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今月の農業(2022年10月)

水稲

来年の稲作に向けての準備

水田の雑草の多い田には反転プラウ耕が効果的!!

 今年は、田植後に一発除草剤の効果が十分でなく、中期剤を追加散布されたところもかなりあったようですが、除草剤の効果は、散布時の水管理で大きく変わります。つまり、除草効果を高めるためには、田面を均平にならし、畦などからの水漏れを防いで、一定期間(少なくとも4~5日間)は4~5㎝の水深を保つことが重要です。
 「ワキ」や「藻類、表層剥離」は、雑草や稲わら、堆肥などの有機物を未熟な状態で鋤き込み、水温、地温20~30℃で湛水状態が続くと微生物が活発に活動し、有機物の分解により藻類が発生しやすくなります。
 この現象を防ぐには、春先の代かき時に雑草や稲わら、堆肥などの有機物を未熟な状態で残さないことが大切です。
 水稲の収穫作業が終わったら、なるべく気温が高い時期に「とれ太郎」などの土づくり肥料や堆肥などの土づくり資材を散布し、プラウによる反転耕耘を実施してください。また、冬期間は水田の水はけを良くし、乾燥した時期を見計らって1~2回深耕し、雑草や有機物などを十分腐熟させるようにしてください。プラウ耕ができないときには、土が良く乾いた時期にロータリ耕で、できるだけゆっくりした速度でなるべく深く粗い目に何度か耕耘してみてください(湿田状態でこね回すことは避けてください)。
 この作業は水田の土づくりとして大変重要な作業です。ぜひ実行してください。

水田の均平作業

 近年、転作跡や圃場の大区画化によって、田面の「凸凹」が目立つようになって来ました。水田の「凸凹」は、「凸」の部分は雑草が生えたり除草剤が効かない、「凹」の部分では苗が冠水したり、生育が遅れたり、圃場全体の排水がうまくできない、等の不都合が起こります。圃場が小さい場合や「凸凹」の差が少ない場合には、水稲作付け時に、耕起や代かきのときに手直しができますが、圃場が大きい場合や「凸凹」の差が多い場合には、レーザーレベラーのような機械で均平作業を行います。

レーザーレベラーによる均平

 レーザーレベラーは、レーザー発信機によって田面の高さの基準となるレーザー光線を水平に発光し、トラクタの作業機が田面の高さと基準の高さとの差を検知して土を削ったり盛ったりして田面を均平化にする機械です。
 均平作業を行うときは、田面の雑草や作物残渣などをプラウで耕起し、田面をきれいにしてから田面が良く乾いたら写真のようにレーザーレベラーで均平作業を行います。レーザーレベラーの機械は写真のようにトラクタ本体に直接装着する方式と牽引する方式があります。圃場の区画が30アール以下の場合など区画が狭い場合にはトラクタ本体に直接装着する方式が小回りしやすいようです。
 均平作業ができたら、圃場の周囲に溝を付けて田面が良く乾くようにしておきましょう。

土づくり

水田には堆肥を入れよう

 堆肥を施用すると、作物の生育に必要な養分を補給するとともに、土壌の物理性や化学性を改善し、作物が生育しやすい土壌環境を整えます。稲の収穫作業が終わったらなるべく早く稲わらや麦わらなどの作物残渣とともに牛糞などの家畜糞尿を良く醗酵させたものを散布してください。散布する量は、一般的には10a当り1~2tくらいが適量です。
 多すぎると水稲が生育過剰になったり、還元障害が起きたりするので注意してください。
 なお、土づくりには、堆肥などの有機物と合わせて「とれ太郎」などの作物の必須養分を補給することが重要です。完熟堆肥が散布できないときには「ふりかけ堆肥エコ」を10a当り60~80㎏程度と「とれ太郎」などを散布してください。土づくりを徹底すると、異常高温や冷害などの気象変動に対する作物の抵抗力も強くなります。

プラウ耕のすすめ

 プラウで反転耕耘を行うと、表面の土、雑草、わらなどを土中に埋め込み、下層の土を表面に引き出す反転効果と、硬くなった耕盤を砕いて作物の根を生育しやすくする効果があります。また、土層は適度な粗さになり、空気を含みやすく、排水も良くなります。
 一般にいうプラウは、トラクタで牽引しながら、金属や樹脂を貼り付けた曲面で土壌を切断し、反転していきます。水田で40~60馬力級で牽引する場合、16インチ2連のプラウで耕幅は80㎝、耕深は約20~30㎝程度となります。水田で使用する場合には、リバーシブルプラウを使用すると土の移動が少なくて能率的です。
 駆動ディスクプラウは、PTO動力で円盤型のディスクを回転させて土を反転させる方式です。4~6枚の円板を回転させ、土壌を内側に反転します。刈り株の埋め戻しや水田の荒起こし作業を能率良くできます。トラクタの大きさは、ディスク4枚で25馬力程度、ディスク6枚で30~40馬力程度の小型で可能です。ディスクプラウは、円板が回転するのでロータリ耕耘と同じ感覚で簡単に作業ができます。また、土中に石や根株等の障害物があっても乗り越えることができ、機械を損傷することなく作業は能率的です。

麦作予定地にもプラウ耕を!

 麦作予定地には土力じまんや完熟堆肥を散布し、反転プラウ耕や弾丸暗渠を施行すると排水対策が同時に行えます。良質な麦を安定的に多収するためにぜひ実行しましょう。
 プラウ耕や弾丸暗渠の効果を発揮するためには、「施行後に土が十分乾燥」してから播種作業を行うことが大切です。稲の収穫が終わったら、直ちにプラウ耕と圃場周囲の排水対策を行いましょう。



令和5年産小麦は「びわほなみ」に全面転換

 国産小麦は、加工適正等に優れた新品種の導入普及の進展や消費者の国産志向の高まりを受け、国産小麦を使用した商品開発や原料の国産への切り替えといった取り組みが全国的に進みつつあります。当JAでは令和4年産(令和3年秋播き)より、従来の「小麦農林61号」から実需者の評価が良くて多収性の「びわほなみ」という新しい小麦品種に全面的に転換しました。
 麦類の生産は、天候の影響により単収の年次変動が大きく、収量・品質の安定化が大きな課題となっています。特に、湿害の影響が収量・品質を左右する大きな要因となっています。良質な麦の安定生産を実現するには肥料やや土壌からの窒素をうまく活用できるよう根の状態を活性化することが最も重要です。とりわけ、土壌の排水性の改良や土壌のpHの調整(目標pH 6.5)や有機物や不足養分の補給など土づくりの対策が特に重要です。

栽培ガイドラインの要点

1.耕起前の雑草対策
①生育中の雑草にはラウンドアップマックスロードの茎葉散布で根まで枯らす。
②播種後にはクリアターン細粒剤など土壌処理剤で新たな雑草の発生を抑制する。
2.排水対策の徹底…麦は1にも2にも排水対策が重要です。
①下層は粗く、表層は細かく耕す。
②降雨後の表面水は直ちに排水溝に流れるようにする。
③弾丸暗渠や圃場周囲に排水溝を設置する。
3.土づくり
*小麦はりん酸や石灰分を多く必要とするので、「土力じまん」の施用を省略しないでください。
①堆肥など有機物を補給し、保水性・通気性を改良する。
②「土力じまん」など土壌改良資材を散布する。
③pH 6.5を目標に酸度調整をする。
4.播種
①びわほなみ
【播種時期】
 湖辺・平坦 11月10日~20日頃
 中間・山間 11月5日~15日頃
【播種量】
 8~10㎏/10a 条間20~25㎝
*播種日が10日遅れるごとに播種量を1㎏/10a増やしてください。
②ファイバースノウ
【播種時期】
 11月上旬
【播種量】
 8㎏/10a 条間25㎝
*播種日が10日遅れるごとに播種量を1㎏/10a増やしてください。
③ニューサチホゴールデン
【播種時期】
 11月上旬
【播種量】
 8㎏/10a 条間25㎝
*大雨の前後は種子が水につかった状態となって酸素不足により発芽不良になります。
*播種の深さは2~3㎝が適当です。深すぎると出芽が悪く、分げつ不足になります。
*播種後は土が白く乾くまでに土壌処理除草剤を散布しましょう。

詳しくは、「本紙9月号」及び「令和5年産麦栽培ガイドライン」をご参照ください。



大豆

 大豆の収穫適期は大部分の葉が落ちて莢が「カラカラ」と音を立てる時期です。
 コンバインで刈り取るときは、莢が音を立てるようになってから1~2週間後、茎全体の緑色がなくなり手で茎が簡単に折れるようになった時期が収穫適期です。コンバイン収穫では、茎の高い雑草や生葉のついた大豆(青立ち大豆)が残っていると雑草の実や茎の汁が大豆についてしまうことがあります。圃場内の雑草は収穫前には必ず取り除いてください。また、刈り取るときにはコンバインの機体を水平に保つようにし、土を刈り込まないよう注意しましょう。

最近増加している外来雑草に注意

 収穫時に混入すると大豆を汚染するので、確実に抜き取ってください。アサガオ類などのつる性の雑草も同様です。

コンバイン収穫のポイント

●作業時間は、晴天日は午前10時頃から午後5時頃が最適です。
 (前日晴で当日曇りの場合は午前11時頃から午後3時頃)
●収穫の前には大豆雑草と生葉のついた大豆の茎(青立ち大豆)を確実に抜き取る。
●作業前には、グレンタンク内をこまめに清掃し、作業中にも、時々、タンク内を確認し、土砂や汚粒の混入がないか注意しましょう。
●収穫作業のときにコンバインの中へ土のついた株や土の塊をまき込まないよう注意しましょう。
〈汚損粒の発生防止〉
●土の嚙み込みを防止するため、畦の高さをできるだけ一定にし、倒伏が少なく最下着莢位置が高くなるように栽培します。
●作業中にヘッダ部に土が入ったら直ちに機械を停止し、土を取り除いてください。
●朝夕など、水分の高い時間帯にはコンバインでの収穫作業は避けましょう。

乾燥・調製

●仕上げの穀粒水分13.5%です。
大豆の乾燥は、原則、常温通風乾燥です(火力乾燥はしわ粒が発生しやすいのでなるべく避てください)。
●異品種、異種穀粒、異物等の混入防止のため、収穫・乾燥・調製作業の前には、機械・搬送用フレコン等を確実に清掃しましょう。

〈白大豆の荷受け施設〉 ・ことゆたかA1号小田大豆施設 ・タマホマレ長田カントリー *従来の「ことゆたか」は施設で荷受けをできませんのでご注意ください。








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