お役立ち情報コラム

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ライフ 2023年2月

家族の健康 目薬の差し方

 花粉症の治療に目薬を使う人も多いでしょう。目薬の差し方を間違えている人が多いので気になります。
 多くの人がやっているのは、目の縁に容器を軽く当てて、目薬を流し込む方法です。これでは、容器と中の点眼薬が不潔になるので駄目です。また、差した直後にパチパチと素早くまばたきを繰り返すと薬が目から流れ出てしまいます。さらに、ティッシュペーパーで目を押さえると、薬が吸い取られて十分に目に入りません。
 目薬を差すときは、まず手を洗いましょう。利き手で目薬の容器を持ち、顔を上に向け、利き手ではない手の指で、下まぶたを軽く引き下げます。ちょうど「あっかんべー」の状態にします。その状態で、利き手で目薬の容器を持ち、先端がまつげやまぶたに触れないように気を付けながら、指定された量を差します。差した後は、指で軽く目頭を押さえて静かに目を閉じ、1分間ほどそのままでいます。その後に、目の周囲に付いたり流れ出た薬をティッシュペーパーなどで拭きます。1分間は長く感じるものですが、我慢してください。
 「緑内障と花粉症」や「ドライアイとアレルギー性結膜炎」など、異なる2種類以上の目薬を差す人もいます。その場合は、眼科医や薬剤師に、差す順番や注意事項をよく聞いておきましょう。
 当たり前のことですが、目的に合った目薬を使わないと、場合によっては目に悪影響があります。市販の目薬を使用しても症状が改善されないときは、眼科を受診して相談してください。家族が以前に使っていた目薬は、あなたの症状には合わないかもしれません。また、目薬にも消費期限があるので、期限を過ぎた場合は使用しないことも大切です。

健康科学アドバイザー 福田千晶

お米と日本人 ちらしずし

 春の彩りの演出、なぜすしはごちそうなのでしょうか。
 わが国で「ひいな」と呼ばれる紙製の人形が作られたのは平安時代。この「ひいな」に美しい衣裳を着せて飾り、いろいろなお供え物をして見せ合う遊びである「ひいな合せ」が宮中の女官たちの間で競われました。これがひな飾(祭)の始まりです。
 初めは旧暦3月最初の巳の日に行われていましたが、江戸時代になって3月3日に固定されました。内裏びなと共にひし餅や本膳、二の膳なども供えられていましたが、後者は将来嫁ぐ娘らに質素倹約を教えるためでした。ところが明治維新で近代化すると、女としてどうあるべきかと情操教育へと変容してしまいました。
 ところで皆さん、ひな祭りのごちそうは何でしょうか。たいていはちらし(五目、あるいはまぜ)ずしに貝料理です。なぜ、これらを用いるのでしょう。その第一の理由はちらしずしのトッピングはまるで春らんまんの風景を表現しているからです。錦糸卵の黄、紅しょうがの赤、キヌサヤの千切りやフキ、ワラビの緑などまさに春の彩り。この明るさに娘の成長を託しているのです。
 それともう一つ。明治維新で近代化された世の中であっても、日本の農山漁村は江戸時代同様に普段は雑穀を白米に多量にまぜて炊いた糅飯でした。昭和の戦後しばらくもそう。すし飯は白米100%(例外あり)で作るからごちそうでした。
 貝は家持ちですね。その上、貝偏の字はお金に関係する文字が実に多くあります。「入るを量りて出ずるを為す(制す)」(入るを量って出るを制せば財を成し、ばらまけば貧する)の例えの通り、家計を切り盛りする多くの主婦のご苦労は大変。わが娘の将来の幸せを願って一生金に困らないようにと祈る母心で貝を料理して食膳にのせたのです。料理もまた切り盛りする意味なのです。

伝承料理研究家●奥村彪生

お天気カレンダー マーチ

 3月は英語でMARCH(マーチ)。これはローマ神話の戦と農耕の神「マルス」に由来します。暖かくなり、軍が行動を始めたり、農作業を始めたりする時期だということです。行進という意味のマーチと英語のスペルは同じです。足取りが軽くなるような、行進したくなるような陽気の日が増えてきます。
 一方で、寒暖の変動はまだ大きい季節です。一般に高気圧が去り、低気圧が近づくときは、暖かい空気が入ります。低気圧が去り高気圧が張り出してくるときは、冷たい空気が流れ込みます。時には、低気圧が通った後、冬型の気圧配置となって冬が戻ったような寒さになることもあります。
 この時期は上空を流れる偏西風も速く、高気圧と低気圧が行進するようにやって来て、次々と空気が入れ替わることもあります。高気圧と低気圧が順番にやって来るパターンのときは寒暖の変動に気を付けましょう。

●日本生態系協会

季節の室礼  ひな祭り

 3月3日はひな祭り。五節句の一つで「上巳の節句」ともいいます。江戸時代には幕府の公式な行事でもありました。
 この時期、宮中の装束を身にまとった人々が、曲がりくねった小川の所々に座り、和歌を詠む。上手から杯が流れてくる間に和歌を作り、流れてきた杯でお酒をいただき、また次の人へ流す……、といったみやびな情景を、ニュースなどで見たことはないでしょうか。
 これは「曲水(きょくすい・ごくすい)の宴」という上巳の節句にちなんだ行事で、中国から伝わりました。
 流しびなという風習もあります。これは、女の子のやくをひなに移し、流して清めるという行事です。『源氏物語』にも、人の形をした形代を流しておはらいをする、という場面が描かれています。
 どちらの行事も旧暦(4月)だと、もう少し暖かく水もぬるむ季節なので、イメージが湧きますね。他にも旧暦だと潮干狩りが始まり、ひな祭りの行事食に欠かせないハマグリのシーズン。合わせ貝は、おひなさまのように仲むつまじい一対の象徴でもあります。
 室礼では、女の子の成長を願って真っすぐな枝ぶりの桃を生けます。小石、ひなあられなどで曲水を見立て、そこを流れるように杯や流しびなを置き、「上巳の節句」をお祝いしましょう。

和文化講師●滝井ひかる



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