JAグリーン近江について

AGRI NAVI

今月の農業(2022年12月)

水稲

令和5年産水稲栽培ガイドライン改訂の要点

 JAグリーン近江では「農業者の所得増大」・「農業生産の拡大」・「地域の活性化」を基本方針に、生産力向上と持続可能な農業の実現に向けて、「品質の安定と単収向上・生産コスト低減の提案に取り組むとともに販売単価向上に向けた安定的な契約販売」を中心に「令和5年産米栽培ガイドライン・生産資材申込書」を作成しました。
 今回の栽培ガイドラインでは、度重なる豪雨・長雨・台風・猛暑・日照不足などの異常ともいえる気象変動でも品質・収量が安定するよう水稲の生育、圃場の状態に合わせた「土づくり」や「中間追肥などの施肥設計」などを提案しました。
 JAでは、米の販売戦略としては、「みずかがみ」を中心としたブランド米強化や事前契約を継続して行い、実需者との結びつきをより深め安定的な流通確保に努めてまいります。秋季農談会や令和5年産米栽培ガイドラインを参考に来年度の稲作準備をはじめましょう。

需要に応じた生産販売

 令和5年産は次の栽培品種に集約していきます。
●特別栽培米:みずかがみ・コシヒカリ・秋の詩・にこまる・ミルキークイーン・酒米
●通常栽培米:コシヒカリ・キヌヒカリ・秋の詩・日本晴・ゆめおうみ・きぬむすめ・糯米
★新たな推奨品種:にこまる(特栽)・ミルキークイーン(特栽)・きぬむすめ

品種別販売(需要)の動向

●みずかがみ:滋賀のブランド米としてさらに安定した品質と生産が求められる[高品質米としての評価]
●コシヒカリ:主要銘柄として需要も多く安定した品質と生産が求められる
●キヌヒカリ:主食・業務用等、多用途に需要があり一定量の安定した生産が必要
●秋の詩:量販店・生協との結びつき商品として要望があり、安定した生産が必要
●日本晴:業務用・酒造用かけ米等の一定量需要がある
●ゆめおうみ:業務用(デリカ・弁当)の安定した需要がある
●にこまる・きぬむすめ:生協との結びつき商品として需要があり、拡大が求められている

需給の動向や各種奨励金の基準・金額など詳細は、令和5年産米栽培ガイドラインおよび秋季農談会などでご確認ください。

密苗がお勧め! 10a当たり約10枚
 グリーン近江の密苗は、乾籾約250g撒きとなっており、一般的な田植機でも掻き取り量の調整で使用が可能な機種もあります。
 枚数を減らしながら、植えられますので、大変省力的です。また、収量の差は見られません。
注:一般苗よりも播種量が多いため、生育期間が短くなったり、育苗期間が長くなると、いもち病が発生する可能性があります。
注:田植日は、発芽出荷日から14日から17日が目安です。

安全安心の米づくりは土づくりから

 近年の地球温暖化現象など、夏期の高温化により作物の生育が旺盛になり、地力の消耗と合わせて肥効不足の傾向が見られるようになってきました。水稲は土壌中の地力窒素の役目が非常に重要です。「けい酸加里プレミア34」や「とれ太郎」など、ケイ酸やリン酸を含む土づくり肥料に加えて有機物を施用して深耕し、地力向上を図りましょう。硫黄欠乏による稲の生育障害(俗称「病み田」)には「畑のカルシウム」が有効です。優良な堆肥を散布できない場合には、堆肥の有効成分である腐植酸を濃縮した「新ふりかけ堆肥eco」を散布し、稲わらとともに深耕することも一つの方策です。
 また、水稲は「苗半作」と言われるほど苗づくりが重要です。健康な苗づくりに「ゆめバイオ」を活用してみましょう。 土づくり資材の詳しい使い方は栽培ガイドラインまたは秋期農談会にてご確認ください。

JAグリーン近江統一版特別栽培米の推奨ガイドライン

 「みずかがみ」、「コシヒカリ」、「秋の詩」について、「元肥一発施肥」体系、「分施型(元肥 - 穂肥)」体系について統一施肥基準を提案しました。この栽培基準は、滋賀県の環境こだわり米の認証と国が定めた特別栽培農作物の栽培基準に適応しています。

滋賀県一の「みずかがみ」産地へ・・・1300haを目指す 特A産地へ!!

 JAグリーン近江管内は、県内最大の「みずかがみ」の産地です。JAグリーン近江では、組合員農家の皆さまの努力が販売価格に反映されるような制度を拡充しています。実需者から求められるおいしい良質米「みずかがみ」の安定供給を目指して頑張りましょう。

※「みずかがみ」栽培のポイント
・収量・品質を安定するには、穂数(茎数)を確保することが最も大切です。
・還元障害(病み田)対策を行い、初期の生育をしっかりと確保することが重要です。(初期生育が悪いと収量・品質に大きく影響します)
・JAグリーン近江管内は、土質(粘質土、砂質土、黒ボク土など)や地帯(湖辺・平坦・中山間)によって生育が異なるので圃場に応じた施肥管理を行いましょう。(麦・大豆・野菜跡の畑作転換圃場に応じた施肥設計も同様です)
・気象変動に対応するため葉色診断に基づく施肥を実施することが重要です。
・「みずかがみ」の元肥一発肥料で6月中旬に茎数25本を下回るときや大幅な肥切れの兆候が見られるときは有機100%の肥料で窒素成分量2㎏/10a(滋賀こだわり855 20~25㎏/10a)を追加してしてください。野菜や大豆跡など、特に肥沃な土壌では元肥を減量するなどの方法も記載してますので参考にしてください。

※「コシヒカリ」・「秋の詩」で、穂ばらみ期頃の葉色が薄いときは、出穂期の葉色5を目安に、止葉期~穂揃期頃に有機100%の肥料で窒素成分量2㎏/10a(滋賀こだわり855 20~25㎏/10a)の追加施肥をお勧めします。
※雑草防除は、一発剤「キマリテ(1キロ粒剤・ジャンボ・フロアブル)」を提案しています。ノビエが多発した場合には「クリンチャー(1キロ粒剤・ジャンボ・EW)、その他雑草が多発した場合にはバサグラン(粒剤・液剤)を追加散布してください。両方とも使用することも可能です。
※病害虫防除は苗箱施用剤と出穂期頃のカメムシ防除剤を記載していますが病害虫の発生状況に応じて散布するようにしましょう。

安定多収栽培を目指す一般栽培ガイドライン

 ガイドラインに記載している施肥量は標準量です。気象条件・土質等によっては肥効の発現が早くなり生育中期に肥切れする場合があります。この場合にはつなぎ肥などが必要となります。また、施肥田植機で元肥を基準どおり施用できなかった場合には、その分は追肥として施用してください。
 また、元肥一発型肥料を「コシヒカリ」「キヌヒカリ」に使う場合、初期生育が旺盛な地域や肥持ちの悪い田では中晩生用を、初期生育の悪い寒冷地や粘土質地では早生用を使用してください。

水田除草剤の上手な使い方

 水田の除草剤は使い方が悪いと十分な効果が出ないばかりか作物に薬害を起こす場合があります。必ず包装容器に記載された使用上の注意を良く読んで正しくご使用ください。除草剤を効果的に使うには、対象雑草に良く効く薬剤を使用することは言うまでもありませんが、散布時期と散布後の水管理が特に重要です。
 水持ちが悪いと除草剤の種類にかかわらず十分な除草効果がありません。雑草の発生が多い圃場では、田面を均一にし、水持ちを良くすることが非常に重要です。田面が不均一な田や畦からの水漏れの多い田は冬の間に整地し、畦塗りなどで水漏れ対策しておきましょう。
 前の年に雑草が多かった田や麦跡を放置した田などは、冬に反転プラウなどで田面を反転すると表面の雑草種子が減るので翌年の雑草を多少抑えることができます。土づくりと兼ねて実施しましょう。
*除草剤の散布は藻や水草が発生するまでに散布すること重要です。
*土づくり肥料の申し込み、令和5年産米用の肥料・農薬の予約申込み期日は令和4年12月末日です。


品質の良い麦づくりの決め手は排水対策です…水対策は地表排水が重要!!

 麦類の品質向上と増収の決め手は、これからの排水対策です。降雨後に表面水が完全に排除できているか、もう一度、圃場を確認しましょう。
 今年は、10月に雨が少なかったため、田面は良く乾いていると思われますが、圃場の表面が湿っているところや雨水がたまるようなところには小溝をつけるなど、表面水をできるだけ早く排出できるように工夫してください。(表面水は、降雨後1昼夜以内に排出することが理想です)
 また、圃場内の排水溝は、圃場外の排水路にすべて接続し、水たまりがないか再度確認してください。

追肥

 分げつを促進し、丈夫な茎を確保するために12月中旬から1月下旬にかけて追肥を施用します。「麦パンチ」や「麦将軍」および「麦用セラコートR2500」を規定どおり施用された方は「12月~1月の追肥」は不要です。
 12月の中旬の茎数は別表を参考にし、それより少ない場合には、なるべく早めに追肥を施用してください。茎数が適当であれば、1月上旬頃までに、多い場合には1月中下旬頃に施用してください。





令和4年産水稲の作柄概況(農林水産省公表)

⑴作付面積
 令和4年産の水稲の作付面積(青刈り面積を含む)は3万1400haで、前年産に比べ700haの減少が見込まれます。
 なお、水稲の作付面積(青刈り面積を含む)から、備蓄米、加工用米、新規需要米等の作付面積を除いた主食用作付面積は2万7700haで、前年産に比べ1200haの減少が見込まれます。
⑵作柄概況
ア)穂数は、田植期以降5月中旬の日照不足や6月中下旬の高温により分げつの切上りが早まったことなどにより湖南で「やや少ない」となったものの、湖北で「平年並み」となったことから、滋賀県では「平年並み」となりました。
イ)1穂当たり籾数は、幼穂形成期の6月下旬~7月下旬が天候に恵まれたことや、穂数がやや少なかったことによる補償作用が見られた湖南では「やや多い」、湖北は「平年並み」となり、滋賀県では「やや多い」となりました。
ウ)全籾数は、穂数及び1穂当たり籾数の結果から、湖南、湖北ともに「平年並み」となり、滋賀県では「平年並み」となりました。
エ)登熟は、出穂期以降の8月中下旬が日照不足で経過したものの、7月下旬~8月上旬が高温・多照であったこと、9月以降の気温が平年を上回って推移していることなどから、湖南、湖北ともに「平年並み」が見込まれ、滋賀県では「平年並み」が見込まれます。
オ)以上のことから、9月25日現在の10a当たり予想収量は523㎏(前年産に比べ4㎏増加)が見込まれます。作柄表示地帯別では、湖南532㎏(前年産に比べ5㎏増加)、湖北505㎏(同3㎏増加)が見込まれます。また、農家等が使用しているふるい目幅ベース(1.90㎜)の作況指数は101(平年並み)が見込まれます。作柄表示地帯別では、湖南、湖北ともに101(平年並み)が見込まれます。
⑶予想収穫量(主食用)
 主食用作付面積に10a当たり予想収量を乗じた予想収穫量(主食用)は14万4900t(前年産に比べ5100t減少)が見込まれます。


農業機械の点検整備と保管

 今年一年間活躍した農業機械が来年も安全・快適・効率的の使用できるよう、農閑期に機械の点検整備をしておきましょう。
●機械の泥やわらくず・籾粒を取り除き、さび止めをしておきましょう。乾燥調製用機械ではネズミにも注意しましょう。
●オイル交換やグリス充填をしてから少し空運転をし、油が各部に行き渡るようにしましょう。
●ベルト類・刃物類が消耗しているときは交換し、シーズン中の異常箇所や代用部品で応急処置している箇所などは正規部品で修理しておきましょう。
●コンバイン・田植機・トラクターなどの上下動する作業機部分は必ず完全に下降した状態で格納してください。
●燃料タンクは、軽油は満タンにし、ガソリンや2サイクルエンジンでは、燃料タンクやキャブレターなどの残り油を完全に抜き取っておきましょう。
●バッテリーは完全に充電してからマイナス端子を外しておきましょう。
●格納庫の施錠など盗難防止や火災防止にも注意しましょう。
格納前の点検整備が自分でできない場合には、JA農機センターなど、専門の整備工場に依頼しましょう。
作業は正しい服装で安全に行いましょう。





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