お役立ち情報コラム

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2022年12月

家族の健康 飲酒と睡眠の関係

 農作業の後の飲酒が楽しみな人は多いでしょう。「飲んだ後はぐっすり眠れる」と言う人も多いようです。しかし、飲んで寝ると夜中に目覚めてしまう悩みもあります。
 アルコールは脳の活動を抑えるので、飲んだ後はリラックスして寝付きやすくなります。寝付いてしばらくは、アルコールが分解されて発生するアセトアルデヒドの作用で、レム睡眠(体は休んでいるが脳は活動している浅い眠り)を抑えて深く眠れます。しかし、睡眠の後半になると、その反動でレム睡眠が多くなるため、小さな刺激でも目覚めてしまいがちです。
 浅い眠りの期間には、わずかな物音や明かり、同室者のいびきや寝息、屋外の鳥のさえずりで目が覚めることがあります。また、飲んで寝ると睡眠中に尿意を感じたり、喉が渇いたりすると、すぐに目覚めてしまいます。
 飲酒後の睡眠中は、筋肉が緩んで喉がふさがりやすく、呼吸が一時的に止まり(無呼吸)、苦しさで起きてしまうこともあります。普段から睡眠時無呼吸症候群の人は、特に飲酒後の睡眠中に呼吸が止まりやすくなります。
 おいしくアルコールを飲んで、リラックスして良い気分になり、ぐっすり眠るところまでは良いですが……、睡眠途中で目覚めてしまい、その後は寝付けず睡眠が不完全なまま朝を迎えることになりかねません。そして、日中になって疲れや眠気を感じることになります。飲酒量が増えたり、飲酒習慣の期間が長くなると、その傾向は増強されます。
 アルコールは少量を楽しむにとどめ、量を増やさないことが大切です。週2日は飲酒を控え、「飲まなくても過ごせる」「飲まなくても眠れる」と自信を持ち、アルコールに依存しない意識も必要です。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米と日本人 粥は米の炊き方の基本

 漢文学者の白川静氏によれば、粥は米の食べ方を示す象形文字だそうです。米を挟んでいる二つの弓は白米を水と共に鍋に入れて火にかけ、煮立ったときに立ち上がる湯気を象形しているというのです。
 わが国で本格的に水田稲作が始まった弥生時代には、水分の多い汁粥と水分の少ない固粥(かたかゆ:焦げ付かないように水分を少し残して炊いた飯)があったようです(『和名類聚抄』)。当時使われていた素焼きの鍋では現在のような飯は炊きにくく、焦げ付くとおこげが鍋から離れず二度と使えなくなります。
 飯が宮廷で常食になるのは飛鳥・奈良時代ですが、もしかすると固粥だったのかもしれません。または、奈良時代には木製の蒸し器があったようなので、もしかすると中国や東南アジアの人たちが作る湯取法だったかもしれません。白米を水から煮て沸騰したらざるにあげ、水を掛けて「おねば」を捨てて蒸す方法です。現在の炊き干し法が誕生するのは釉薬を掛けた陶製の羽釜が出現する平安時代から鉄釜が出現する鎌倉時代。
 さて、平安時代のお公家さんに好まれたのは朝粥。昨夜の酒の飲み過ぎで乾いた喉と胃を癒やすために喜ばれたようです。やがて中国から1月7日の人日の食べ物として7種の野草の羹(あつもの:スープ)の食習が入って七草粥になったという説があります。宮廷ではこの日は叙位の日に当たり(『延喜式』)、殿上人は名を成すことを願って競って食べたようです。豊作を願う1月15日の小豆粥は奈良時代からとみられます(『正倉院文書』)。
 飽(乱)食時代の現在、ビジネスパーソンに粥定食の人気が上昇しています。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー 雪のトンネルの向こう

 1月5日は二十四節気の小寒、20日は大寒です。一年の中で最も寒い時期に入り、雪国では積雪も増え、厳しい季節になっていきます。  冬の間、雪や寒さを逆手に取って、おいしい野菜を作っている地域もあります。雪の下で育てる「雪下にんじん」や、あえて霜に当てて育てる「霜降り白菜」などです。寒さに耐えると甘味が増すということです。雪を生かして造るおいしいお酒もあります。「雪中貯蔵酒」です。搾りたての生酒が入ったタンクを雪室などに入れ、雪で覆い尽くし、雪解けになるまでじっくりと熟成させます。雪の中では低温で一定に保たれるため、ゆっくりと均一に熟成され、まろやかでうま味の多い日本酒ができるそうです。
 大雪と厳しい寒さを乗り越えた先には、おいしいお酒が待っているということです。今から楽しみですね。

●日本生態系協会

季節の室礼  初夢

 新しい年が始まりました。
 初夢はもう見ましたか?
 いつ見るのが初夢なのでしょうか。現在は元日の夜、2日の夜、または新年に初めて見た夢のことを指します。
 昔は立春を新年としていたので、節分の夜から立春の朝にかけて見る夢が初夢でした。
 縁起の良い初夢を見るには、「長き夜の遠の眠りのみな目覚め波乗り船の音のよきかな」という回文(上から読んでも下から読んでも同じ文)が書かれた七福神の乗った宝船の絵を、枕の下に置くと良いといわれています。
 縁起が良い順に、「一富士、二タカ、三ナスビ」とされますが、続きがあるのを知っていますか?
 「四扇、五たばこ、六座頭」と続きます。扇は末広がり、たばこは煙が上っていく様子、座頭は剃髪しているので毛がない=けががないことから縁起が良いのだそう。
 新年の室礼には、その年の干支の置物や、羽子板やたこなど正月遊びの道具、華やかな正月花がありますが、初夢にちなんだ飾りはいかがでしょうか。一富士に掛けてふじリンゴを一つ。二タカに掛けてタカノツメを二つ。三ナスビにかけて小ナスビを三つ。郷土料理に見られるナスの砂糖漬けもかわいらしいですよ。さらに扇や昔のきせるも一緒に飾れば通好みですね。

和文化講師●滝井ひかる



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