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今月の農業(2021年10月)

「みずかがみ」「コシヒカリ」特A格付けをめざす 来年の稲作に向けての準備

水稲

 食味のよい新品種「みずかがみ」や「コシヒカリ」を化学肥料や農薬に過度に依存しないで、安定的に生産するには水田の土づくりが基本です。
 土づくりは、作物の生育に必要な養分を補給するとともに、土壌中の微生物を活性化し、作物が健全に生育するように水田の環境を整えることが基本です。
 土づくりは一朝一夕にできるものではありませんので、翌年の稲作に備えて毎年根気よく続けましょう。

土づくり

水田には堆肥を入れよう
 稲の収穫作業が終わったらなるべく早く稲わらや麦わらなどの作物残渣とともに牛糞や豚糞など家畜の糞尿のよく醗酵したものを散布してください。散布する量は、一般的には10a当り1tくらいが適量です。
 多すぎると水稲が生育過剰になったり、還元障害が起きたりするので注意してください。

土づくり肥料で作物を健全に
 土づくり肥料は、りん酸やけい酸など作物の生育に欠くことができない養分を補給するとともに、根の生育を助長し、作物を健全に育てることができます。そのことで倒伏の予防や病害虫に対する抵抗性が強くなり、天候不順の年にも安定した米の生産が期待できます。

土づくりの基本は深耕
 プラウなどで反転耕耘を行うと、表面の土や雑草、わらなどを土中に埋め込み、下層の土を表面に引き出す反転効果と、硬くなった耕盤を砕いて作物の根を生育しやすくする効果があります。また、土層は適度な粗さになり、空気を含みやすく、排水も良くなります。

水田の均平作業

 近年、転作跡や圃場の大区画化によって、田面の「凸凹」が目立つようになって来ました。水田の「凸凹」は、「凸」の部分は雑草が生えたり除草剤が効かない、「凹」の部分では苗が冠水したり、生育が遅れたり、圃場全体の排水がうまくできない、などの不都合が起こります。
 圃場が小さい場合や「凸凹」の差が少ない場合には、水稲作付け時に、耕起や代かきのときに手直しができますが、圃場が大きい場合や「凸凹」の差が多い場合には、レーザーレベラーのような機械で均平作業を行います。

レーザーレベラーによる均平
 レーザーレベラーは、レーザー発信機によって田面の高さの基準となるレーザー光線を水平に発光し、トラクタの作業機が田面の高さと基準高さとの差を検知して土を削ったり盛ったりして田面を均平化にする機械です。
 均平作業を行うときは、田面の雑草や作物残渣などをプラウで耕起し、田面をきれいにします。田面がよく乾いたら写真のようにレーザーレベラーで均平作業を行います。レーザーレベラーの機械はトラクタの本体に直接装着する方式と牽引する方式があります。圃場の区画が30a以下の場合など区画が狭い場合にはトラクタ本体に直接装着する方式が小回りしやすいようです。
 均平作業ができたら、圃場の周囲に溝を付けて田面がよく乾くようにしておきましょう。

水田の雑草防除
 近年、除草剤はめざましい発達により「一発剤」など、かなり省力的になってきましたが、除草剤に依存しすぎる傾向があり、一発剤だけでは処理しきれない雑草が増えてきました。
 土づくりとかねて秋に深耕を行うと、多年生雑草の種子や塊茎、地下茎などを埋め込んだり、死滅させて翌年の発生を抑えることができます。冬季間に土壌を乾燥させて何度か耕耘・反転を行いましょう。
 除草剤の効果を高めるためには、「田面を均一にすること」、「水もちを良くすること」です。冬の間に田面の不陸や畦畔を補修しておきましょう。

病害虫の耕種的防除
・ツマグロヨコバイやニカメイチュウは刈り株や稲わらで越冬します。稲刈り後できるだけ早い時期に稲わらや刈り株を地中に鋤き込むと越冬源を減らすことができます。
・イナゴが目立ちます。これは卵鞘が畦際の雑草や稲わらで越冬するので畦際の稲わらや雑草を鋤き込んだり、焼却するなどして適正に処理しましょう。
・紋枯病は菌核で越冬します。畦際の稲わらを処理するとともに、深耕し、菌核を地中深くに埋め込むようにしましょう。
・いもち病は前年の稲わらや籾殻が越冬源になります。被害わらや籾殻は完熟堆肥にするか地中深く鋤き込むようにしましょう。

令和4年産小麦は「びわほなみ」に全面転換
 消費者の国産志向の高まりを受け、国産小麦を使用した商品開発や国産原料への切り替えといった取り組みが全国的に進みつつあります。当JAでは令和4年産(令和3年秋播き)より、県の指導方針もあり、従来の「農林61号」から実需者の評価がよくて多収性の「びわほなみ」という新しい小麦品種に全面的に転換となります。
 麦類の生産は、天候の影響により単収の年次変動が大きく、収量・品質の安定化が大きな課題となっています。特に、湿害の影響が収量・品質を左右する大きな要因となっています。良質な麦の安定生産を実現するには土壌や肥料からの窒素をうまく活用できるよう根の状態を活性化することが最も重要です。とりわけ、土壌の排水性の改良や土壌の㏗の調整(目標㏗6.5)や有機物や不足養分の補給など土づくりの対策が特に重要です。

栽培ガイドラインの要点

1.雑草対策
①耕起・播種前の生育の雑草にはラウンドアップマックスロードの茎葉散布で根まで枯らします。
②播種後にはクリアターン細粒剤など土壌処理剤で新たな雑草の発生を抑制します。

2.排水対策の徹底…麦は1にも2にも排水対策が重要です。
①下層は粗く、表層は細かく耕します。
②降雨後の表面水は直ちに排水溝に流れるようにします。
③弾丸暗渠や圃場周囲に排水溝を設置します。

3.土づくり
①堆肥など有機物を補給し、保水性・通気性を改良します。
②「土力じまん」など土壌改良資材を散布します。
③㏗6.5を目標に酸度調整をします。

4.播種
①びわほなみ
 播種時期
  湖辺・平坦 11月10日~20日頃
  中間・山間 11月5日~15日頃
 播種量
  8~10㎏/10a 条間20~25㎝
*播種日が10日遅れるごとに播種量を1㎏/10a増やしてください。
②ファイバースノウ
 播種時期 11月上旬
 播種量 8㎏/10a  条間25㎝
*播種日が10日遅れるごとに播種量を1㎏/10a増やしてください。
③ニューサチホゴールデン
 播種時期 11月上旬
 播種量 8㎏/10a  条間25㎝
*大雨の前後は種子が水につかった状態となって酸素不足により発芽不良になります。播種は晴天日に!!
*播種の深さは2~3㎝が適当です。深すぎると出芽が悪く、分げつ不足になります。
*播種後は土が白く乾くまでに土壌処理除草剤を散布しましょう。

大豆

 大豆の収穫適期は大部分の葉が落ちて莢が「カラカラ」と音を立てる時期です。
 コンバインで刈り取るときは、莢が音を立てるようになってから1~2週間あと、茎全体の緑色がなくなり手で茎が簡単に折れるようになった時期が収穫適期です。コンバイン収穫では、茎の高い雑草や生葉のついた大豆(青立ち大豆)が残っていると雑草の実や茎の汁が大豆についてしまうことがあります。圃場内の雑草は収穫前には必ず取り除いてください。また、刈り取るときにはコンバインの機体を水平に保つようにし、土を刈り込まないよう注意しましょう。

最近増加している外来雑草に注意
 収穫時に混入すると大豆を汚染するので、確実に抜き取ってください。アサガオ類などのつる性の雑草も同様です。

コンバイン収穫のポイント
●作業時間は、晴天日は午前10時頃から午後5時頃が最適です。
(前日晴で当日曇りの場合は午前11時頃から午後3時頃)
●収穫の前には大豆雑草と生葉のついた大豆の茎(青立ち大豆)を確実に抜き取ります。
●作業前には、グレンタンク内をこまめに清掃し、作業中にも、時々、タンク内を確認し、土砂や汚損粒の混入がないか注意しましょう。
●収穫作業のときにコンバインの中へ土のついた株や土の塊を刈り込まないよう注意しましょう。

〈汚損粒の発生防止〉
●土の刈り込みを防止するため、畦の高さをできるだけ一定にし、倒伏が少なく最下着莢位置が高くなるように栽培します。
●作業中にヘッダ部に土が入ったら直ちに機械を停止し、土を取り除いてください。
●朝夕など、水分の高い時間帯にはコンバインでの収穫作業は避けましょう。

乾燥・調製
●仕上げの穀粒水分は13・5%です。
大豆の乾燥は、原則、常温通風乾燥です(火力乾燥はしわ粒が発生しやすいのでなるべく避けてください)。
●異品種、異種穀粒、異物等の混入防止のため、収穫・乾燥・調製作業の前には、機械・搬送用フレコンなどを確実に清掃しましょう。


令和3年秋の農作業安全月間 8月16日から10月31日
 滋賀県の農作業事故実態調査によりますと、県内では毎年、農作業事故が40~50件前後発生しています。そのうち重傷事故の発生が毎年20件前後、死亡事故が毎年2件前後あります。特に、6月と10月に事故の発生件数が多い傾向です。
 令和2年1月から12月中に発生した農作業事故は、県内で45件あり、そのうち、死亡事故2件、重傷10件、軽傷19件などとなっています。
 受傷者の内訳は45件中、60歳代が20件でもっとも多く、8割以上が60歳以上です。機械別では、刈払機、トラクタ、コンバインが全体の6割を占めています。
〈重点啓発事項〉
 JAでは、左記の項目を重点事項として農作業事故防止と農作業安全意識の啓発を行っています。
1コンバインやトラクタの運転時は、圃場への出入りや畦越えなど傾斜地を走行するときは、転落・転倒事故に注意しましょう。
2農業機械の整備不良は重大な農作業事故を招く恐れがあります。農業機械を扱うときは日常的に点検整備を励行しましょう。
 *機械の点検や清掃を行うときは必ずエンジンを止めてください!!
3農作業は、機械に巻き込まれにくい服装にし、ヘルメットや保護メガネなどの安全防護用具を着用するようにしましょう。
4夕暮れ時にトラクタやコンバインを道路走行する場合には低速車マークや反射板を取り付け自動車などの追突防止に注意しましょう。また、道路交通法を守り交通安全にも注意してください。道路走行時には、わら屑や泥などを落とさないようにし、道路環境の美化にも注意しましょう。
5草刈機を使用するときは、作業を始める前に畦畔や農道を点検し、石や空き缶などの障害物を取り除くようにしましょう。
6万一の事故に備えて労災保険やJAの傷害共済などに加入しておきましょう。
7気温の高い日には、熱中症対策にも十分注意しましょう。
8新型コロナウイルス感染症の感染予防対策にも留意しましょう。
  ①屋内での作業は、マスクを着用し人と人との間隔は2mを目安に適当な間隔を取りましょう。
  ②集出荷施設などへの入退場時には手洗い、手指消毒を励行しましょう。
  ③ドアノブ、手すり等、人がよく触れる場所はふき取り清掃を徹底しましょう。






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