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今月の農業(2022年4月)

水稲

今年の稲作重点目標 「気象変動に負けない米づくりの実践」 …よい苗づくりと田植前の準備

田植え前の望ましい苗のすがた

 「植え傷み」はその後の生育への影響が大きく、収量・品質にも影響するので「植え傷み」しにくい健全な苗を育成することが大変重要です。
*稚苗の標準的な大きさの目安
  草丈   12~13㎝
  しょう葉 1㎝以内
  不完全葉 4㎝以内
  第1葉葉鞘は不完全葉と同長か差1㎝以内
  第2葉葉身は7~8㎝
  第3葉葉身は2㎝程度
  葉数    2.2~2.3枚
  育苗日数  20~22日
*太くて白いつやのある、よく伸びた根が多いものがよい。
*茎は硬くて太く、葉は厚みがあって直立したものがよい。

田植えの準備

●耕耘入水前には、畦から漏水しないように、しっかり畦塗り行いましょう。畦塗り機で行う場合には、作業機の速度をできるだけ遅くし、しっかりと土を叩き込むようにすると効果的です。畦塗り終了後はなるべく早めに入水してください。

耕起代かき

●耕深は10~15㎝程度を目安にします。耕深は浅過ぎると、漏水が多くなる、作物の生育が劣る、残渣物が土壌面に露出しやすく、雑草の発生も多くなるので丁寧に行いましょう。
●代かきは、耕起した水田に土が半分見えるくらい水を湛水して行います。水の量が多すぎると、圃場の凸凹がわかりにくく均平作業がしにくい、ワラ等の有機物のすき込みが難しくなります。

施肥

●施肥田植機を使用する場合は、規定量の肥料が実際に施用されているか確認しましょう。特に、元肥一発型の肥料を使う場合には、施肥量が不足すると減収する場合があるのでご注意ください。
●全層施肥の場合、乾田状態で肥料を散布し、全面耕耘してから入水耕耘の順に行うと肥料の利用効率がよくなります。

田植

●苗を載せる前に、植付け深さ、横送り回数、苗かき取り量などを調節します。植付け深さは2~3㎝を目安に、植え付け本数は3~5本程度に調節します。苗載せ台に苗を載せる前に、植付け爪を回転させて、苗載せ台を左右どちらかの端に移動させます。
●苗を載せて少し試し植を行い、植え付け本数、植え付け深さ、施肥量などを実際に確認してから本格作業を始めましょう。

田植え後の水管理

●田植え後の一般的な水管理は、低温・強風の場合には深水とし、晴天・高温の場合には浅水とします。稚苗では本葉の一部が水面から出ている程度、中苗ではやや深水管理とし、活着後は浅水管理とします。
活着期に低温・強風が予想される場合は、日中は止水として3~4㎝の浅水、夕方に入水して夜間は5~6㎝の湛水深とすることで、活着までの水温を高く維持しやすくなります。

◆苗立枯病とムレ苗の発生を防ぐには

●苗の病害は、種子、育苗器材、水、土など、伝染経路が多様なので、発生後は効果的な防除があまり期待できません。なるべく発生させないことが先決です。
①無病種子を使う(種子更新を行う)
②種子の比重選(塩水選)を行う ③厚播きを避ける
④罹病したワラや籾殻を育苗箱の敷きワラとして利用しない
⑤適正な温度管理(高温・低温・過乾・多湿を避ける)
・被覆資材を長期間かけすぎない(1葉期までの高温多湿を避ける)
・高温時には換気を行い、35℃以上の高温多湿を厳重に避ける
・緑化期以降、急激な温度変化や冷気、低温過湿条件でムレ苗が出やすいので、日中25℃、夜間10℃以上の適温を厳守する。
⑥過繁茂、軟弱苗は早めに処分する
●特に、いもち病に罹病した苗を本田に植付けると、病原菌が圃場全体に拡散するので、いもち病の症状がでた苗は使用しない。

◆その他の育苗中の異常対策

出芽不良

●催芽温度が高すぎ、または温度不足、播種床の乾燥もしくは過湿、育苗用土が粘質すぎる、直張りシートが密着しすぎなどの原因が多いので、予想される原因を除去し、しばらく様子をみても出芽しない場合は播きなおします。

苗の生育不揃い

●苗箱の施肥ムラや箱底と床面の密着が不十分による水分ムラで発生するので、一度、床土に水を十分浸み込ませてから、数日間様子を見ます。

日焼け

●温度管理が不十分だと、日焼けで枯死するので、2~3日待って回復しない場合は播きなおします。

白化現象

●出芽苗を緑化ハウスに移したとき、長時間直射日光を受けると発生しやすく、白化した葉は最後まで緑化せず出葉が遅れ、移植後も多少生育が遅れますが、使用可能です。

除草剤の効き方

●水田に散布された除草剤の成分は、いったん田面水に溶けてから、数日かけてゆっくりと土壌表面に落ち着きます。
●土壌表面に薄い除草剤の層(処理層)を作り、そこで発芽直後の雑草に吸収されて、除草効果を発揮します。
●その後、土壌表層の有効成分は少しずつ分解されて、いずれは除草効果がなくなります。
●最初に土壌表層に落ち着く有効成分の量が多ければ多いほど、効果がなくなるまでの期間(残効期間)は長くなります。
●除草剤成分のすべてを土壌表層に落ち着かせるために、除草剤散布後の数日間はしっかり止水をして、有効成分を水田内に保持するようにします。
●除草剤散布直後は、田面水中の除草剤濃度が極めて高いので、この時期に田面水が水田外へ流れ出て、処理層の除草剤成分濃度が低くなると、除草効果が低下して残効期間も短くなります。
●農薬が水田外へ流出するといった、環境保全上の問題も生じますので、くれぐれも田面水を圃場外に流さないよう、気をつけましょう。
 図 水田に散布された除草剤の有効成分の動き
※この期間はしっかりと止水をして、有効成分が多く含まれている田面水を水田外に流さない

飼料用米

飼料米の低コスト多収栽培

1.品種選定
・滋賀県奨励品種または過去に広く栽培された水稲うるち米品種の中から、倒伏や病害虫の抵抗性が強く、多収性の中晩生品種を選んでください。
〈例〉「吟おうみ」など
2.コスト低減
・野菜跡や大豆跡などの肥沃地で、適正な栽培管理によって多収をめざします。
・肥料の施用にあたっては土壌診断結果に基づき、無駄のない施肥に心がけます。
・元肥は主食用米よりやや多い目に施用して早期分げつ・穂数確保をめざしてください。
・耕畜連携による堆肥の利用など、化学肥料の使用量を減らします。
・直は栽培や疎植栽培など、低コスト化技術を積極的に活用します。
3.病害虫防除
・周辺の主食用水稲に影響がなければカメムシ防除は不要です。
・籾米給餌や籾殻を含めて給餌する場合には、防除基準にかかわらず出穂期以降の農薬散布は控えてください。

WCSで耕蓄連携をすすめよう

〈WCS栽培の要点〉

1.圃場選定
・雑草が少ない肥沃地をえらび、収穫時期に田面がよく乾燥する圃場を選定します。
2.品種選定
・主食用品種は病害虫抵抗性や倒伏に強く、多収性品種を選びます。
・専用品種は飼料用に改良され、多収性・耐倒伏性に優れています。主食用水稲に混入しないように栽培してください。
3.雑草対策
・除草剤は稲WCSに登録のある薬剤を使用してください(主食用水稲に登録があっても使えないものがあります)。包装容器に記載された使用上の注意をよく読み正しく散布してください。
・WCSに雑草が混入すると著しく品質が悪くなり家畜飼料として使用できない場合があるので、雑草防除は徹底してください。
4.水管理
・中干しは早めに十分行い、田面を固めてください。
・中干し前に溝切りを行うとその後の水管理がスムーズにできます。
・収穫前には早めに落水し、田面の乾田化を図るようにしてください。

施肥基準

飼料用米・WCS共通

・主食用品種では、通常の水稲栽培に準じて行います。



ムギの仕上げ …排水対策・赤かび防除・実肥・雑草防除

水田の用水が麦作田に流れ込まないよう用水口を確実に閉じてください。
 今一度、圃場を点検し、畝面や畝間に雨水がたまらないよう確認してください。

効果的な雑草防除効果的な雑草防除

赤かび病防除を適切に…

●開花始め期(穂揃い3~5日後)に第1回防除を行いましょう。
 詳しくは令和4年産麦栽培暦をご確認ください。
●小麦「びわほなみ」、大麦「ファイバースノウ」やビール麦ニューサチホゴールデンは赤かび病に弱いので必ず2回防除が必要です。発生状況によっては3回目防除が必要な場合があります。
●薬剤散布の前には必ず薬剤の容器の記載内容を確認し、安全・適正に使用しましょう。

実肥の施用を適切に…

●小麦では出穂後10日頃に硫安20㎏/10a*程度施用。穂肥に麦用セラコートR2500を施用した場合には実肥は不要です。
●大麦「ファイバースノウ」「ビール麦」に実肥は不要です。

カラスノエンドウなど、雑草対策を早めに…

●ラウンドアップマックスロードやバスタを散布し、畦畔や圃場周辺の雑草防除を早めに行ない、カラスノエンドウなどの雑草の侵入を防ぎましょう。






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