お役立ち情報コラム

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ライフ 2023年1月

家族の健康 変形性膝関節症

 特に寒い季節の農作業では、中腰やしゃがんだ姿勢からの立ち上がりで膝が痛む人も多いでしょう。
 膝関節は、大腿部と下腿部の骨とその間に軟骨があり、さらに筋肉や腱や靱帯が働き、関節の負担を軽減しています。しかし、農作業のように中腰や立ち上がりの多い作業、重い物を持つ作業、加齢や体形などにより、膝関節に負担がかかり続けると、軟骨がすり減ったり、骨同士がこすれ合うなどで関節の変形が起こり、変形性膝関節症が生じます。60歳以上の約8割の人が、レントゲン検査をすれば膝関節になんらかの変形所見が認められるといわれています。
 変形性膝関節症の自覚症状としては、歩行時や立ち上がるときの膝の痛み、膝が曲がりにくい、脚の重い感じ、悪天候時の痛みなどがあります。
 変形性膝関節症で受診する場合は整形外科になり、治療法は変形の程度や自覚症状などにより異なります。保存的な治療法としては、薬物療法である消炎鎮痛剤(内服薬、外用薬、座薬)が使われます。膝関節への注射が効果的な患者さんもいます。生活上の注意では、脚を冷やさない、立ち上がり動作を減らす、階段昇降では手すりを使用するなど膝への負担を減らします。さらに、膝のサポーターや靴の中に入れる足底板の使用、大腿部の筋肉の訓練で症状が楽になることもあります。太っている人は膝の負担を減らすため減量することも大切です。
 これらの保存療法で効果が不十分なときなどは、手術療法が検討されるので、主治医とよく相談しましょう。膝が痛い人は、早めに整形外科を受診することが望まれます。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米と日本人 おにぎりは日本のソウル(魂)フード

 水害や火事、地震などの被災者への救援食として欠かせないのが、おにぎり。また、子どもたちの遠足の弁当として用いられてきました。
 私が子どもの頃の弁当は父の手作り。自家製のタカナの古漬けの葉で包んだ、両手で抱えて持つ三角形の「目張り飯」でした。口も目も大きく開いて頬張るのです。
 にぎり飯は別名「おむすび」といいますが、これは宮中の女官たちの女房言葉です。
 このにぎり飯はいつごろから食べられていたのでしょう。奈良時代に編さんされた各地の特産品や風俗風習を書いた『常陸国風土記』の筑波郡の部に「握飯筑波の国」と出てきます。「春の花咲く頃と秋の黄葉(もみじ)の頃、老若男女が食べ物や飲み物を携えて筑波山に登り」うたげをしたとあります。
 平安時代になると宮中でも用いられ、□食(とじき:『源氏物語』)と呼ばれ、またの名を鳥の子(鶏卵)とも呼ばれていました。これをカシやホウの葉で包み、裹飯と呼んでいました。
 江戸時代元禄のころになると炭火で焼いて焼き飯と呼び、花見や紅葉狩りの弁当に添えられ、やがて幕末には焼き飯、卵焼きや煮しめなどを折り箱に詰めた幕の内弁当が登場します。飯を焼くことで味や香りが良くなりますが、殺菌が目的。
 にぎり飯は地方によって形は異なりますが、東北は円盤形、関東は三角形、大阪は俵形、九州はボール形です。
 握るとき、炊きたての飯を逆手にのせ、利き手で押し、呼吸に合わせながら軽く放り上げて押す動作を繰り返して成形。そのリズムこそ心臓の鼓動の響き。作り手の魂がこもった自家製のフィンガーフードのおにぎりは無償の行為で作る尊い味。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー 豆まきの豆は?

 気温の平年値を見ると、一年の中で最も低くなるのは、2月初めごろの地域が多くなっています。ちょうど立春のころです。立春を境に気温が上がり始め、寒さの底を抜けるイメージです。
 立春は一年の始まり、お正月のようなものです。その意味では、立春の前日の節分は大みそかといえます。
 節分には豆まきをします。古代中国では、大豆は鬼毒を殺し、痛みを止めるといわれていたそうです。これに倣って日本でも大豆をまくようになったといいます。まいた大豆から芽が出たら凶事が起こるとされるため、芽が出ないように大豆をいって、豆まきに使うのです。
 いり豆はちょっとしたおやつにも最適ですね。栄養もたっぷり。まだまだ余寒が厳しい日もあり、寒暖の変化が大きいため体調の管理に気を付けたい時期です。節分の日には健康のためにも年の数だけいり豆を食べましょう。

●日本生態系協会

季節の室礼  立春大吉

 節分の翌日は立春。旧暦のお正月がこの頃にあることから、昔の人々は立春を一年の始まりと考えてきました。
 立春の朝、神社からいただいた「立春大吉」と書かれたお札を、玄関などの高い場所に貼ります。「立春大吉」という字は左右対称で、表から見ても裏から見ても、同じ形をしています。ですから、家に鬼が入ってから振り返っても同じように見えるので、振り返った鬼は勘違いをして「こちらの家に入ろう」と出て行ってしまうそうです。
 2月の行事「初午」は、暦で2月最初の「午」の日。全国の稲荷神社で、五穀豊穣や商売繁盛を祈願して祭礼が執り行われます。そして、稲荷神社の神様にお仕えしているのがキツネ。初午には、キツネの好物とされるいなりずしをお供えして、いただきましょう。
 2月は、各地で梅祭りが開かれます。学問の神様・菅原道真公が祭られている天満宮(天神様)には、道真公にゆかりのある梅が植えられています。合格祈願に多くの受験生がお参りに訪れます。
 令和元号の由来にもなった梅花。奈良時代のお花見は、桜ではなく梅だったそう。
 この時期の室礼は、梅の枝ぶりを生かして大胆に生けます。立春を意識して、木へんに春と書いた「椿」も一緒に生けましょう。キツネのお面を添えるのもいいですね。「立春大吉」のお札も忘れずに。

和文化講師●滝井ひかる



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