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今月の農業(2021年8月)

水稲

 今年の夏の天候は3ヶ月予報によると、気温は平年並み~やや暑い、雨は平年並み程度と予想されているようです。  水稲の生育は、草丈、茎数ともに平年並みと見られますが、圃場条件や田植日によって生育の差が大きいようです。今後の管理の要点は、水管理、病害虫の被害防止と適期収穫がキメテです。

落水の目安は籾が黄色になり始めた頃

 登熟期に⾼温が続くと、⽩未熟粒が発⽣し、品質が低下します。落⽔時期が早すぎると、登熟不良による胴割粒や未熟粒等が増加して外観品質が悪くなり、⽞⽶中のタンパク質含有率が⾼くなるので、⾷味も悪くなります。
 出穂期前後3週間は湛水状態を保つようにし、コンバイン収穫に⽀障がない範囲で落⽔時期は遅めとし、水分補給と地温の上昇防止に努めてください。特に、砂質土壌や下層が礫層で水もちの悪い地帯では、水不足になると葉色がうすくなり、下葉が枯れあがったり、背白・基部未熟粒が多くなる原因となります。間断かんがいや浅水湛水によって、根に酸素をあたえながら十分な水分補給を行ってください。
 また、登熟期の湛水は有害物質のカドミウムの吸収抑制にも有効です。食の安全面からも出穂期前後にはくれぐれも水不足のないように注意してください。
 湛水期間終了後は収穫作業に支障がない限り、出来るだけ遅くまで管理溝に水を通すなどして水分を補給し、良い米づくりに努めましょう。
 なお、水は限りある貴重な資源です。地域の水利施設の計画に従って無駄のないように大切に使いましょう。

高温による肥効不足に注意

 高温の日が続くと、背白粒・基部未熟粒、胴割粒の発生が増加しやすくなります。
 ほとんどの品種では穂肥は施用済みと思われますが、高温の日が続くと登熟期に肥効不足になりやすいので、葉色がうすい場合には、穂ばらみ期~出穂期にかけての葉色が「コシヒカリ」では、葉色板4.5~5くらい、「キヌヒカリ・日本晴・秋の詩」などの品種では葉色板5~5.5を目標に穂肥を追加してください。
*出穂期以降に曇雨天が続く場合には、穂肥が多すぎると穂いもちや未熟粒の増加など品質が著しく劣化し、食味低下にもつながるので、注意が必要です。

胴割米は商品価値ゼロ!!出穂後の水不足と刈り遅れにご注意を…

 稲は出穂後の日平均の積算温度が約1000℃で完熟します(コシヒカリやキヌヒカリでは出穂後約35日)です。出穂後に高温が続いたり、水不足になったり、穂肥の肥効が十分でないと、これより早く成熟するので、刈り遅れないように注意してください。
 刈り取り適期のめやすは、平均的な穂の籾が85~90%程度黄化したときです。米粒は、爪で押しても壊れない程度に硬くなります。穂軸や枝梗の色でなく、籾をよく見て判断しましょう。
 成熟期より早く収穫すると、米粒の光沢は良くなりますが、粒張り不良や青米が増加して、品質が低下します。収穫が遅れると、胴割粒、穂発芽粒、茶米などが増加して外観品質が著しく悪くなります。
 収穫後の生籾は直ちに通風乾燥するか乾燥施設に搬入しましょう。品質事故防止のため翌日の搬入は厳禁です。

斑点米カメムシ類防除

 斑点米「カメムシ類」は、畦畔などのイネ科雑草で増殖します。出穂期前後に畦畔の雑草等を刈り取り、カメムシ類の生息密度を抑えると斑点米「カメムシ類」の被害防止に有効です。カメムシはイネ科雑草に集まりやすいので、出穂3週間前頃と出穂期頃の2回以上草刈を行うようにしてください。
 また、薬剤防除にあたっては各地域の防除協議会の計画等に従ってください。薬剤防除を行う場合、圃場周辺に雑草が多いと薬剤の効果が悪くなります。雑草の刈り取りを済ませてから薬剤を散布しましょう。
 なお、農薬を使用するときは、ラベルに記載の注意事項に従って、適正に使用しましょう。散布作業にあたっては、作業に適する服装やマスク着用など、作業安全にも注意しましょう。先月でもお知らせしましたが熱中症にもご注意ください。

環境こだわり農産物認証申請

 水稲の場合は収穫開始25日前までに認証申請書と生産記録などの提出が必要です。各地域の環境こだわり部会事務局の指示に合わせて書類をご準備ください。


異品種混入防止
異品種の混入防止は、産地としての信頼を高めるために非常に重要な事項です。次の事項について格段の努力をお願いいたします。
収穫前に、成熟期・草丈・芒の色や長さなどが異なる稲を抜き取ってください。
収穫乾燥調製に使用するコンバインなどの機械やフレコンなどの容器は、異なる品種を扱う前に、清掃を確実に行ってください。
*飼料⽤⽶の収穫乾燥調製作業は、主食用米への混入防止のため、主食用米より後に行いましょう。

みずかがみの収穫・乾燥調製
「みずかがみ」は8月末が収穫適期です。
乾燥仕上げ籾水分は14・5%です。過乾燥や胴割れ防止に注意しましょう。
玄米の選別は1.85㎜以上の選別網を使用し整粒歩合80%以上に仕上げてください。

台風対策
穂ばらみ期~出穂期にかけて強風の被害を受けると、脱水による白穂や不稔粒の発生、倒伏による穂発芽等の被害が発生します。そのため、台風前には、稲に十分な水分補給を行うとともに地ぎわからの倒伏を軽減するために、台風の前には出来るだけ深水で管理しましょう。
大雨が予想されるときは事前に用水路や排水路を点検し、圃場への浸水や冠水を防ぐとともに、台風通過後は出来るだけ早く排水に努めてください。なお、稲の葉や穂に傷がつくと「いもち病」や「白葉枯病」、冠水すると「黄化萎縮病」などが発生しやすいので注意が必要です。
*倒伏した稲や穂発芽した籾は別扱いしましょう。

麦作準備
今秋に麦作を予定している圃場は、雨上がりなど、湿田状態での収穫作業は避けてください。また、稲収穫後、なるべく早く、圃場周囲に排水溝を設置しておきましょう。
完熟堆肥や土力じまんを散布し、プラウで反転耕耘すると土壌の排水性が良くなり、地力も向上するので良質麦の生産には、さらに効果的です。
来年の跡作大豆にも効果があるので、ぜひ、今年から実行してください。

大豆

干ばつ対策(畝間潅水)

 大豆は、開花期以降には多量の水分を必要としますが、播種~開花期頃までに湿潤な状態が続くと写真のように「たて根」の伸長が悪くなり、開花期以降に高温乾燥の状態になると干ばつの影響を受けやすくなります。
 開花期から登熟期にかけて7日以上降雨がなく、大豆の葉が全体の半分以上裏返しになってきたら、畝間に水を流して、水分を補給してください。
 ただし、日差しの強い昼間に水がたまると根腐れなどの原因となるので、潅水はなるべく夜間に行い、畝間に水が一通り行き渡ったら直ちに表面水を排除してください。

中耕培土は遅れないように!!

 中耕培土の適期は大豆の本葉2~3葉期と本葉7~8葉期頃です。大豆の花が咲き始める頃までに2回実施してください(詳しくは、本紙7月号または大豆栽培ガイドラインをご覧ください)。
 中耕の時期が遅れると根が切れたりして、「青立ち」の発生や着莢が悪くなるなど逆効果になります。必ず花が咲き始めるまでに実施してください。

雑草防除

 生育期茎葉処理剤には、広葉雑草対象の大豆バサグラン液剤やイネ科雑草対象のポルトフロアブルのように畑全体に散布できる選択性薬剤と、バスタ液剤のように畦間・株間のみに散布できる非選択性除草剤もあります。いずれの除草剤も、大きくなりすぎた雑草には効きが悪くなるため、散布適期を逃さないようにしましょう。詳しくは、2021年産大豆の栽培ガイドラインをご覧ください。

病害虫防除

 大豆は莢の肥大期に害虫の被害を受けると品質・収量ともに著しく悪くなります。こまめに圃場を巡回し、害虫の早期発見に努めましょう。
 カメムシやハスモンヨトウなどの子実害虫は、開花期以降、7~10日おきに防除を実施し、高品質大豆の生産に努めましょう。






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