、まるで春のように暖かい陽気が戻ることがあります。冬の季語では「小春日和」といいます。春先の暖かい日のことを指す言葉ではないので、気を付けてくださいね。
 11月には、関東地方を中心に酉の市が立ちます。11月の酉の日に、各地の鷲神社や大鳥神社で、開運招福や商売繁盛を願って開かれます。
 酉の市で縁起物として売られている熊手。元来、酉の市では農作業具が売られていました。物を掃き寄せる熊手が運を「とり」込む、福を招き寄せる、とされています。
 熊手には、松竹梅や稲穂、米俵、おたふく、七福神などが付いています。10月20日や11月20日に行われるえびす講や、関西の十日戎の縁起飾りに似ていますね。
 立冬の時期の室礼は、色づいた実物やつる物で、リースやスワッグ(壁飾り)を作って飾るのはいかがでしょう。ドライの実は落ちやすいですが、つる性の植物は多少折れても自由に絡ませることができます。
 紅葉狩りの思い出の、紅葉やイチョウの押し葉を散らすのもいいですね。熊手と箕を飾ってぜひ福を取り込みましょう。

和文化講師●滝井ひかる



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