JAグリーン近江について

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今月の農業(2021年2月)

水稲

◎令和3年産米の重点技術対策

 JAグリーン近江では、①「環境こだわり米の安全安心でおいしい米」をJAグリーン近江統一の「特別栽培米」を重点に、JAグリーン近江のブランド確立をめざしています。一方、全国的な米の消費減少傾向が続く中、安定的な米販売先を確保するため、②「ゆめおうみ」の複数年契約&多収栽培を提案しています。この2つの方策に対処するには、水田の地力を養い、作物が健全に生育する基盤を整えることが先決です。

土は毎年痩せていきます…水田には堆肥を入れよう

 米の生産調整で麦・大豆のブロックローテーションによる集団転作が長年続き、年々、その面積が拡大したことから、2~3年に1回畑作を繰り返すようなところもあります。そのため、水田の土は年を重ねるごとに痩せてきました。
 水田の地力をもとどおりに復活するには、土づくり対策を重点的に行うことが重要です。土づくりの基本は、「有機物を補給すること」「稲に必要な養分をバランスよく蓄えること」「根張りをよくすること」です。堆肥や「とれ太郎」などの土づくり肥料を施用し、深耕を行いましょう。
 堆肥の施用は、作物に養分を与えるだけではなく、土壌の物理性や化学性を改善し、作物が生育しやすい環境を作ります。毎年の散布適量は、通常1~2t/10a位です。多すぎると水稲の生育過剰による倒伏の原因になるので注意してください。㈱グリーンサポート楽農では、堆肥散布の作業を実施しています。詳しくは、当JA営農振興課または各支店へご相談ください。


「とれ太郎」などの土づくり肥料を散布しよう

 健全な生育を促進し、米の食味向上を図るためには、「とれ太郎」などのりん酸、珪酸、鉄分、苦土、石灰などの養分をバランスよく含まれた肥料を補給することが重要です。特に石灰は、カドミウムの吸収抑制対策としても重要な養分です。「おいしい米づくり」とともに「安全・安心な米づくり」対策としても土づくり肥料を施用しましょう。
 散布時期は、秋耕起前に散布すると省力的ですが、まだ散布できてない場合は、春耕起前に散布すると秋散布と同様の効果が期待できます。
 JAグリーン近江では、土づくり肥料散布用のブロードキャスタを装着したトラクタを各支店に準備していますので、ご希望の方は、各支店までご相談ください。


耕起は15㎝以上に、稲わらはよく腐らせる

 耕起作業は、土を砕く、前作物残渣や雑草をすき込んで腐熟を促進させる、通気性・保水性をよくする、有機態窒素を無機化させる(乾土効果)等の効果があります。また、深耕は胴割粒の発生を少なくする効果もあるといわれています。
 はじめにプラウで反転耕を行い、表面の土がよく乾いたときにロータリ耕を行うのが理想です。
 稲刈り後にロータリで秋耕を行ったときには、冬の間に春の代かきまでに、田面が乾いた時期を見計らって1~2回耕起を行い、稲わらや雑草をよく腐熟させておきましょう。
 とれ太郎や堆肥などの土づくり資材をまだ散布してない場合には、必ず散布してから耕起してください。


畦塗り

 水持ちが悪いと肥料や農薬成分が流亡しやすく、肥料や除草剤の効果が悪くなるばかりか環境にも悪影響を与えます。
 畦塗りは、土壌に適度な水分のある時期を見計らって実施しましょう。畦を長持ちさせるためには、畦塗り機の走行速度を遅くし土を十分にたたきつけることと、畦の土が乾燥してしまわないよう早めに湛水し、畦の乾燥・ひび割れを防止することが大事です。


代かき・均平はていねいに…代かきは土が半分見えるくらいの水深で

 代かき作業は、通常、水田ハローを使用しますが、水の量が多すぎると、わら等の有機物が浮き上ったり、圃場の凸凹がわかりにくくなります。代かき時の水深は、水面から土が半分以上見える程度で行いましょう。
 凸凹の水田では、凸の部分に雑草が生えやすく、凹の部分には苗が冠水したり、直播水稲の発芽・苗立ちが良くない、圃場全体の排水がうまくできない等の問題が発生します。
 多少の凸凹は代かき時にハローで手直しできますが、圃場面積が広い場合や田面の高低差が大きい場合には、レーザーレベラのような機械で均平作業を行います。


薄播き・健苗育成・細植え

 健苗育成の基本は薄播きです。稚苗1箱当たり播種量は、乾籾で120~150g(催芽籾重は2割増し)とし、太い健苗を育てます。
 田植は、1株当たり平均3~5本植とします。
 太植えにすると、茎が細くなって倒伏しやすくなり、米粒の充実も悪くなるので、健苗細植えを励行しましょう。


施肥

 JAグリーン近江の栽培ガイドラインを参考に、品種・栽培時期・栽培方法などに応じて適量を施用しましょう。堆肥を施用した場合や大豆跡では元肥を3~5割程度減らすなど、輪作体系や施肥方法を考慮した施肥が重要です。
 なお、当JAでは、環境こだわり栽培を基本に特別栽培米をおすすめしています。詳細は、各地域の環境こだわり米部会や各支店にご相談ください。
 元肥は、環境こだわり栽培では側条施肥をおすすめしていますが、施肥田植機を使わない場合には、入水前に圃場全面に元肥を散布し、作土層によくすき込んでから入水してください。


「元肥一発施肥」

 緩効性肥料が入った肥料で、元肥と追肥・穂肥を一緒に兼ねた肥料で行う栽培法です。元肥として施用しても、最初に効く成分が少なめで、追肥や穂肥用の肥料分が「じっくり型」で効きだすタイプの肥料です。通常は元肥として施用するだけで、追肥・穂肥がいらないので大変省力的です(天候・土壌条件により追肥が必要な場合があります)。
 環境こだわり栽培の「みずかがみ」では「みずかがみ基肥一発」を、コシヒカリ・キヌヒカリには「楽すけ(早生用)」、日本晴・ヒノヒカリには「有機入りセラコートR355(中晩生用)」などをおすすめしています。
 「一般栽培」では、「これいいね」と「すご稲」の早生用と中晩生用をそれぞれおすすめしています。


雑草防除

 雑草防除は、雑草の種子や越冬する雑草の塊や茎地下茎など出芽を抑えることが基本です。
 秋耕や冬耕を繰り返すと、雑草種子や塊茎などを乾燥・凍結させたり地下深く埋め込んで出芽数を抑えることができます。
 除草剤は、散布時期と散布量、水管理が最も重要です。薬剤の包装容器には、水稲の移植後日数と雑草の葉数で散布時期が表示されています。散布時期が遅れると雑草の葉数が大きくなり、除草効果がたいへん悪くなります。容器に表示された時期に、表示された使用方法をよく読んで正しく使用しましょう。除草剤を効果的に使うには、田面を均平にし、土が見えない程度に水を張り、水口と尻水戸をしっかりと止めてから除草剤を散布してください。
 水持ちが悪い田では、畦塗りを行うとともに代かきを特にていねいに行い、少しでも水が長持ちするように工夫しましょう。
 水が早く減ることを防ぐためにチョロチョロ水を入れ続けると除草剤の効果が非常に悪くなります。除草剤散布前に少し深水にし、散布後は、少なくとも3日以上水を動かさないようにし、水がなくなったら静かに補給してください。


麦の品質向上と増収は排水対策がキメテ

 麦は、幼穂ができ始める2月頃から出穂期頃に湿害を受けると、根の活力が著しく悪くなり、葉が黄色く枯死し、たんぱく含量などの加工適性に関係する成分品質が悪くなります。毎年、春には雨が続く時期がありますので、湿害を防ぐ対策が特に重要です。
 降雨後の表面水が数時間以内に排出するよう、今一度、排水溝を確認してください。

穂肥のめやす

 本年産麦類の施肥基準が変わりました。
 令和3年産麦類の栽培ガイドラインを参考に生育状況に合わせて穂肥を施用してください。
 麦の湿害対策の秘訣は、「圃場の表面水が土壌中にしみ込む前に水を排除すること」です。

●土壌中に水が浸透するまでに表面の水を排除できるよう、圃場内の溝さらいを徹底してください。
●水田の送水が始まると、水口付近から漏水することがあるので、早めに水口を確認してください。
●雪が積もると、雪解け水がしみ込みやすいので、畦面に水溜りがあれば小溝を付けて排水してください。

農作業安全

農業機械の区分と運転免許の種類
 水田や畑などの圃場内でトラクタを運転するのに免許は必要ありませんが、道路を走行する場合は、道路交通法により自動車運転免許が必要になります。
 この場合の「道路」とは不特定多数の者が自由に通行できる場所をいい、駐車場や公園も含みます。

Ⅰ.車両区分

●車両区分が「小型特殊自動車」の場合、地方税法に基づき、納税標識(ナンバープレート)の交付申請及び道路走行の可否に限らず車両への取付義務が定められています。車両区分が 「大型特殊自動車」の場合、道路運送車両法に基づき、管轄の運輸支局へ自動車登録番号標識(ナンバープレート)の交付申請及び車両への取付義務が定められています。
●道路運送車両法では農業用トラクタは、最高速度が35㎞/h未満であれば大きさに関係なく小型特殊自動車となるので、日本国内のトラクタはほぼ全てが小型特殊自動車となり、市町村が交付する小型特殊自動車用のナンバープレートが必要です。
●作業機を装着したままでも、灯火や反射板などの条件を満たせば、公道を走行することもできるようになりました。

Ⅱ.運転免許の種類

●自動車運転免許の種類は大型特殊自動車、小型特殊自動車ですが、トラクタの大きさと最高速度で区分されます。
●長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.8m以下、最高速度15㎞/h以下の全ての条件を満たす場合は小型特殊自動車免許です。小型特殊自動車を運転できる普通免許などでも運転可能です。
●車両の大きさ、最高速度が右記の条件を一つでも超えると大型特殊免許が必要になります。普通免許だけで運転すると無免許運転に該当するのでご注意ください。
●トラクタ本体が上記の小型特殊自動車免許の範囲であっても、大きな作業機を装着したり牽引すると大型特殊自動車免許が必要になります。また、750㎏以上の作業機や運搬車を牽引すると、大型特殊自動車免許と牽引免許が必要になります。
●いずれの免許も農耕用限定の制度があるので、県立農業大学校や農機具メーカーなどで講習を受けて運転免許センターで受験できます(八日市自動車教習所でも受講可能です)。

Ⅲ.道路交通法と道路運送車両法の関係





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