JAグリーン近江について

支店・直売所、事業概要などをご案内します

今月の農業(2021年9月)

「みずかがみ」「コシヒカリ」特A格付けをめざす 収穫・乾燥・調製のしかたで品質・食味がきまる!!

水稲

収穫直前までの管理

 本紙先月号でもお知らせしましたが、収穫直前まで間断かんがいを行い、稲の根に水分を供給するようにしましょう(田面に手をあてると手のひらに軽く水気を感じるような状態が望ましい)。
 特に、水田が砂質の地帯では、早く水分が切れると籾が完熟するまでに稲が枯れ上がってしまい、米粒の肥大が悪くなったり、白未熟粒や胴割粒が多発しやすくなります。収穫直前まで水管理をこまめに行ってください。

稲刈りの適期の見分け方

 稲は出穂・開花後に籾粒が太りだし、出穂後の日平均気温の積算気温950~1,000度で成熟します(日平均気温27度では出穂後35~37日)。籾は米粒(胚乳)の肥大が終わると乾燥して硬くなり、爪で押しても壊れない強度になり、黄熟籾85~90%が収穫適期となります。
●収穫時期が早すぎると、米の光沢は良くなりますが、粒張り不良や青米が増加します。
●収穫が遅くなると、胴割粒、穂発芽米、茶米などが増加します。
●登熟期の気温が高いと胴割粒が増加しやすくなります。
 いずれの場合にも食味や品質が落ち商品価値が下がるので、適期収穫を励行しましょう。

収穫前の落水

 コンバインで収穫作業をするために、早くから落水して土を硬くすることがありますが、落水が早すぎると登熟不良となり、収量・品質が悪くなるのでご注意ください。
●収穫前の落水時期を遅くするには、中干しを行って土を硬くすることがコツです。
●乾きの良くない圃場では、収穫前の落水をスムーズにするため、中干し時に溝切りしておくと効果的です。収穫前に田面が白乾する場合には、この溝に水を流して水分を補給してください。

コンバインの準備

 コンバインは、倉庫から出したら、必要箇所に注油・注脂を行い、エンジンオイルや冷却水も点検しておきましょう。ベルト類や軸受け等、回転部も使用前の点検が重要です。刈り取り部の刈刃、排わらカッター、脱穀部の切り刃などの切れ味も確認しておきましょう。
●収穫作業の前には、異種穀粒や異品種の混入防止のため、掃除口を開けて内部の穀粒を取り除きましょう。麦収穫に使用したコンバインは特にていねいに掃除してください。

乾燥・調製

 暑い時期に収穫直後の生籾をそのまま放置すると変質します。収穫後4時間以内に乾燥施設に搬入するか、乾燥機に投入して通風してください。収穫作業は、必ず乾燥施設の荷受計画や乾燥機の能力に合わせて行い、生籾のままで4時間以上放置することのないようにしてください。
 自家乾燥を行う場合には、最初の数時間は常温通風し、籾の水分ムラを少なくしてから加温乾燥をはじめてください。仕上げ籾の水分は15%を厳守してください(籾水分15%で乾燥を終了すると放冷後に0.5%程度水分が減少し、仕上げ籾水分は14.5%になります)。もち品種や酒米品種は、籾水分17%前後で10時間以上乾燥を休止し、籾水分を均質化してから15%に仕上げてください。
 籾摺りは乾燥終了後、必ず1昼夜以上放冷してから行います。
 米選機の網目は1.9㎜(「みずかがみ」は1.85㎜)を使用し、整粒歩合80%以上に仕上げましょう。
●倒伏した圃場や病害虫が多発した圃場の籾は必ず別扱いとし、健全籾と混入しないようにしましょう(自家乾燥の場合もJA施設利用の場合も同様です)。

異品種・異種穀粒・異物混入にご注意!!

 取り扱う品種が変わるごとにコンバインやフレコン、乾燥機などを完全に清掃し、異品種や前作の麦類、雑草や土砂などが混入しないよう注意しましょう。クサネムなど雑草種子の混入を防ぐためには、収穫前に圃場の雑草を抜き取ってください。またネジなどの小さな機械部品が脱落しないよう、シーズン前や作業の前後には機械の点検整備を完全にするとともに、乾燥調製の作業スペースの清掃整理も大事です。
 なお、昨年の「こぼれ籾」や「ひこばえ」による裸地生えが目立つところがあります。昨年と異なる品種を作付けた圃場で、裸地生えの十分な抜き取りができてないところは別扱いとしてください。
 来年度の栽培品種が変わる予定の圃場では、「こぼれ籾」による裸地生え防止のため、秋起しが有効です。土づくりや雑草防除をかねて、土づくり資材を散布したらなるべく早めにプラウ耕などで深耕し、地表面のこぼれ種や雑草種子を地中に埋め込むようにしてください。

麦作予定地の準備

 田面が柔らかい状態で収穫作業を行うとコンバインの轍ができ、麦の播種に支障をきたすことがあります。今秋に麦の播種予定の圃場では、田面を硬くしてから収穫作業を行いましょう。また、稲収穫後は、圃場周囲に排水溝をつけ、雨が上がれば田面がすぐに乾く状態にしておきましょう。
 また、堆肥や「土力じまん」などの土づくり資材を散布してからプラウによる反転耕を行い、田面が白くなるくらいに十分乾燥させてください。

土づくりを徹底し来年にそなえよう

 「とれ太郎」を10アール当たり3~4袋施用し、ケイ酸やリン酸、鉄分などの養分を補給するとともに完熟堆肥などの優良な有機物を施用し、土壌中の微生物の活動を助け養分を保持する能力を高めるようにしましょう。
 稲わらを気温が高い時期に鋤き込めば土づくり効果が期待できます。あわせて15㎝以上を目標に深耕を行い根の伸びる範囲を広くし、根の働きを高めるようにします。
●作物残渣や雑草を早めに鋤き込んでおくと田植後の土壌還元や藻の発生防止にも効果があります。
●イネ縞葉枯病、ニカメイガの越冬防止のため、稲の刈り株を鋤き込みましょう。

①品 種

■小 麦
 「びわほなみ」という新品種を導入しました。今秋播きは、当JA管内全域で「びわほなみ」に転換します。
 この品種は、従来の「農林61号」にくらべて成熟期はやや早い、倒伏にも強いという特徴があり、製麺適性も良好な品種ですが、赤かび病には弱いという欠点があります。
 赤かび病の防除は必ず2回行い、発生が多いときには、さらに3回目防除が必要です。
 播種時期は、従来の品種より少し遅め(湖辺平坦地では11月10日頃が適期)にし、穂肥重点の施肥方法が有効との特徴があります。
 排水対策、土づくり等は従来品種と同様ですが、施肥量など栽培基準が一部変更になります。詳しくは、令和4年産麦の栽培ガイドラインを参照ください。
 詳しくは、最寄りの当JA支店または担当TACとご相談の上、種子・肥料・農薬等の準備をお願いします。
■大 麦
 2019年産より、すべて「ファイバースノウ」にかわりました。「ミノリムギ」より成熟期はやや早い、倒伏には強い、硝子粒が出易いという特徴があります。肥もちの良い田や肥沃田では追肥・穂肥が多すぎないようにしてください。
 水はけの良い砂質土壌の地帯では、元肥より追肥・穂肥を重視する施肥方法を工夫しましょう。詳しくは令和4年産麦栽培ガイドラインを参照するか、最寄りの当JA支店または担当TACとご相談ください。
■ビール麦
 品種は、従来どおり「ニューサチホゴールデン」です。赤かび病防除は、必ず2回行い、発生が多いときには、さらに3回目防除が必要です。

②湿害防止

 麦づくりは 排水対策が何より重要です。
 麦を播種する予定地には、稲の収穫が終われば直ちに圃場の乾田化にむけて準備を始めましょう。圃場の周辺にできるだけ深めの排水溝をつけ、弾丸暗渠を交差させると効果的です。プラウによる反転耕も有効です。表面が良く乾いてから砕土耕耘・播種を行ってください(プラウ耕のあと、表面が湿ったままで砕土耕耘・播種を行うと排水効果が悪くなり麦の出芽やその後の生育に支障を来たします)。
■排水対策
 排水対策は、土壌の状態にあわせて効果的に行いましょう。

*麦作圃場は、降雨後1日以内に田面の雨水を排除できるようにしてください。
*播種適期は「びわほなみ」はやや遅め(11月10日頃)です。その他品種は11月上旬が播種適期です。
 無理な早播きは黒節病などが発生しやすいので、適期播種を心がけてください。
 国道307号線より東の地域では10月下旬から播種可能です(播き遅れたときには、播種量を1割増量してください)。
*稲の収穫作業を湿田状態で行うと、田面にコンバインの大きな轍ができ、水はけが悪くなり、麦の発芽や生育に影響します。麦作予定地の稲収穫作業は、田面を良く乾かしてから行いましょう。
*ばら播種を行なう場合には、近隣圃場へ飛散しないようご注意ください。

③土づくりと深耕

 完熟堆肥や稲わら等の有機物を施用し、土壌の通気性や透水性を改良すると、根の伸長が良くなり、麦の発育が健全になります。稲わらだけでも効果があります。完熟堆肥がないときは「新ふりかけ堆肥eco」、「土力じまん」など、土づくり肥料を施用し、深く鋤込むと効果的です。
 プラウなどで深耕し、作土層直下の耕盤層を破砕すると透水性や通気性が良くなり、湿害も抑えられます。弾丸暗渠の施工やサブソイラーで心土破砕を行うとさらに効果的です。
■土壌の酸度調整
麦の適正な土壌酸度は小麦でpH 6.0、大麦でpH 6.5程度です。「土力じまん」や石灰質の肥料等を施用し、酸度を調整してください。

④稲収穫後に雑草の発生を抑える方法

 稲の収穫後、圃場周囲に排水溝を設置してください。雑草が発生しはじめたら、浅めに全面耕耘し、雑草を土中に埋め込むようにします。再度、麦を播くまでに雑草が発芽し始めたらもう一度全面耕耘して雑草を土の中に埋め込みます。このとき、土づくり肥料や麦の元肥を散布してから全面耕耘を行うと肥料も効率良く施用できます。

 水稲収穫後、早めに全面耕耘ができない場合や、雑草の発生が特に多い場合には、「ラウンドアップマックスロード」を雑草が生え揃った時期に雑草の茎葉に散布してください。

ラウンドアップマックスロード
200~500mℓ/10a+水50~100ℓ/10a


*使用方法/稲収穫後、耕起前または麦播種前に雑草の茎葉に散布する
 使用回数/本剤3回以内(グリホサートを含む薬剤3回以内)
*対  象/一年生雑草及び多年生イネ科雑草

大豆

 大豆はこれから莢が肥大する重要な時期です。
 子実を食害する害虫防除と雑草防除を徹底しましょう。
 害虫防除は、薬剤が莢に十分かかるよう大豆専用噴頭を使うと効果的です。ハスモンヨトウは、多発すると甚大な被害を受けることがあります。定期的に圃場を巡回し、ハスモンヨウの幼虫の食害による食害痕(スカシ葉)や幼虫の発生をみつけたらただちに「ロムダン」などで防除しましょう。
 雑草が多いと、日照、風通しの障害となり、病害虫の巣となります。また、コンバインで収穫するときに子実が汚れて品質を損ねる原因になります。早めから抜き取り、さらに雑草が多いときは除草剤を上手に使って雑草防除を徹底してください。
〈大豆の病害虫防除基準〉
 使用する薬剤は当JA発行「令和3年産良質大豆栽培こよみ」をご覧ください。
*農薬の散布にあたっては農薬ラベルの記載事項を良く読み正しく安全に使用しましょう(特に適用作物名と散布濃度、収穫前日数に注意)。
*農薬散布作業を行うときには、防除マスクやめがね、防除着を着用し、熱中症対策に配慮するなど、作業者の安全対策にも十分ご留意ください。






上へジャンプ