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今月の農業(2021年3月)

今年の稲作重点目標「土づくりと基本技術の励行」

適地適品種の栽培と秋勝り型の稲づくりをすすめましょう!!

気象変動に負けない米づくりは土づくりから!!

 近年、温暖化の進行が近江米の収量・品質に大きな影響を及ぼしています。
 昔から「稲は土でつくる・麦は肥でつくる」と言われており、地力は水稲の収量・品質に大きな影響を及ぼします。気象の温暖化や田畑輪換による水田の乾田化によって、水田の地力は大幅に低下していることが考えられます。また、米が登熟していく時期に高温が続くと、乳白粒や心白粒などのいわゆる白未熟粒の発生が多くなりますが、この時期に肥効が不足するとさらに白未熟粒の発生を助長します。
 さまざまな気象変動にも負けない近江米の安定生産と品質向上のために、土づくりの基本から取り組みましょう。
※詳細は令和3年産水稲栽培ガイドラインや春期農談会資料をご参照ください。

適地適品種の栽培と秋勝り型の稲づくりを!!

■適地適作~地力・気象条件に応じた品種選定と栽培を徹底しよう
*特別栽培米:病害虫発生が少ない圃場・みずかがみ、コシヒカリ等推奨品種
*一般栽培米:特別栽培米や多収米以外の圃場、品種で対応可能
*多収栽培米:肥沃な圃場・キヌヒカリ、ゆめおうみ、日本晴など

健苗の適期田植ときめ細かな栽培管理の徹底!!

■望ましい播種時期は日平均気温が10℃以上、田植時期は日平均気温15℃以上が適期です。
*湖辺・平坦地域では、播種は4月上旬以降、田植は5月上旬以降となります。
*中山間地域では、播種は4月中旬以降、田植は5月中旬以降となります。
*浸種中に水温10℃以下になると種子の発芽が悪くなるので注意してください。
*収量・品質に影響しない田植時期の晩限は5月下旬頃です(出穂の晩限は8月末)。
*コシヒカリやキヌヒカリは、出穂期の高温による心白・乳白などの白未熟粒の発生が増加しています。この品種の播種・田植は下表の適期範囲内でなるべく遅い時期に行ってください。

■販売用の米は全量種子更新しましょう。
 稔実の良い健全な種子を厳選し、種子消毒の前に塩水選を行います(塩水選ができないときは真水に浮いた種を取り除くだけでも良いです)。

〈播種作業の手順〉
*温湯消毒は60~62℃の温湯に10分間浸漬します(温度・時間を正確にする)
*袋のまま温湯に浸漬するときは、中まで温湯が届くようよくかき混ぜる。
*温湯消毒終了後は、直ちに冷水をかけ流し、袋の中心部までかき混ぜながらよく冷やす。
*冷却後はそのまま引続き浸種する(水温10~20℃で6~7日間、積算温度100℃が目安)
*温湯消毒後、種籾を一時保管する場合には、種籾を完全に冷却後、確実に風乾する。
*ご注意!!
冷却や乾燥が不十分なまま、種籾を放置すると発芽が非常に悪くなります。ひどいときは、苗箱一面にかびが発生したり腐敗します。

*催芽は30~32℃で1~2日、はと胸程度にする(伸ばしすぎない)。

〈温度管理の手順〉
*出芽揃いから2週間頃まで昼間は30℃以下、夜間は10℃以上で管理します。
*その後は日中10℃以下の日及び雨天と夜間のみ被覆し、それ以外はハウスやトンネルを全開にします(降霜の恐れがある夜間には被覆します)。

〈中苗の苗代発芽方式の場合〉
*トンネル育苗では、温度変化が大きく、外気温の影響も受けやすいので、低温の夜にはトンネルの上に保温シートなどで保温に努めます。
*出芽揃い後は、トンネル内温度が最高35℃、最低10℃の範囲となるようトンネルに穴をあけて温度を調節します。35℃以上では裾を上げて通風します。
*水は、一旦、苗箱の上面いっぱいに水を張って苗箱に十分給水し、その後は苗箱の床下まで水位を下げます。トンネル開放後は異常低温、霜の恐れのあるときは事前に深水にします。

プール育苗のしかた

「育苗方法」
●水平な置き床にビニールを敷き、苗箱を超えない程度の水深に湛水できるプールを作ります。
●播種後または、出芽後の育苗箱をこのプールに並べ、必要に応じてプール内に水を入れて管理する育苗方法です。
「主な作業手順」
⑴置き床をできるだけ水平にします。
⑵高さ5~7㎝(苗箱を超えない)程度に湛水できるプールを作ります。
⑶育苗箱を準備し、播種作業を行います。
⑷置き床に育苗箱を並べ、必要に応じてプールに水を入れます。
 水管理に必要な作業は、水道の蛇口の開閉だけで、4~7日に1回程度です。
⑸ハウス内の温度はできるだけ低め(最高温度で25℃以下)に管理し、最低気温が4℃以下の場合は、サイドビニールを閉じて水を張ります。
⑹追肥が必要な場合は、従来のように肥料溶液を苗の上から灌注するか、肥料の溶液をプール内に流し込みます(肥料による濃度障害に注意)。
「水管理」
●プール内に水を入れる時期は、緑化終了後で床土がやや乾き始めた時で、従来の育苗方法における、1回目の灌水時期と概ね同じ時期です。
●無加温では出芽揃い後に入水します。
●その後は、プール内の水がなくなり、床土がやや乾いた時に水を入れます。
●水を入れる時間帯は、朝、昼、晩、いつでも構いません。
●灌水作業は水道の蛇口の開閉だけです。
●ビニールシートに穴が開いていて、一晩で水がなくなるような場合は、床土が乾燥したら水を入れます。
●水の深さは床土の高さより深く、苗が水没しない程度にします。
●緑化が終了したら、直ちにプールに水を入れ、床土の上面まで常時湛水状態を保つと、リゾップス菌や籾枯れ細菌病等の発生を軽減することができます。
「移植時の留意点」
●移植2~3日前に落水して育苗箱を軽くします。
●プール育苗の苗は、水分の豊富な条件で育っているため、慣行育苗の苗に比較すると、乾燥に弱い性質があります。
●移植前に苗箱を圃場に運搬する時は、乾燥しやすい畦畔等に長時間放置しないよう注意します(圃場に長時間放置する場合には、時々、潅水します)。


麦類

実肥

 小麦の実肥は、4月下旬頃に硫安を10a当たり20㎏程度施用してください。茎数が少ない場合には施肥量を半減してください。穂肥に麦用セラコートR2500を施用した場合には実肥は不要です。「びわほなみ」増収体系で3月に尿素10㎏/10a施用した場合には4月下旬に生育状況を見て硫安10~20㎏/10a施用してください。
 大麦・ビール麦には実肥は不要です。
 *施肥基準の変更内容は本紙2月号をご確認ください。

排水対策

 前号にも記載しましたが、麦の湿害は土壌中の水分過剰による酸素不足により発生し、収量だけでなく品質が著しく劣化します。特に、透水性の悪い圃場では影響が大きいので注意してください。また、麦の茎立ちとともに一段と湿害の影響を受けやすくなりますので、排水溝の管理を徹底してください。
 稲作が始まると、水田の用水路に水が流れ始めます。麦の圃場に漏れ出さないよう早めに確認しておいてください。

赤かび病の防除

 病害虫発生予報を参考に実施してください。小麦、大麦ともに1回目の防除は開花初めの時期です。2回目の防除は、1回目防除実施後7~10日後です。
 詳しくは、令和3年産麦類の栽培ガイドラインをご確認ください。
 薬剤の使用にあたっては、薬剤のラベル記載事項をよく読み、適正にご使用ください。

効果的な雑草防除

MCPソーダ塩

 カラスノエンドウ、スズメノエンドウ等に効果があり、使用時期は、麦の幼穂形成期です。目安は、麦の幼穂が約1㎜、草丈20~25㎝の頃です(収穫45日前まで)。
 平年並の生育では2月下旬~3月上旬頃が幼穂形成期となり、MCPソーダ塩の散布時期です。
●MCPソーダ塩は、分げつを抑える作用があるので茎数を確保してから散布してください。
●雑草茎葉処理で効果を発揮するので、雑草の発生揃いの時期に散布してください。特に、カラスノエンドウ、カスマグサ、スズメノエンドウは、春先3月頃に発芽するので、防除時期は使用適期の範囲で遅い方が効果は高くなります。
 ただし、麦や雑草が繁茂し、薬剤が雑草に十分かかりにくくなると薬効が劣ります。
●高温・晴天時ほど除草効果が高くなるので、低温時や曇雨天の散布は避けます。
●散布直後に降雨にあうと効果が悪くなるので、降雨前の散布は避けます。

ハーモニー75DF水和剤

 ハルタデの防除時期は、麦の節間伸長前です。
 生育が平年並の場合、2月下旬~3月上旬頃が防除時期です。
●雑草茎葉処理で効果を発揮するので、ハルタデの発生を確認してから薬剤を散布します(シロザにも効果が認められています)。
●散布直後に降雨にあうと効果が悪くなるので、降雨前の散布は避けます。
注意
 播種後に、ハーモニー細粒剤Fを散布した圃場には、ハーモニー75DF水和剤は使用できません。

*施肥・防除等、詳しくはJA各支店営農経済課担当者にご相談ください。

農作業事故防止にもご注意!!
 トラクタが活躍するシーズンです。トラクタによる死亡事故は県内でも毎年発生しています。その主な原因は、圃場への出入りや農道移動中の転倒・転落事故です。事故のないよう十分注意しましょう!!!




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