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家庭菜園・家庭園芸  2025年1月

私の食育日記 チーズとおいしく付き合おう

 娘はチーズが大好きです。どんな料理も、チーズをトッピングすれば好き嫌いなく食べられるほどのチーズ好き。牛丼やサラダ、苦手なカレーもチーズをかければおいしく食べられます。チーズは牛乳を発酵させて作られますが、牛乳の栄養がぎゅっと凝縮されていて、タンパク質に脂質、カルシウム、ミネラル、ビタミンと栄養満点。牛乳が苦手な子にも、ぜひ食べてほしい一品です。そんなわけでわが家には、さまざまなチーズが常備されています。
 チーズは大きく分けてナチュラルチーズとプロセスチーズがあります。子どもたちがよく口にする給食のチーズや三角形のチーズ、四角く薄いとろけるチーズなどはプロセスチーズです。プロセスチーズはチーズの熟成に使われる乳酸菌を加熱して殺菌しているため、保存性が高く、長く保存しても味に変化がありません。一方、ピザ用チーズやカマンベールチーズなどのナチュラルチーズは乳酸菌が活性化した状態のため、保存とともに味、風味も変わっていきます。ピザ用チーズをプロセスチーズと同じように保存していたらすごい臭いになってしまった、そんな経験はありませんか。ナチュラルチーズとプロセスチーズは保存性が大きく違うため、しっかりと確認して利用することが大切です。
 また、ピザ用などのナチュラルチーズには加熱専用のものがあります。食中毒を引き起こすリステリア菌が付着する可能性がありますが、加熱することで死滅するためです。最近では同じタイプのチーズでも生で食べられるものも出ていますので、用途に合わせて確認してからの調理が必要です。
 わが家では、ピザ用チーズをピザトーストにしたり、クリームチーズをパンに塗ったり、生で食べられるチーズをサラダにトッピングしたり、忙しい日はプロセスチーズをプラス1品にしたり、特に栄養が偏りがちな朝食にチーズが活躍してくれています。チーズそれぞれの特徴を理解して、料理の味と栄養アップに大活躍してもらいたいと思います。

岡村 麻純(おかむら ますみ)お茶の水女子大学植物科学講座卒業。
食育インストラクター。男女3児の母


野菜もの知り百科 ニンジン(セリ科ニンジン属)

 ニンジンやパセリなどの種は、セリ科独特の強い香りがします。この香りを嗅ぐと昭和30年代の薄暗い種苗店にタイムスリップします。当時の種苗店は量り売りで、顧客の目の前の升で量る種が信用できると考えられていました。少し山盛りにしてもらい、買う人は得した気持ちになりました。袋詰めの種はよろず屋(雑貨屋)の委託販売で、一段低く見られていました。
 ニンジンはアフガニスタン原産で、東西に伝わり東洋系と西洋系になりました。日本にはシルクロードを経て、江戸時代初期に長根種の東洋系が渡来しました。団塊の世代が小学校の図工の時間に描いたニンジンはゴボウのように細長いものでした。長根種はニンジン臭さがあり、子どもが大嫌いな野菜の一つでした。掘り上げも流通も大変なため、昭和40年代には「金港四寸」や「黒田五寸」などの短根種の西洋系が主流となりました。
 四寸は約12cm、五寸は約15cmで、根長を意味します。農業では今でも尺貫法が多く使われています。作付面積も10aや1000平方mよりも1反や1町の方が分かりやすいです。ビニールハウスを建てるときも間口3間、奥行10間の30坪などといいます。
 最近は、子どもも健康志向の大人もニンジンジュースを喜んで飲むようになりました。ベータカロテンが豊富で甘く、癖が少ない短根種の品種改良が進んだからです。
 ベータカロテンの「カロテン」は英語の「キャロット」からきていて、がんや動脈硬化などを予防する効果があるといわれています。油に溶けやすく、炒め物など油で調理すると吸収が良くなります。ベータカロテンは表皮のすぐ下に最も多く含まれているので、できるだけ皮はむかないようにします。
 ニンジンは料理に赤色を添え、食欲を増進させてくれる欠かせない野菜です。徳島県、千葉県、北海道など、収穫時期の違う産地リレーによって周年供給されています。

藤巻久志/野菜研究家、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

あなたもチャレンジ! 家庭菜園 ナス 長い期間の収穫を楽しむ

 ナスのふるさとは、日照量が多く高温のインドです。夏の酷暑でも適切な管理を行えば、夏から秋まで長く収穫を楽しめます。煮る、焼く、揚げる、漬けると用途は多様です。「ナス紺」と呼ばれる色素はアントシアニンの一種で、活性酸素を抑制し、血管をきれいにする効果があります。
[品種] 長卵形の「千両二号」(タキイ種苗)、長形の「筑陽」(タキイ種苗)、また地方には在来品種の小ナス、丸ナス、水ナスなど多様な品種があります。
[苗の選び方] ナスの育苗期間は2カ月程度と長いため、苗の購入が便利で、特に土壌病害の青枯病を予防するためには、接ぎ木苗がお薦めです。良い苗は、①本葉が7~9枚ほどで、双葉が残っている ②幹が太くて、全体的にずんぐりしている ③葉脈は鮮やかな紫色 ④1番花、あるいはそのつぼみが付いている ⑤根はポットの底から出そうなくらい、しっかり張っているものです。なお、市販苗が若苗の場合は、一回り大きいポットで1番花が咲くまで育てましょう。
[畑の準備] 植え付け2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまいて耕しておきます。1週間前に幅100~120cmの栽培床を作り、中央に深さ20cmの溝を掘り、溝1m当たり化成肥料(NPK各成分10%程度)200gと堆肥2、3kgを施し、よく混ぜておきます(図1)。
[植え付け] 中間地では遅霜の恐れのないゴールデンウイークが適期で、1条植えでは株間60cmとし、ポリフィルムでマルチをして地温を上げておきます。
[誘引・整枝] 植え付けと同時に仮支柱を斜めに挿し、株を支えます。1番花の下から出る勢いの良い2本の側枝を残し、他はかき取ります(3本仕立て)。その後、1m以上の支柱2、3本を交差させて固定します(図2)。
[追肥・灌水(かんすい)] 収穫が始まる頃からマルチフィルムの裾をめくって、1平方m当たり化成肥料50g程度を株元にまき、土寄せします。その後、2週間置きに畝の裾に同量を収穫中休みなく与えます。草勢の判断目安は、健全な花は花柱(雌しべ)がやく(雄しべ)の上に出ている状態です(図3)。また、みずみずしいナスを採るには、十分な灌水が必要で、特に高温乾燥期には毎日灌水します。
[更新剪定(せんてい)]中間地では盛夏(7月中旬~8月上旬)になると、枝が込み合い、葉が茂って果実への日当たりが悪くなってきます。この頃に全体の3分の1~2分の1の枝を切り詰める剪定を行い、追肥をして十分な灌水をします(図4)。約1カ月後に良い秋ナスが収穫できます。
[病害虫防除]アブラムシ類、ハダニ類にはマラソン乳剤など、テントウムシダマシにはスミチオン乳剤などで防除基準に従って防除します。
[収穫] 開花後20日程度のつやのある若い果実を収穫します。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎

















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