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家庭菜園・家庭園芸  2024年2月

私の食育日記 ゼリー作りの寒天とゼラチン

 お菓子作りが大好きな娘。特にゼリー類はおやつの時間に小まめに作ってくれます。果物たっぷりのゼリーや、ジュースや牛乳で作ったゼリーなどさまざま。最近は見た目にもこだわっていて、星形ゼリーや宝石ゼリーなど華やかです。
 そんなゼリー作りに使われているのが、ゼラチンや寒天です。この二つは、どちらも液体をゲル化して固める性質を持っています。ゼラチンの原料は、人間の体内にも含まれるコラーゲンです。よく煮魚の煮汁や鶏肉の煮物が冷めるとゼリー状に固まっていることがありますが、これがゼラチンと同じ、コラーゲンによるゲル化です。この性質を利用して作られるのが、煮こごりという料理です。私たちがお菓子作りに使うゼラチンはこのコラーゲンを水に溶けやすく処理したものです。ゼラチンの特徴は、溶ける融解温度が20度から30度と低めで、固まる温度も13度ほどです。ですので、冷たく食べるとおいしいものに適しているといえます。融解温度が低めな分、口の中で溶けるような舌触りになるため、滑らかなデザートにしたいときはゼラチンがお薦めです。
 一方、寒天は、海藻の紅藻類から作られ食物繊維も豊富で便秘やおなかの調子を整える効果もあるといわれています。寒天は溶ける温度が68度から84度、固まる温度も25度から35度と高めなので、ゼラチンに比べて室温でもしっかりと固まってくれるのが特徴です。そのため娘にも、型抜きゼリーや形作ったゼリーにしたいとき、しっかり固めたいときは寒天を使うように勧めています。パイナップルやキウイなどは、タンパク質分解酵素が含まれているためゼラチンでは固まりませんが、寒天ならば、これらのゼリーも作ることができます。
 娘には、両方の性質をよく理解して、作りたいイメージに合わせて使い分けてほしいと思っています。 

岡村 麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。男女2児の母


野菜もの知り百科 ホウレンソウ(ヒユ科ホウレンソウ属)

 国内で栽培されているホウレンソウは、1970年代初頭まで固定種のとげが付いた針種の東洋種でした。とげが指に刺さるととても痛く、種まきには苦労しました。今はほとんどが西洋種と東洋種を掛け合わせた丸種のF1(交配種)です。
 ホウレンソウの原産地は中央アジアで、初めて栽培されたのはペルシャ(現イラン)といわれています。ホウレンソウは漢字で「菠稜草」と書き、「菠稜」は中国語でペルシャのことです。日本へは17世紀にシルクロード経由で、葉に切れ込みのある剣葉の東洋種が伝わりました。
 西洋種はオランダで改良が進み、主に丸葉でとげのない丸種の品種になり、19世紀には米国に伝わりました。日本には明治時代に導入されましたが、土臭いためおひたしやみそ汁の具には向かず、バター炒めなどに利用されました。
 ホウレンソウは風媒花の雌雄異株植物で、雌花しか咲かない雌株と、雄花しか咲かない雄株が出現します。F1は、とう立ちが遅く病気に強い西洋種を雌親に、品質の良い東洋種を雄親にします。雌親品種に出る雄株は花が咲く前に抜き取ります。F1は両親の良いところ取りで、病気に強くて品質の良い、種まきしやすい丸種になります。
 ホウレンソウは冷涼な気候を好み、長日になるととう立ちするので、夏の栽培はとても難しい野菜でした。しかし、80年代になると品種改良とコールドチェーン(低温流通)の発達により、周年店頭に並ぶようになりました。生育が早く年に10回以上も収穫できる水耕栽培や、寒さに合わせて葉を肉厚にして甘くする寒締め栽培も増えています。
 ホウレンソウは草丈25cm前後で流通していますが、実際には35cm以上になったものの方がおいしいです。根は1m以上にも伸び、葉は成熟すると各種の栄養成分が濃くなります。外食産業では大きいホウレンソウをソテーなどにしています。

藤巻久志/種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。


あなたもチャレンジ! 小玉スイカ 甘みが強く手頃な大きさ

 スイカはアフリカ南部カラハリ砂漠が原産のため、高温、強い光と乾燥でおいしいものが取れます。中間地では温床内で3、4月に種をまき、7、8月に収穫します。生育と病気に強い接ぎ木苗が市販されており、利用すると便利です。
[品種] 家庭菜園では重さ2、3kg程度の小玉スイカがお薦めです。赤肉球形では「姫甘泉」(丸種)、「紅しずく」(タキイ種苗)、「紅こだま」(サカタのタネ)など、赤肉楕円(だえん)形では「姫まくら」(丸種)、「マダーボール」(ヴィルモランみかど)などがあります。
[種まき] 温床マットなどで25~30度に加温したトンネル内(図1)で培養土を詰めた9cmポリポットに3粒ずつ種をまきます。本葉が出始めた頃には夜温15~20度に下げます。その後、良い苗を残し間引いて1本にし、本葉4、5枚の苗にまで育てます。
[畑の準備] 植え付け2週間前までに1平方m当たり100g程度の苦土石灰を散布し、土とよく混ぜておきます。次に、畝幅250cm、深さ20cmの溝を掘り、この溝1平方m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100gと堆肥2kgを施します。この溝を中心に土を戻して幅90cm、高さ10cm程度のベッド(栽培床)を作り(図2)、黒マルチを張ります。
[植え付けと保温]風のない暖かい日に、深植えにならないよう株間80~90cmに植え付けます。植え付け後は保温と風よけのために、ビニールで30cm角の「あんどん」やドーム状のホットキャップをかぶせます(図3)。あんどんの中が茎葉でいっぱいになったら取り外します。
[整枝・敷きわら・追肥]本葉5、6枚で摘心し、強い子づる4本を伸ばします。つるが伸びていく場所にわらやつるが絡むシートを敷き、つるを片方に振り向けて重ならないように配置します(図4)。つるの長さが50cm程度と果実が卵大程度のとき、1株当たり化成肥料50g程度をつる先に散布します。
[人工交配・摘果]強い子づる3本に着果させるため、親づるから数えて15~20節目の雌花全てに交配します。早朝(9時ごろまで)に雄花を切り取り、花粉を雌花の柱頭になすり付けます。このとき、交配した雌花の近くに交配日を記したラベルを付け、収穫適期の目印にします。果実がこぶし大のときに変形果を摘果し、各つる1果(計3果)取りを原則とします。
[病害虫の防除]茎葉が日中しおれ、茎が割れるつる割れ病には、接ぎ木苗を使います。うどんこ病、アブラムシ、ハダニなどが発生したら登録農薬で防除します。
[収穫]小玉スイカは開花後(交配後)35~40日で熟してきます。収穫適期は、①巻きひげが枯れている ②果実の肩が張り光沢が出ている ③果実の尻の部分がへこみ、指で押すと弾力を感じる ④地面に付く果皮が濃黄色となるなどでも判断できます(図5)。


※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
園芸研究家●成松次郎





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