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今月の農業(2022年7月)

水稲

穂肥と水管理で決まる 米の味と品質・収穫

 7月は、穂肥・水管理・カメムシ防除など、米作りにとって重要な作業がたくさんあります。暑い時期になるので熱中症対策などの健康管理にも注意しながら、基本的な作業をきめ細かに行いましょう。

穂肥

 穂肥は、「みずかがみ」「キヌヒカリ」「日本晴」など倒れにくい品種では出穂前25日前に一括して施用します。
 「コシヒカリ」「秋の詩」「滋賀羽二重糯」など倒れやすい品種では、出穂の18日前と10日前頃に2回に分けて施用します。
 品種ごとの施肥量や施肥時期の目安は別表をご確認ください。
*穂肥の効用
 穂に着く籾数を多くし、籾の充実を良くするための栄養を補給する肥料です。
 登熟を良くする栄養成分は、窒素、リン酸、カリのほか、マグネシウム(苦土)やカルシウム(石灰)、珪酸などの無機成分が必要です。
 「けい酸加里プレミア34」などを施用すると稲体の生育が健全になり、品質・収量・食味向上の効果が期待できます。
*穂肥と米の品質・食味の関係
 穂肥は、施用量が多過ぎたり、施用時期が遅れると、玄米中のタンパク含量が増えて食味が悪くなります。また、穂肥の時期が早すぎると倒伏して米の品質が悪くなります。品種や田植時期、圃場の肥沃具合、葉色や幼穂などの生育状況に応じて、適期に適正な量を施用しましょう。
 玄米タンパク含量を少なくするために穂肥を大幅に少なくすると、地力が低い田では、デンプンの蓄積が進まなくなり、おいしいお米の生産ができません。また、収量が激減し、高温に遭った場合、白未熟粒の増加につながります。
 米の品質や食味は、穂肥量の多少より、出穂期前後から後の水不足や極度な早刈り、刈り遅れなどが影響します。出穂期前後3週間は湛水状態または十分な水分補給を続けてください。

中干し後の水管理

*出穂後3週間まで湛水状態を保ちます
 田面の温度上昇を防ぐとともに、カドミウムの吸収を抑えるためにも有効です。各地域の水利施設の送水計画にしたがって入水しましょう。
*湛水期間終了後は間断かんがい
 収穫直前まで土壌水分を十分に保つことが良質米づくりの基本です。出穂後の早い時期に田面を乾燥させると稲が「枯れ熟れ」状態となり、胴割米や心白・腹白・未熟粒の発生など、米の品質不良・減収の原因となります。また玄米タンパク含量にも影響します。土が白く乾くようなときは管理溝に水を流して、水分を十分補給してください。

病害虫防除のポイント

 病害虫や雑草が発生しにくい生産条件をつくることが基本です。農薬散布による防除は、各地の病害虫防除協議会の情報を参考に、発生状況に応じて省農薬で効果的な防除に努めましょう。

異品種混入防止対策

 出穂直前・直後に圃場を見て回り、出穂時期や草丈の異なる品種を見つけたら、穂がかがみ始めると見分けにくくなるので早めに抜き取ってください。

参 考
〈米のタンパク質含量と食味の関係〉
●プロラミンという水を吸いにくいタイプのタンパク質が胚乳(米粒)の周縁部で増加すると食味を低下させるといわれています。
●玄米のタンパク質含量がおおむね7%以上の場合には、タンパク質含量が低いと食味が良く、高いと食味が悪い、という関係があることがわかっています。
●玄米タンパク含量7%~6.5%以下の場合には、低タンパク化すると食味が良くなるわけではなく、5.5~6以下では食味評価が悪くなることがわかってきました。
●一方、幼穂形成期から登熟期の葉色が薄く、体内窒素含有率が低い場合には、高温による背白粒や基白粒などの白未熟粒の発生が増加することが明らかになっています。
●玄米のタンパク質含量を低くするために、過度に穂肥を少なくすると登熟期に窒素が不足し、白未熟粒の増加など、外観品質の低下を招きやすいので注意が必要です。

大豆の播種晩限は7月下旬までです…麦跡には大豆を播きましょう

大豆は7月下旬まで播種できます。まだ、播種が終わってない圃場があれば、今からでもがんばって播きましょう。

1.排水対策

・大豆播種予定地には麦と同じくらい、圃場表面の排水対策を徹底してください。
・集中的な大雨で播種後の圃場が一面に冠水することがあるので、良く乾く圃場でも排水溝は必須です(雨水が1日以上圃場表面に溜まらないようにしてください)。
・耕起作業は、圃場が良く乾いたときを見計らって行いましょう。土の通気性や透水性を良くするにはプラウ耕が大変有効です。麦収穫後直ちにプラウで反転し、土の表面が良く乾いてから播種すると湿害にも干ばつに強い大豆ができます。湿った土を何度も耕耘すると通気性や透水性が悪くなり根の発育が非常に悪くなるので、大豆の一生通じて悪影響がでます(必ず土の表面が良く乾いたときに播種してください)。

2.播種方法

・播種適期
●ことゆたかA1・タマホマレ・オオツル:6月中旬~7月上旬
●フクユタカ:7月上旬~中旬
*狭畦密播栽培は省力的ですが、麦跡栽培など、排水条件の良いところで、短期間に大面積に播種するときのみ実施してください(大雨のときに1日以内に排水できない場所や雑草対策が完全にできない場所での狭畦密播栽培は不適です)。
*粒そろいの良い大粒大豆の安定多収を求めるときは、従来の畦立て栽培が有利です。

3.中耕・培土

 第1回目は大豆が発芽したら雑草が生えるまでに畦間の土を耕し、大豆の株元に少し土を寄せます。第2回目は、本葉2葉期(イメージ図参照)頃に初生葉(大豆種子の出芽時の双葉の次に出る葉)に土がかかるくらいまで畦間の土を寄せます。
 中耕は、雑草の発生を抑制し、根の発育を良くし根粒を活性化させる効果があるので必ず適期に行いましょう。なお、2回目の中耕が遅れると花芽が傷み減収します。















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