JAグリーン近江について

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今月の農業(2022年3月)

水稲

今年の稲作重点目標

気象変動に負けない米づくりの実践

 地球環境の変動がつづく中、近年、温暖化の進行により近江米の収量・品質に大きな影響を及ぼしています。
 気象の温暖化や田畑輪換等による水田の乾田化によって、水田の地力は大幅に低下していることが考えられます。
 昨年までに当JAが実施してきた土壌分析の結果を見ますと、359か所のうち地力窒素(可給態窒素)の値が十分満たされた地点は15%程度しかなく、大半の地点では地力窒素が不足状態という結果が出ました。
 米が登熟していく時期に高温が続くと、乳白粒や心白粒などのいわゆる白未熟粒の発生が多くなります。この時期に地力窒素が乏しく肥効が不足すると、さらに白未熟粒の発生を助長します。
 さまざまな気象変動にも負けない近江米の安定生産と品質向上のためには、土づくりをはじめ、きめ細かな基本技術を励行しましょう。

適地適作~地力・気象条件に応じた品種選定と栽培を徹底しましょう

*特別栽培米:病害虫発生が少ない圃場「みずかがみ」・「コシヒカリ」・「秋の詩」等推奨品種
*一般栽培米:特別栽培米以外の圃場、品種で対応

販売用の米は全量種子更新しましょう

稔実のよい健全な種子を厳選し、種子消毒の前に塩水選を行います(塩水選ができないときは真水に浮いた種を取り除くだけでもよい)。

土づくりがまだの場合は 今からでもしっかり行いましょう

農作業安全・農薬の適正使用にも留意しましょう!!

播種は日平均気温が10℃以上、田植は日平均気温15℃以上が適期です。

 水もちが悪いと肥料や農薬成分が流亡しやすく、肥料や除草剤の効果が悪くなるばかりか環境にも悪影響を与えます。
 畦塗りは、土壌に適度な水分のある時期を見計らって実施しましょう。畦を長持ちさせるためには、畦塗り機の走行速度を遅くし土を十分にたたきつけることと、畦の土が乾燥してしまわないよう早めに湛水し、畦の乾燥・ひび割れを防止することが大事です。

代かき・均平はていねいに 代かきは土が半分見えるくらいの水深で

*湖辺・平坦地域では、播種は4月上旬以降、田植は5月上旬以降に行う。
*中山間地域では、播種は4月中旬以降、田植は5月中旬以降に行う。
*浸種中に水温10℃以下になると種子の発芽が悪くなるので注意する。
*収量・品質に影響しない田植時期は5月下旬頃まで(出穂の晩限は8月末)。遅れないように!
*強風の日や低温の日に田植えを行うと苗の活着が悪く、極度の苗傷みや生育遅れになりやすいので  注意する(健全な稚苗の活着温度は12.5℃以上)。
*コシヒカリやキヌヒカリは、出穂期の高温による心白・乳白などの白未熟粒の発生が増加傾向にある。これらの品種の播種・田植は別表の適期範囲内でなるべく遅い時期に行う。
*「みずかがみ」は、適期の範囲で早めに植え付ける。

育苗ハウスの準備は早めに行いましょう

〈ハウス周辺の整備〉
*ハウスの外縁はすきま風などで苗の生育が悪いので、地面から30~50㎝程度の高さで風よけを設置する(あぜ波シートなどで囲いをつくるか、ハウスのアーチに30~50㎝程度の高さで直管や針金を水平に通し、サイドビニールの内側下部にビニールフィルムを地面との隙間なくつるす)。
*側面ビニールの巻き上げ器(通称:クルクル)を点検し、巻き上げロールは確実に固定する。
*ハウス周辺に雨水や潅水の余剰水がたまらないよう排水溝さらえを行う。
*ハウス周辺の雑草防除と不用品を整理する。
〈ハウス内の苗置き床の整地〉
*苗箱を配置するとき苗箱が苗床と水平に密着するよう、床土を均平にする(土が固いときは、細かい山砂などを薄く散布すると均平にしやすい)
〈被覆ビニール・継ぎ手金具・ハウスバンドなどの点検・補修〉
*長年使用しているハウスでは、金具が緩んだり地際部のアーチパイプが腐食してないか、ビニールに破れがないか、ハウスバンドの緩みなど、確認する。
〈ご注意〉苗置き床への稲わらやもみ殻散布は厳禁!!いもち病など、病害虫の伝染源となります。

〈種子の準備〉
■販売用の米は全量種子更新しましょう。
 稔実のよい健全な種子を厳選し、種子消毒の前に塩水選を行います(塩水選ができないときは真水に浮いた種を取り除くだけでもよい)。
〈播種作業の手順〉
*温湯消毒は60~62℃の温湯に10分間浸漬する(温度・時間を正確にする)
*袋のまま温湯に浸漬するときは、中まで温湯が届くようよくかき混ぜる。
*温湯消毒終了後は、直ちに冷水をかけ流し、袋の中心部までかき混ぜながらよく冷やす。
*冷却後はそのまま引続き浸種する(水温10~20℃で6~7日間、積算温度100℃が目安)
*温湯消毒後、種籾を一時保管する場合には、種籾を完全に冷却後、確実に風乾する。
〈ご注意〉冷却や乾燥が不十分なまま、種もみを放置すると非常に発芽が悪くなります。
     ひどいときは、苗箱一面にかびが発生したり腐敗します。

*催芽は30~32℃で1~2日、はと胸程度にする(伸ばしすぎない)。

〈苗箱の並べ方〉
*苗箱を並べる前にハウスの置き床を水平にならしておく。
*苗箱は水平に隙間なく並べる。
*ハウスの側面には10㎝程度の隙間をあける。
*苗箱が傾いたり、苗箱の底面と置き床の間に隙間があると、苗の生育が過湿や水不足で生育不揃いになったり、枯死する場合があるので注意する。

〈緑化のしかた〉
*育苗器で出芽してから緑化に移すときは、新芽が緑色を帯びるまでは苗に直射日光をあてないよう寒冷紗等で軽く遮光する。
*気温が低い日に出芽苗を緑化ハウスに移すときは、寒冷紗で遮光する前の潅水は省く(低温と過湿が続くと苗の生育が非常に悪くなる)。
〈温度管理〉
*夜温10℃以下になると草丈が伸びにくいので、低温が予想されるときは保温資材で被覆する。
*温度が高すぎると徒長し、カビの発生や植え傷みしやすいので最高気温は30℃を超えないようにする。
*夜間冷え込みそうな日や霜注意報が発令されたときは、早めにハウスを閉め、保温資材で被覆する。
*保温は、ラブシートなど不織布と寒冷紗の2重にすると効果的。
〈換気〉
*晴天日の日中はハウスを換気し、温度を調節する(ハウス側面下部からすきま風が入ると苗の高さに差ができるので、畦波シートなどで地面から30~50㎝程度の高さで風よけを設置する)。
〈水管理〉
*潅水は午前中にたっぷり行うが、床土に水分が十分あるときは潅水を控える。
*雨天・曇天日や低温日には潅水を控えるか、やめる。
*硬化期後半に、1回の潅水だけで水不足の兆候が現れたら、午後3時頃に2回目の潅水を行う。
*ハウス周辺部や苗箱の周縁は乾きやすいので丁寧に潅水する。
*寒冷紗の上から潅水すると生育ムラになりやすいので注意。

中苗の苗代発芽方式の管理

*トンネルで育苗する場合は、播種後の苗箱を直接苗床に並べてもよい。
*トンネル育苗では、温度変化が大きく、外気温の影響も受けやすいので、出芽が揃うまでは、苗箱の上に保温シートなどで保温に努める。
*苗箱表面に内張の保温シートが隙間なく張り付くと出芽不良が発生しやすいので注意。
*出芽揃いを確認したら、トンネル内の内張り保温シートは直ちに取り外す。
*トンネル内温度が最高35℃、最低10℃の範囲となるようトンネルに穴をあけて温度を調節する。35℃以上では裾を上げて通風する。
*水は、一旦、苗箱の上面いっぱいに水を張って苗箱に十分給水し、その後は苗箱の床下まで水位を下げる。
*低温や霜が予想される日にはトンネルの上から保温シートをかける。
*トンネル開放後に異常低温や霜の恐れのあるときは事前に深水にする。
*田植えの数日前にはトンネルを全開して苗を外気に慣らす。



〈実肥〉
 小麦「びわほなみ」の実肥は、4月下旬頃に硫安を10a当たり20㎏程度施用してください。茎数が少ない場合には施肥量を半減してください。穂肥に麦用セラコートR2500を施用した場合には実肥は不要です。「びわほなみ」増収体系で3月に尿素10㎏/10a施用した場合には4月下旬に生育状況を見て硫安10~20㎏/10a施用してください。
 大麦「ファイバースノウ」は、元肥・追肥に化成肥料による分施体系の場合には4月上旬の止葉出葉期に化成肥料201を10a当たり10㎏施用してください。ビール麦の実肥は不要です。
*施肥基準の詳細は令和4年産栽培暦をご確認ください。
〈排水対策〉
 前号にも記載しましたが、麦の湿害は土壌中の水分過多による酸素不足により発生し、収量だけでなく品質が著しく劣化します。特に、今年は雪の影響もあり、透水性の悪い圃場では湿害が出やすいのでご注意ください。また、茎立ちとともに一段と湿害の影響を受けやすくなりますので、排水溝の管理を徹底してください。
 稲作が始まると、水田の用水路に水が流れ始めます。麦の圃場に漏れ出さないよう早めに確認しておいてください。
〈赤かび病防除は2回必須〉
 病害虫発生予報を参考に実施してください。小麦、大麦ともに1回目の防除は開花初めの時期です。2回目の防除は、1回目防除実施後7~10日後です。
*小麦「びわほなみ」は出穂期が早いので遅れないようにしてください。また、必ず2回散布、赤かび病の発生が多いときは3回散布が必要です。

効果的な雑草防除効果的な雑草防除

〈MCPソーダ塩〉
●カラスノエンドウ、スズメノエンドウ等が多い圃場に効果的です。麦の幼穂1㎜くらい・草丈20~25㎝くらい(3月上中旬頃)が散布適期です。雑草が発生してから散布してください。
ハーモニー75DF水和剤〉
●ハルタデ、スズメノテッポウに効果があります。3月中下旬頃が散布適期です。雑草の茎葉によくかかるように散布してください。
〈注意〉播種後に、ハーモニー細粒剤Fを散布した圃場には、ハーモニー75DF水和剤は使用できません。
〈バサグラン液剤〉
●イネ科を除く1年生雑草に効果があります。雑草の3~6葉期(3月中下旬頃)が散布適期です。小麦では収穫前45日以降、大麦は収穫前90日以降は使用できません。

◆いずれの薬剤も雑草の茎葉によくかかるように散布してください。また、散布直後、降雨にあうと効果が著しく低下するので降雨前の散布は避けます。
◆詳しくは令和4年産麦栽培暦・資材申込書をご確認ください。
◆農薬を使用するときは、容器の記載事項をよく読み正しくご使用ください。






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